人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
6月6日②(人類銀河帝国 コリント朝2年)
第二準決勝戦『エルナ』殿VS『花木蘭』殿と発表されて、両者が舞台に上がる。
「ドオオオオオオオーーーーーン!」
と開始の太鼓が叩かれて、空気が震動する中、試合が開始された。
二人の主武装は共に剣だが、サブウエポンは『エルナ』殿が投げナイフ、『花木蘭』殿が峨嵋刺で有る。
しかし、皇后親衛隊長団長のエルナ殿が帝国に於ける、女性軍人での武道大会で3位になったビデオを見せて貰ったが、従来の神剣流とコリント流剣術の高いレベルでの融合を果たしている姿は、どれ程の鍛錬の賜物か容易に想像出来るので、称賛以外無い。
(因みに女性軍人での武道大会の1位はセりーナ准将、2位はシャロン准将であるが、現在お二人は体調不良との事で帝都コリントの留守居を買って出て、帝国軍の再編成案の策定をダルシム中将とヴァルター少将と共に携わっている)
エルナ殿が中段の構えから素早い突きを花木蘭殿に放ち、それを僅かに剣で軌道を逸らすと花木蘭殿は、袈裟斬りに振り降ろして来た。
だが、その行動を読んでいたのだろう、エルナ殿は身体を横に回転させてそのまま横に剣で薙ぐ。
その動きを前転して花木蘭殿はそのまま水面斬りの要領で、下段にエルナ殿の足元を斬って来たがエルナ殿は跳んでそれを避け、距離を取る。
二人が同時に立ち上がると、エルナ殿は神剣流の歩法で距離を詰め、コリント流剣術のコンボに移る。
それに対して花木蘭殿も、崑崙皇国の剣術と覚しき型を繰り出して来た。
暫くの間、双方共に技を遺憾無く繰り出し、観客の目を楽しませたが、段々と双方共に消耗していき、距離を取って息を整えた。
そしてエルナ殿は、神剣流奥義『極刃斬』の構えである上段斜めに剣を構え、素早く振り降ろして真空波を花木蘭殿に放った!
花木蘭殿は、剣で真空波を受け止めたが剣は受け止めきれずに「バキッ」と云う音と共に折れる。
慌てて花木蘭殿はサブウェポンの峨嵋刺を構えるが、エルナ殿も両手にナイフを構えて花木蘭殿の懐に潜り込んでいた!
其処からエルナ殿の連撃が発動する!
明らかに5回ずつの連撃が繰り出され、それが幾つかのバリエーションに分かれているので、花木蘭殿も次の技が読めずに防戦一方になってしまった。
《此れはもしや『エターナル・ストリーム』?!》
そう其れは、本来は剣を用いるコリント流剣術の奥義『エターナル・ストリーム』であった。
だがエルナ殿は、従来の『エターナル・ストリーム』を己なりに変化させて、ご自身が得意な上に鍛錬を積み重ねたナイフの技に昇華させたのだ!
必然至近距離で繰り出される技の数々は、スピードが早く対処が難しい。
結果、花木蘭殿の峨嵋刺は弾き飛ばされてしまい、武器を全て奪われた花木蘭殿は降参した。
そして第二準決勝戦はエルナ殿の勝利で幕を閉じた。
「・・・・・見事なものだ、某は未だにコリント流剣術を己の中で消化しきれず、まだ真似る事しか出来ていないのに、エルナ殿は神剣流の良い面を組み込む事で、己の物としている!」
とシュバルツ殿は慨嘆し、続けてアラン様が、
「全くだな、然も自分のコリント流はあくまでも我流としてアレンジをしている面が多々有り、女性には向いていない箇所が随所に有る。
その弱点を克服したエルナは、正に皇后親衛隊長団長の面目躍如と言うべきだ!」
と硝酸したので、クレリア様も、
「でしょう!
エルナは、アランが帝国軍の精鋭が外征に行く度に、私や帝都コリントの民を守る重責をこなす為に、拳聖と剣聖に願い出られて、徹底的に自分に向いた技を磨いて来たの!
事実上、剣王に近い実力だと思うわ!」
と堂々と言い放ったのだ。
この場に居る者全員が、思わずその言葉に絶句した。
《ちょっ、ちょっと其れは羨まし過ぎる環境だろう?!》
自分とシュバルツ殿にミツルギ殿は、あまりの事実に開いた口が塞がらないでいる。
しかし、良く考えてみると、帝国に於いて最重要とも呼べる皇后と皇太子の身を守る親衛隊団長には、そのくらいの武術の実力が必要な気がする。
まあ、あまり羨ましがるのも可笑しな気がして、この話題は棚上げして、男性部門の結果をビデオで放送されたので、注目した。
やはり、予想通りと言うべきか、剣王『カイエン』と『沈 光』殿が選ばれていた。
この二人は、当然のように勝ち抜いてきたのだが、残りの二人が全く判らない面子なので些か興味深い。
一人は、あまり特徴の無い普通の剣の使い手で、常にギリギリで勝ち上がった。
もう一人は、またも真っ黒な肌をした異邦人で、武器も珍しい物でヌンチャクと独鈷杵で有る。
もう少しして、この4人による準決勝2試合が行われて、午後から女性部門の決勝戦と男性部門の決勝戦が行われる運びで有る。
周りにいる全員が、優勝は誰か?と予想し合って盛り上がっているので、きっと観戦している全員が今頃口角泡を飛ばして、議論し合っているのでは無かろうか?
その様子を思い浮かべて、口元がにやけてしまっていたようで、隣にいたミーシャから胡散臭い目で見られてしまった。