人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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6月の日記①(人類銀河帝国 コリント朝2年)《『徒手空拳部門』の予選》

 6月1日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 『両手持ち武器部門・近距離武器部門』の予選大会も終え、『弓矢等遠距離部門』では案の定『岳飛』殿と『霍去病』殿そして『』ロビン・フッド』殿が決勝戦に出る事が決まっている。

 本日は『徒手空拳部門』の予選大会が行われていて、その様子を知り合いと共に見学に行く。

 

 崑崙皇国や帝国の上層部も先日全員到着し、元の皇城を改装した巨大な迎賓館及び宿泊施設となっていて、連日帝国の華族や崑崙皇国の貴族その他の王族を交えた各種のパーティーが繰り広げられている。

 しかし、やはりそんな上流階級の集まりが、性に合わない連中は自分達の様に予選大会会場に直接来て、現場の雰囲気を楽しんで行くのが最近の恒例になっていた。

 

 そんな我々が予選会場に着くと、凄まじい数の飛び入り参加の予選が行われている。

 考えてみれば、徒手空拳部門への飛び入り参加者は1番多い事は予想された。

 何故なら、例え腕に覚えが無くても徒手空拳部門への応募だと言えば、武器を持たずとも移動費・宿泊費が無料で『世界武道大会』への参加と見学が出来るのだから。

 まあ、帝国としても、そういう輩が一定数居るのは想定内なので、そういう輩用の宿泊施設と大食堂は用意しているから、今のところ問題は発生していなかったが、本当にこんなに飛び入り参加申請するとはな。

 ざっと見て1万人は予選会場に居る様で、帝国から出向して来た係員もてんやわんやだ。

 

 なので予選方式も、各100人ずつのバトルロイヤルを10会場で10回ずつ行う様だ。

 何とも荒っぽいが、決勝戦も同じくバトルロイヤルをするので、この形式で勝ち上がらないのであれば、しょうがない。

 

 そんなごった返す会場で一際騒然としている会場が有った。

 その会場では、例の『傲岸不遜流』とか吐かす流派の師範とその門弟30人程が、同一の会場のバトルロイヤルに出場した様だ。

 其の組み合わせに文句が有ったのか?と確認に出向くと、どうやらそうでは無くて何やら一人の男といざこざを起こしているらしい。

 当初は至近距離で男と『傲岸不遜流』とか吐かす流派の師範とその門弟30人程が、向き合っていると勘違いしていたが、近くに寄ってそれが全くの誤解なのに気付いた。

 そもそも男は立って居なかったのだ!

 正確に言うと座って、『傲岸不遜流』の連中の言い分を聞いてやっていた。

 何故なら、男は大きすぎたのだ。

 どうも、男が大きすぎた所為で、後ろに居た『傲岸不遜流』の連中が係員の説明する仕草が見えず、本来分散する予定だった『傲岸不遜流』の面々が間違えて同じ会場で、戦い遭う羽目に陥ったと云う事らしい。

 だが、そもそも事前に渡されていた参加者用に資料に、バトルロイヤルの規定は書かれていたので、確認しなかった『傲岸不遜流』側が悪いのは一目瞭然だった。

 

 結局大会規定により、『傲岸不遜流』側の言い分は通らず、30人全員が同じ会場で戦い遭う羽目になった。

 

 「ドオオオオオオオーーーーーン!」

 

 と云う太鼓の音と共に、10会場で一斉にバトルロイヤルが始まり、全ての会場が喧騒に満ち溢れた!

 

 そしてそのままの流れで、見ていた件の会場では、当然例の大男と『傲岸不遜流』の連中が対峙する事になった。

 

 最初から喧嘩腰の『傲岸不遜流』の連中は、大男を罵倒しながら弟子達が殴り掛かる。

 しかし大男は何と立ち上がりもせずに、五月蝿い蝿を追い払う様に片手で『傲岸不遜流』の弟子たち5人を払った。

 その瞬間『傲岸不遜流』の弟子たち5人は、何かの冗談のように5メートル程吹っ飛んで、そのまま起き上がらなくなった。

 周りの会場では、大声や奇声が上がる中、この会場の100人(既に5人戦闘不能だが)は水を打ったように静まり返った。

 そんな静寂の中、徐に大男はゆっくりと立ち上がった。

 

 《デ、デカイ!》

 

 大男は、自分が出会ってきたどんな人類よりも大きかった!

 今まで出会ってきた人類で最大と思われる人物は、文句無く崑崙皇国の『楊大眼』殿だが、眼の前に居る大男は明らかに崑崙皇国の『楊大眼』殿よりも一回りか一回り大きい。

 確か『楊大眼』殿は自己申告で、2メートルを優に越えていると言っていたので、大男は少なく見積もっても2メートル40センチは上背が有る事になる。

 かなりその大男の大きさに驚いたのか、『傲岸不遜流』の師範と思われる男は、金切り声を上げた。

 

 「弟、弟子達よ!

 構わないから、このウドの大木を取り囲んで一斉に掛かれ!

 そうすればこのウドの大木も、ひとたまりもなく倒せるに違い無い!」

 

 と、随分情け無い宣言を言い放ち、師範は弟子達の背後に回って指示を出し始めた。

 大男は、如何にも煩わしそうにその太い指で頭を掻き、ぐるりと辺りを見回し、近くに居た『傲岸不遜流』の弟子の一人を掴むと、そのまま『傲岸不遜流』の弟子達に向かって投げ飛ばした!

 何とも無造作で強引な話しだが、そんな事を5回程繰り返すと、30人から居た『傲岸不遜流』の弟子達は一人遺さず倒れ伏している。

 その様子を弟子たちの背後に居て、一部始終見ていた『傲岸不遜流』の師範は、茫然自失の体で立ちすくんでいたが、大男が目の前に迫ると漸く思い出したかの如く、「キエー!」と奇声を上げて大男に殴り掛かる!

 そんな『傲岸不遜流』の師範の両頬を挟み込む様に、大男はその大きな両手で「パンッ!」という音を上げて打ち鳴らした!

 『傲岸不遜流』の師範は、そのままものも言わずにバタンと音を立てて、仰向けに倒れてしまった!

 結局その予選のバトルロイヤル会場は、残りの参加者全てをこの大男が、殆ど苦労せずに99人全員倒してしまった。

 この一連の強烈なインパクトは、会場に設置されたカメラで会場とその外のモニターで中継され、今夜の『世界武道大会』に注目している皆の話題として、酒の肴となった様だ。

 

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