人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
6月13日(人類銀河帝国 コリント朝2年)
アラン様と共に久々に空軍ドームに出向き、ドラゴン達の状態確認を行う。
実際の処、ザイリンク公国の公都でもモニター越しに情報リンクしていたので、ドラゴン達と連絡を取り合っていて問題無く把握していたが、いざ140頭近くのドラゴンが並ぶと洒落にならない迫力が有る。
「アラン様、ケニー空軍大佐。
無事のご帰還、おめでとうございます!
我等、新しく編成された『ドラゴン軍団』137頭は、毎日の実戦訓練と魔法訓練を繰り返し、何時でも出動出来る体制を整えております!」
とアトラス殿が言上してきて、アトラス殿の後ろに控えていたドラゴン達共々、一斉に頭を下げた。
《何ともこれだけの数のドアゴンが頭を下げると、壮観なものだ!》
と云う思いを抱きながら、訓練の成果を見せて貰う為に、付きっ切りで訓練指導していた部隊隊長のベック、トール、キリコ達20人に命令させ、各種軍団魔法や連携攻撃を空軍ドーム内の訓練場で見せて貰った。
15頭の『エルダー・ドラゴン(老竜)』に進化したガイやサバンナ達が、凡そ8頭ずつの『ドラゴン・パピー(幼竜)』を率いる形で部隊を形成して、時に部隊毎に時に軍団全員で軍団魔法や一斉攻撃をこなす。
そして仮想訓練としてアトラス殿が敵役となり、武装を『ケツアルコアトル』モードになって、全ドラゴンと実戦訓練をさせてみた。
『ケツアルコアトル』モードの100枚を超える羽による反射攻撃や、ビーム攻撃にも元ワイバーンのドラゴン達はしっかりと対応して行く。
そして強烈無比な135頭のドラゴンによる一斉火炎攻撃にも、アトラス殿はリフレクターフィンでの反射をしてみせた。
これならば、今後の同格以上の魔獣や魔物にも対処出来そうで、自分的にはかなり満足出来る訓練内容だった。
だが、アラン様はまだまだだと感じたらしく、小声で自分に、
「・・・訓練を見る限り、ある程度の敵ならば余裕で対処出来るだろうが、ケニーも知っての通り、我々は過去にも数多の『古きものども』との対戦があり。
『古きものども』のボスクラスには、まだまだ攻撃力で不十分だ。
一撃必殺とまでは望まないが、奴らに有効な大打撃を与えられる攻撃力は欲しい!
何故なら、今後『古きものども』のボスクラスが複数現れる事態は容易に想像出来るし、当然その場合は神鎧『ジークフリート』を纏った私だけでは、対処出来ない可能性は大いに有り得る。
是が非でも、ドラゴン達のこれまで以上の攻撃力増加を果たして欲しい!」
と深刻な顔で述べられた。
確かに、例の『古きものども』のボスクラスには、今のままでは有効な打撃にはなり得なさそうだ。
親父達の工場謹製のドラゴン用の武装のお陰で、オリハルコンとアダマンタイトをふんだんに利用した武装は、防御力に於いてほぼ心配する必要が無い程強化されたが、攻撃力の面では『フレキシブル・キャノン』による各種強化魔法の攻撃しか無いのが現状で、アトラス殿とグローリア殿の強化武装しか、『古きものども』のボスクラスには、通用しそうにない!
今後は親父や賢聖モーガン殿との相談で、何らかのドラゴン全員の攻撃力アップを図ろうと考えた。
6月25日(人類銀河帝国 コリント朝2年)
アラン様の要望を叶えるべく、親父達の専門プロジェクトチームが総力を上げて頑張っている中、アラン様から或る命令が超大型空母『グラーフ・ツェッペリン』艦長で有る自分に、出動命令が下る。
内容は、物資を満載の上でアラン様とカトウ以下一族全員を連れて、日の本諸島に向かうと云うものであった。
その命令書を携えてやってきたカトウが、表の命令とは別の内容が有ると言ってきたので、アスガルド城に有るアラン様の執務室に夜更け参内した。
アスガルド城の裏門から、カトウの案内でアラン様の執務室に向かい、衛兵たちに誰何される事も無く入室すると、アラン様が応接用のソファーを自分に勧めて来たので、恐縮しながら座らせて頂くと、カトウが給仕役をして珈琲を入れてくれて、アラン様と自分そしてカトウの分がソファー前のテーブルに並ぶ。
実は、こういった3人での秘密会議は、これまでも何回か開かれている。
何故ならこの3人は、アラム聖国の実力者『カルマ』との面談の際に、アラン様が『神人』であると看破した時に居た者であり、他にも『神人』に纏わる事項を話し合う時の必須メンバーなのだ。
「・・・ケニーは知っているから説明は省くが、このカトウの故郷である日の本諸島を裏で支配する魔物が、いよいよ活動を開始した様で、日の本諸島の祭司兼王族に対し様々な要求を叩きつけた様だ。
私は、例のカトウとその一族との約定通りに、日の本諸島に向かい件の魔物を倒そうと思う。
その為に、崑崙皇国の『南京』滞在時に、駆逐艦1隻にカトウの一族数名と帝国軍200人を載せて、先遣及び折衝部隊として日の本諸島に派遣していたのだ」
とアラン様は言われ、カトウも頷いている。
「それでは先方から我々を受け入れるとの返信が?」
と自分が聞くと、カトウが、
「問題無いです。
日の本諸島の『大王(オオキミ)』は快く、アラン様の来訪をお待ちしているとの返答をしてくださいました。
ただ、何分例の魔物にバレない為にも、表立って迎えられないので、ギリギリまで魔物を騙して行動する事になりそうです!」
と答えてくれた。
いよいよかと、カトウ達が旧ベルタ王国で秘密工作活動をしていて、それを取り押さえた思い出と、服従する取り決めをした場面を思い出しながら、感慨にふける。