人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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7月の日記①(人類銀河帝国 コリント朝2年)《『日の本諸島』到着》

 7月1日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 崑崙皇国の『南京』ドームに龍脈門(レイライン・ゲート)を通って到着し、直ちに皇宮に向かう。

 西方教会圏とは違う、東方独特の作りの皇宮は非常に神秘的で優雅な趣に満ちていた。

 現在は『則天武后』様が、皇帝の立場に就いておられるが、何れは皇太子である『李世民』殿が跡を継ぎ皇帝となるそうで、実質政務と軍務を有能な配下と共に司っているそうだ。

 今回の来訪は国事行為では無いので、親しい友人の来訪という形となり、皇宮の中の庭園にある『翠微亭』と呼ばれる素晴らしい作りの邸宅に招かれた。

 崑崙皇国側は、『則天武后』様・『李世民』殿・『妲己』殿と幾人かの使用人。

 帝国側は、アラン様・カトル大臣・カトウ・自分の4人。

 

 会見は双方共に公的なものでは無いので、ざっくばらんに始まったが内容は逆にかなり濃密なものとなった。

 

 懸案の一つがやはり貨幣問題である。

 崑崙皇国は、人口が多いだけにべらぼうな数字での商取引が行われていて、かなりギニーを基礎とした手形や証文取引が行われており、その価値基準に新たなポイント決済と、帝国が発行するカードでの取引と個人認証、更には給与支払いや税金徴収まで含めるシステムを入れるには、かなりの移行期間と混乱が予想され、その為にカトル大臣が自身の省庁に配属された優秀な官僚数百人を今回連れてきていて、彼らには今後10年は此処崑崙皇国にて働いて貰う予定で有る。

 まあそんな事を言っても、いざとなれば数時間で行き帰り出来るのだから、それ程身構える事も無いだろうし、常にモニター越しに帝国の中枢と確認し合えるので、業務もタイムラグは無いだろう。

 

 大まかな政務絡みの取り決めを決めて、今回の来訪の本題に移った。

 崑崙皇国も、カトウの故郷である『日の本諸島』の存在と概要は、ある程度把握してはいたが、その昔若干の貿易と交流が有った程度で、細かい事情は知らないそうだ。

 今回、我々が『日の本諸島』に行くに辺り、将来の交易を期待して数十人の使節団派遣を帝国として願った。

 『則天武后』様・『李世民』殿・『妲己』殿全員が、即座に賛成してくれて、その場で使節団派遣と献上品の進呈を約束してくれた。

 その即断即決にアラン様は感謝され、そのまま今後の帝国との貿易やインフラ整備、そしてこの『南京』ドームに開設される『放送局』の話題を楽しげに語られた。

 現在、帝国の『放送局』からの放送が一方的に流され続ける事は、お互いに良く無くて、相互理解と文化・文明発展の為に、崑崙皇国側からの放送は必須であると考えられていたからだ。

 非常に和やかな雰囲気の元で、重要な話し合いが決まって行く姿に、お互いが信じあっていることが伺えて、2国の今後一層の発展が目に見える様だった。

 

 7月10日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 崑崙皇国側の準備も整い、超大型空母『グラーフ・ツェッペリン』を中心として、6隻の駆逐艦と10席の輸送艦が『日の本諸島』目指し昨日出港した。

 最初の寄港地は、『日の本諸島』の九州と云う所の博多と言う港である。

 此処には、『大王(オオキミ)』が代表の大和朝廷の地方政庁である国衙が有り、そこには既に大和朝廷からの指令が届いていて、本日問題無く寄港出来た。

 そして『大王(オオキミ)』からの親書がアラン様に渡された。

 例の魔物を騙す為の策を講じる為に、次の寄港地に『大王(オオキミ)』の代理人が『グラーフ・ツェッペリン』に乗り込む事が判った。

 

 7月12日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 淡路島と云う大和朝廷の都である『奈良』の直前にある島に寄港した。

 一旦輸送船はこの淡路島に停留して、『グラーフ・ツェッペリン』と駆逐艦3隻で『奈良』に向かうことが乗り込んできた『大王(オオキミ)』の代理人である『中臣鎌足』と云う人物との会談で決まった。

 この『中臣鎌足』と云う方は、恐らく相当の切れ者なのだろう、超大型空母である『グラーフ・ツェッペリン』を見ても、あまり驚かずにアラン様と会うなり、しっかりとした礼儀を述べて、今回の来訪に至る経緯と事前に帰還していたカトウの配下との打ち合わせに従い、例の魔物に感づかれても大丈夫な様に幾つかの方策を構築している旨を説明してくれた。

 だが、そう上手く事が運べるかは、やって見なければ判らないので、策が破れた場合の次善策として、我等帝国への王子と王女の亡命を許可して欲しいとの願いを申し出てきた。

 確かに、どれだけ事前に想定していたとしても、物事はこちらに都合良く運ぶとは限らない。

 その為に、例え自分達家臣と現『大王(オオキミ)』が犠牲になろうとも、次代の血筋が生き残ればそれで良いと云う、凄まじいまでの覚悟を以って事に当たろうとしている彼に、自分は非常に共感し、共に事に当たろうと思う。

 

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