人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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20. 11月の日記①

 11月1日

 

 王都に於ける諸々の仕事を終えられ、後事をブリテン侯爵とフランシス伯爵に委ねられて、この日アラン様がコリント領に帰られる。

 既に王城にて王や貴族の方々とはご挨拶を済ませているので、城門外の広場で待つ新規にコリント領の開拓民となる孤児院出身者300名をトレーラーと車両に乗せて速やかに王都を出る。

 暫くして、人家もまばらになってきた辺りでトレーラーと車両を止め休憩していると空からグローリア殿と交代のワイバーン2頭が降りてきた。

 孤児院出身者達が大騒ぎしている中、グローリア殿からエルナ殿とデリー殿が降りられた。

 エルナ殿が、

 「此処からは、私が引率しますのでアラン達はグローリア殿に乗り一足早くコリント領にお向かい下さい。」

 と言われたのでアラン様が、

 「了解した、後の事は頼む。」

 と返答されたので、自分も、

 「了解。」

 と軍人らしく短く答え、ガイと共にグローリア殿を追い空を駆けた。

 ものの5時間程でコリント領に到着し軍事ブロックに直接降りて行くと、其処にはクレリア姫様とダルシム副官とロベルト老、そして何故か妹がカーバンクル2匹を連れて出迎えてくれた。

 アラン様は挨拶もそこそこにクレリア姫様達と、会議室の有る軍事教練棟に向かわれた。

 気にはなったが自分は呼ばれていないので、ガイをワイバーン隊用の宿舎に移動させる為に歩き出し隣を歩く妹に「何か有ったのか?」と尋ねると、

 妹はガイとカーバンクルが鳴きあっている(会話?)のを横目に見ながら、

 「よくわかんないけど、多分ケッちゃんの話じゃないかなあー。」

 と返事をした。

 ケッちゃん?と疑問が湧いて「ケッちゃんって誰だ?」と問うと、

 「ケッちゃんは、ケットシー128世に私が付けてあだ名だよ!」

 と答えた。

 相変わらず酷いネーミングセンスに頭を痛めたが、ケットシー128世とはまた凄い自称だなと人物像が想像出来ず、妹に「貴族なのか?」と問うと、

 「えっ、兄ちゃん何言ってるの?ケッちゃんは猫だよ!」

 と呆れられた。

 何を言われたのか、暫く理解出来ず1分間程ただ歩いていたが、徐々に妹の言葉が脳に染みこんで行き、漸く猫が話をしたという有り得ない事を妹が喋っている事に気付いたので、妹がジョークを言っていると思い、

 「お前も中等部の学校に通っているんだろう?

 余り巫山戯てばかりだと、友達を無くすぞ。」

 とアドバイスをした。

 すると、

 「あー、兄ちゃんは相変わらず頭カチコチの真面目人間だから、最近のコリント領が以前よりもっと凄い所になっているのに気付いて無いんだー、あんまり最近のトレンド(友達に教わったらしい)を知らないと彼女も出来ないんだから!」

 と答えになっていない反論を返された。

 まあ、重要な案件であれば後日アラン様からお話があるに違いないと思い直し、家族の最近の様子等の話をしながらワイバーンの宿舎に向かった。

 

 11月3日

 

 現在コリント領の軍勢は、3分割されていて近衛軍第一部隊ダルシム隊長代行、近衛軍第二部隊隊長セリーナ殿、近衛軍第三部隊隊長シャロン殿をそれぞれ中核とし、空軍、支援軍も3分割の上で近衛軍の元に割り振られ其々行動している。

 第二部隊はブリテン侯爵領に入り、領兵の訓練と周辺地域の治安の安定を図る為に賊の征伐や魔物の駆除を行っている。

 第三部隊もフランシス伯爵領に入り同様な事をしている。

 つまり、現在は第一部隊と(機動軍)、(補給軍)がコリント領にいる訳で、中でも(機動軍)は新機軸の魔道機械化部隊とでも云うべき代物で、ドーム外の我々空軍が演習がてら拓いた広大な練兵場をバイクで走り回り色々な訓練を重ねている。

 私はアラン様に付き添い、不測の事態(例えば空飛ぶ魔物)が起こった場合の備えとして見学した。

 まだバイクの数は50台程で交代交代で訓練しているのだが、その中に何台か異質なバイクが存在した。

 一台目はバイクの両脇に箱の様な物を装備し、その箱から時折ファイアーグレネードが発射され前方に有る標的を破壊して行く。

 此れは、先月「紅」に制式採用された「バズーカ」だ、このバズーカとは「紅」の場合背中に有るアタッチメントに接続するオプショナルパーツで、普通時は背中に付けたままだが戦闘時は肩口に担ぐ形でヘルメットから出る照準装置で狙いを定め、引き金を引く事で魔法を発射するのだが、魔法は刻印魔法を刻み込まれた砲身を交換する事で魔法の種類を変更出来る。

 この最先端の戦闘用魔道具を装備しているバイクとはと感心していると、二台目は片側に小さな車両(後で聞いたらサイドカーと言うそうだ)が有り、その小さな車両には人が乗っていて例のバズーカが取り付けられていた。

 三台目は何と先端部分にドリル(鉱山等で使われる螺旋回転をする硬い金属状の物)が有り、標的に見立てた木材をそのドリルで以って穴を穿ったり、粉々に粉砕している。

 更に驚いた事に、三台目に乗って豪快にバイク集団の先頭を走っていたのはカイン殿だった。

 アラン様も苦笑され、ヴァルター第一軍指揮官に、

 「カイン殿が望まれて訓練されているのだろうが、程々にな。」

 と釘を差された。

 ヴァルター第一軍指揮官も、

 「了解で有ります。」

 と苦笑されながら返答された。

 訓練を終えられたカイン殿がこちらに気付きアラン様に、

 「アラン様、この度は辺境伯に陞爵されたとの事誠におめでとうございます。」

 と貴族の礼をされたのでアラン様も、

 「ありがとう、そしてカイン殿のご尊父も侯爵に陞爵した事だし、お互いにベルタ王国の為により精進して行こうではないか。」

 と返礼されたのでカイン殿も、

 「勿論です、今もこうして訓練に励み次の戦いではこの戦闘バイクで活躍して見せますよ!」

 と力強い宣言がなされた。

 自分以外の皆様は苦笑されていたが、自分は何故か本当に大活躍されるのではと予感が働いた。

 

 

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