人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
6月6日③(人類銀河帝国 コリント朝2年)
剣王『カイエン』VS『トビ』との第一準決勝戦が始まった。
剣王『カイエン』は、明らかに通常より長い長刀を腰に下げ、自身の武器で有る『蛍丸』に寄せていた。
『トビ』も剣王『カイエン』程ではないが、長い刀を腰に下げていて、何だか真似ている様に感じる。
双方が舞台の両端から登壇し、かなり離れた間合いで互いに礼をした。
「ドオオオオオオオーーーーーン!」
と開始の太鼓が叩かれて、空気が震動する中、試合が開始される。
双方共に左手を刀の鞘口に添えて、抜き打ちの体勢になったので、双方が共に斬撃を放つつもりなのが判った。
案の定、双方が少し揺らぐ様に動く度に間合いの中央の空間で、双方の斬撃がぶつかり合う。
「ザザザザザンン!!」
と連続した音と同様に、連続した斬撃を双方共に飛ばしたが、やはり同じ結果に終わった。
昨年の剣王同士の戦いも似たような撃ち合いになったので、剣王『カイエン』はともかく『トビ』もかなりの実力者だろう。
双方が実力を確かめたのだろう。
警戒する様に、時折斬撃を放ちながら、同心円状に間合いを保ち隙を伺っている。
だが、どうやらそれは叶わないと見たのか、両者は足を止めて踏ん張った。
次の瞬間、いきなり双方共に姿を消すと、舞台の中で金属音の連続音が響き渡る!
「キキキキィーーーーン!」
との音が会場に響き渡り、その都度瞬間だけ両者が刀で受ける場面が陽炎の様に浮かぶ。
暫くその攻防が続いたが、やがて双方舞台の両端に姿を現し、共に肩で息をしていたが、大きく深呼吸をして息を整えた。
つまり、両者は神剣流の歩法に於ける奥義『縮地』を、何と連続でこなしていたのだ!
正直剣王『カイエン』が昨年では、単発でしか出来なかった奥義『縮地』を、連続で出せた事も驚きだが、それに付いて行ける『トビ』とやらも、凄まじい技倆の持ち主だ。
それを痛いほど実感したのだろう、剣王『カイエン』は得意技を披露する。
そう、その技こそは昨年の大会で見せられた神剣流奥義『影法師』で有る!
「ブオーン」
という音とともに4つ身に分身して見せる剣王『カイエン』に、観客が、
「オオオオオーーーーーッ!」
と歓声が上がる。
しかし、それに対しても信じられない事に、『トビ』も剣王『カイエン』と同じ構えを取り、4つ身に分身してみせた!
「オオオオオオオオオオオーーーーーッ!!」
と更なる歓声が観客席から上がり、会場は興奮の坩堝と化した!
その4つ身同士が高速戦闘を開始した。
奥義『縮地』程では無いが、時折の剣を合わせた硬直以外は、身体が揺らいで陽炎の様になり全体像が見えにくい。
そんな奥義を尽した技の数々が繰り出される中、剣王『カイエン』がギラッと音が鳴りそうな程に目を光らせた!
その瞬間、剣王『カイエン』のそれぞれの4つ身がいきなり、更に4つに分かれて『トビ』に襲いかかる!
流石にここまでの技を真似る事は出来なかった様で、たちまち『トビ』は打ちのめされた。
審判が、剣王『カイエン』の勝利を宣したが、双方全力を尽くし過ぎたのか、二人共暫くの間四つん這いになって蹲った。
なので医療部隊が両者共に担架に乗せて、”コロシアム”併設された病院に収容される事になった。
シュバルツ殿と共に、剣王『カイエン』の状況を確認に行くと、かなり疲労をしているだけでそれ程深刻ではなさそうで安心した。
そして同時に連れられて行く『トビ』を確認すると、何と良く顔を見ると『カトウ』であった!
どうやら、変装していたがあまりの高速戦闘に、変装用の仮面(魔道具らしい)が外れた様だ。
《エッ!?》
と驚くと、どうやら自分の反応で気付いたらしく、『カトウ』は自分に対して目配せして来た。
そしてその意図を把握してから、其処を離れてアラン様の脇に侍り小さい声で確認すると、アラン様が含み笑いをして、教えてくれた。
どうやら『カトウ』が望んだらしいのだが、自分達の技術である忍びの技を発展させた『影技』の完成具合を確認する為だったらしい。
その『影技』の奥義の一つに、相手の技をほぼ完璧にコピーする物があるそうで、此れを剣王に対しても通用するか試したそうだ。
まあ、『カトウ』が中央情報局の実戦部隊の長なのは、かなり帝国の関係者には有名なので、正体を隠さなければ警戒されて実力を隠される可能性が有ったらしい。
となると、剣王『カイエン』は勝ったとは云え、かなり技を盗まれた格好だ。
そして『沈 光』殿VS『セリ』(ヌンチャク使い)の第二準決勝戦が始まった
「ドオオオオオオオーーーーーン!」
と開始の太鼓が叩かれて、空気が震動する中、試合が開始される。
開始早々に、『沈 光』殿が側転して『セリ』に近づくと短い『棍』をいきなり地面に刺し、その『棍』を足場に跳躍しサブウェポンとしている脚甲で『セリ』の頭を蹴る。
想定をかなり外された攻撃方法に、『セリ』は相当焦ったらしく慌てて避けたが、体勢を崩しているので転がってしまう。
だが、『沈 光』殿がそのチャンスを見逃す筈もない!
何と『沈 光』殿は、脚甲で『棍』を蹴り飛ばして『セリ』に叩きつける!
必死に『セリ』はヌンチャクを振り回して『棍』を弾き飛ばした。
だが、『沈 光』殿は脚甲で旋風蹴りを放ち、ヌンチャクを蹴り飛ばす!
そして空中に有った『棍』で突きを繰り出し、『セリ』の鳩尾を突き悶絶させた。
第一準決勝戦に比べてかなりアッサリとした形で勝負が着いた。
まあ、こんなに立体的な攻撃は、想定を越えすぎていて、どうしようもなかったのだろう。
そして男性部門の決勝進出者が決定した。