人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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7月の日記③(人類銀河帝国 コリント朝2年)《天智大王の話の続き》

 7月14日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 朝、沐浴を済ませ精進料理(肉、魚を除いた料理)を摂り、用意された白装束を着せられ、出発の時を待つ。

 その若干の空白の時間に、昨日の天智大王の話の続きと出来事を思い出した。

 

 「・・・・・『蓬莱山』の龍穴に投げ入れられた魔物とは、厳密に云うと魔物というより魔物の核とでも云うべきもので、実体では無くて封じられた『勾玉』という玉で、下手に壊すと復活してしまうので『出雲大社』という社に祀って居たのだそうだ。

 だが、その『出雲大社』を八岐族は、『土蜘蛛』(身体は蜘蛛だが頭からは角が生え、鋭い牙も持ち合わせた鬼)数匹に乗り襲い、『勾玉』を奪いそのまま『蓬莱山』の龍穴に投げ入れた。

 こちらも追っ手を出して、凄絶な戦いの末に八岐族と『土蜘蛛』を滅ぼす事には成功したのだが、『蓬莱山』の龍穴に投げ入れられた『勾玉』を回収は出来なかった。

 仕方なく『蓬莱山』の龍穴の周りを取り囲む形で社を作り、全体を封印する事にして数十年の時が経った。

 人々がその事を忘れかけた頃に、出し抜けに『日の本諸島』の全土を大地震が襲った。

 殆どの者の家屋は壊され、人々が呆然としていると、突然人々の前に巨大で白い蛇の霊体が出現した。

 白い蛇の霊体は、人々に告げた。

 「毎年8人の生娘を『蓬莱山』の龍穴の社に奉納し、それぞれの地方の国衙には、これより遣わされる使い魔(白い蛇)を祀って、その使い魔の要望を全て叶えよ、反抗した場合は『土蜘蛛』と『牛鬼』を差し向けて尽く殺し尽くしてやろう!」

 と宣言したのだ。

 当然それに反発した大和朝廷と人々は対抗したのだが、あまりの数の『土蜘蛛』と『牛鬼』によって、敗れてしまった。

 其れ以降、事実上大和朝廷は魔物の支配下となり、魔物の命令に唯々諾々と従うしか無くなったのだよ。

 だが、『伊勢神宮』という大社に居る最高位の巫女が、7年半前にある宣託を神から受けたのだ。

 

 「此れより3年半後、西の国にて星々の欠片が多く地に落ち、その星々と共に『神人』が天より降る。

 

 『神人』は神の化身(アヴァターラ)にして、強大な力を持ちその傘下には神の使徒が数多存在する。

 

 『神人』は数年の後、降り立った西の国にて君臨し、その力でもって周辺の国々を平らげ豊かに治める。

 

 そして東の大国を平定した後、この島国を訪れ我等の苦難を取り除くべく、かの魔物を退治される」と」

 

 其れはカトウが、今から2年半前にアラン様に仕える時に聞かされた文言であり、其れ以降『神人』に関わる全ての話しを自分とカトウのみが、管轄する羽目になる言葉であった。

 

 続けて天智大王は言葉を続ける。

 

 「その託宣を得て我々は、魔物の監視を掻い潜りカトウとその一族である忍びの者達を、大陸に派遣する事に成功しました。

 そしてカトウは、見事に『神人』であられるアラン皇帝を今此処に導いて下さった!

 (此処で天智大王と家臣の方々はカトウに向き直り)

 カトウ!この困難極まる任務をよくぞ果たしてくれた!

 余とこの『日の本諸島』に住まう全ての民が、お主達一族の献身と努力に敬意を表する!」

 

 と天智大王と家臣の方々は、一斉にカトウに対し頭を下げた。

 それに対してカトウは慌てて、

 

 「天智大王と家臣の方々、どうか頭をお上げ下さい!

 あくまでも我々忍びの者達は、『神人』であられるアラン皇帝陛下を『日の本諸島』にお連れしたまでで、かの魔物を倒した訳では御座いませんし、寧ろこれから如何にかの魔物に気付かれずに倒す手立てを考え実行するかが懸案です。

 しっかりとした対抗策と、次善の策や破れた場合の方策も練らねばなりません!」

 

 と答え、天智大王と家臣の方々も納得され頷いた。

 そして幾つかの方策を話し合い、帝国側の来訪している戦力は魔物を油断させる為の少数で、既に崑崙皇国『南京』ドームから帝国の動員可能な全戦力が準備されていて、本日中に出港する事になっていると伝えた。

 その情報を元に、この場にいる全員で幾つかの方策を決め、納得がいった処で全員にアラン様が手を差し出し、当初戸惑われた天智大王と家臣の方々もカトウが促すと、アラン様と手を握り合う。

 

 そんな事を思い出していると、係の者から声を掛けられ正気に戻る。

 そのまま係の者の案内にされて、宿舎から出てアラン様と共に車両に乗り込む。

 車両をゆっくりと走らせ、大和朝廷から派遣された武者が護衛する中、『伊勢神宮』に向かう。

 道中護衛の武者と話す事になった。

 そのリーダーは、『源 頼光』と言い他の面々は、渡辺綱・坂田金時・碓井貞光・卜部季武という名前の武者でかなりの剛の者なのが雰囲気で判った。

 彼らは何でも度々、妖怪等の怪異や盗賊等を退治していて、大和朝廷も我々の道中の無事を保つ為に彼らを派遣したらしい。

 そして『伊勢神宮』に夕方に着いて、用意された宿舎に入り明日の最高位の巫女との対面に備え、早くに就寝した。

 

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