人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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7月の日記④(人類銀河帝国 コリント朝2年)《伊勢神宮の真実》

 7月15日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 初めての『伊勢神宮』の朝、顔を白い布で覆った女の子が準備が出来たと部屋前で言って来たので、沐浴と朝食を済ませ、玄関に出向きアラン様とカトウと合流し、『伊勢神宮』の新宮に向かった。

 新宮に至る階段を進みながら、階段から少し離れた所に立つ膨大な石柱を見かけて、案内をしている巫女に「あれは何ですか?」と聞いてみると、「私には答えられません」と素気なく返されてしまった。

 かなり気になったので、これから会う事になる最高位の巫女へ質問するとしようと考えて、階段を登る。

 

 やがて、白木で造営された木造の、非常に趣のある家屋に通された。

 この家屋が新宮と云うらしく、四方を開け放たれていると云うのに、神聖な気配に満ち満ちていて不思議な空間を其処に作り出していた。

 やがて、巫女に伴われて一人のやや年配の女性が、奥の建物からやって来た。

 その姿を見た瞬間カトウは、深々とひれ伏してしまい、この方こそが託宣を受けた最高位の巫女その人なのだろうと直感した。

 その女性は、最高位の巫女と云う割には、ゴテゴテとした身なりはして居らず、非常にこざっぱりとした白装束を身に纏い、人の身でありながら神聖な気配を全身から発していた。

 

 そして新宮に入ってきた年配の女性とアラン様は、向き合い共に『正座』と呼ばれる座り方で礼をし合う。

 

 「私は、この『伊勢神宮』を司る巫女にして、『日の本諸島』の全土の神社を総括する『倭姫』と申します!」

 

 と年配の女性は言い、アラン様は、

 

 「此れはご丁寧に、私は『人類銀河帝国初代皇帝 アラン・コリント一世』と申します。

 ですが、どうぞ親しみを込めてアランとお呼び下さい」

 

 と初対面の筈なのにアラン様は、ファーストネーム呼びを願われた。

 その受け答えに『倭姫』様は、

 

 「大変恐縮ですアラン皇帝陛下!

 では、親しみを込めてアラン様と呼ばせて頂きますね」

 

 と柔らかい物言いで『倭姫』は言われ、アラン様もその答えに頷いた。

 『倭姫』は、視線を転じて自分の横でひれ伏したままのカトウに、

 

 「カトウ!

 長きお務めご苦労でした。

 貴方方忍びの者達は誰一人欠ける事無く完璧に任務をこなし、我々『日の本諸島』の希望を連れて来てくれた事は、幾重にも感謝します」

 

 と深々と『倭姫』様はカトウに頭を下げ、カトウはひれ伏したまま肩を震わせて嗚咽し、涙を流している事が察せられた。

 『倭姫』様は、視線を戻してアラン様に、

 

 「アラン様は、既に理解されている様ですが、お判りの通りに神域であるこの『伊勢神宮』、更には新しく魔の気配を断絶させたこの新宮は、魔物は一切近寄る事は出来ず、伺うことも不可能です。

 つまり此処でなら全ての秘事を明かしても、かの魔物には一切漏れない事を保証致します!」

 

 と力強く言い切った。

 アラン様は莞爾として笑われ、質問された。

 

 「それでは、幾つかの質問をお許し下さい。

 先ずは1番知りたい魔物の目的です。

 『倭姫』様はどう推察しておられますか?」

 

 と聞かれ、『倭姫』様は、

 

 「・・・・・あくまでも私個人の考えですが、恐らくは『蓬莱山』の龍穴で力を取り戻している事から、『蓬莱山』の持つ霊力と龍脈自体の魔力を集め、以前よりも強大な身体の構築と魔力の保持を狙っている事は確実で、現在『日の本諸島』の支配を果たしている事から、更に強大になる事で大陸にまで支配を広げるるつもりではないでしょうか?」

 

 と答えた。

 続けてアラン様は、

 

 「其れでは、次の質問です。

 この新宮に向かう途中の階段横で見れた、膨大な石柱は何ですか?」

 

 と聞くと、『倭姫』様は顔を曇らせて、

 

 「・・・あれは、今まで例の魔物に供物として奉納されてしまった生娘と、他にも魔物の所為で生命を落とした被害者の簡素な慰霊碑です。

 この者達は遺体が無いので墓が作れなかったので・・・。」

 

 と痛ましい内容を語った。

 

 《・・・やはり、思った通りか・・・》

 

 自分の予想していた通りの答えだった。

 アラン様も想定通りだったらしく、一つ頷くと、

 

 「そうですか・・・。

 其れでは、次の質問です。

 此処『伊勢神宮』は、あまりにも神聖な気配に満ちています。

 然もこの気配には覚えがあります。

 もしやと思いますが、此処には『神機』が存在するのでは?」

 

 とアラン様は明らかな期待を込めた瞳で、『倭姫』様に尋ねられた。

 『倭姫』様は静かに頷くと、我々3人を促して新宮を出て先程『倭姫』様がでてきた奥の建物に案内した。

 

 その建物は、とても頑丈な作りで相当に『伊勢神宮』でも重要な物が安置されている事が察せられた。

 『倭姫』様が、何やら呪文の様な言葉を紡ぐと、ゆっくりと頑丈極まりなさそうな門扉が開いていく。

 

 その建物の室内に踏み込むと、圧倒的なまでの神聖な気配が場に満ちた。

 其れは、崑崙皇国で見た『神機応龍』と同様に、岩石の封印がされていて、周りは七五三縄と呼ばれる結界で囲っていた。

 

 『倭姫』様は厳かに仰っしゃられた。

 

 「アラン様が推察された通り、この岩石の封印がなされている代物は、且て魔物を封印する際に使用していた先人の遺産にして、真の乗りてを悠久の彼方から待ち続ける『神機』!

 

 その名は、『神機天照』!」

 

 そう我々は、此処『伊勢神宮』にて帝国が探し続ける『神機』の『応龍』に続く2体目『天照』を見出したのである。

 

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