人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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7月の日記⑥(人類銀河帝国 コリント朝2年)《魔物との対決②》

 7月17日②(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 「D1からD5は、傘下の量産型ドローン100機ずつで白い蛇共を殲滅し続けろ、D6からD10は傘下の量産型ドローン100機ずつで各地から集結してくる『土蜘蛛』共を退治しろ、我等はその間に駿河湾にまで後退する!」

 

 アラン様は予定通りの命令をカトウから手渡されたインカムで行い、直ちにこの場に同行した自分とカトウ、其れに武者達と襲いかかる白い蛇を武者は刀、我等は魔法(アラン様と自分そしてカトウは武装出来なかったので)で蹴散らし、車両まで戻ると全速力で『蓬莱山』から下り、駿河湾を目指す。

 その姿を『霊体』は憎々しげに睨み、突然フッといった様子で消えた。

 

 やがて、かなり大きな地響きが起こり、微震が地面を揺らし始めた。

 

 「D1からD5は、『蓬莱山』の頂上部と龍穴を警戒!

 恐らくは出て来ないとは思うが、無理に出て来ようとした場合は、『多重結界陣』を展開して出現出来なくさせてしまえ!

 ダルシム中将!重巡洋艦『バーミンガム』と駆逐艦30隻の準備はどうだ?」

 

 と日の本海溝より南方の海上で、準備を整えているダルシム中将にアラン様はインカムで確認を取った。

 そのアラン様の問に、

 

 「アラン様、ご心配なく。

 予定通りに、日の本海溝から出現するであろう魔物が、南方に逃げない様に防御結界陣を展開済みです。

 どの様な魔物であろうと、通らせません!」

 

 と車両内のスピーカーからダルシム中将の力強い返答が返る。

 

 「良し!

 想定外の異変に警戒しつつ、我々は駿河湾の海岸線で状況の推移を見守る。

 武者達は、済まないが身辺警護を引き続き頼む!」

 

 と源頼光とその配下の武者達に、アラン様は依頼されると、源頼光は、

 

 「お気になさらずにいて下さい!

 我等『奈良』の都を守っていた武者は、此れまで意に染まない命令をあの魔物に指示され、血の涙を流して従っていました。

 しかし、あのアラン様の『霊体』に対して啖呵を切った姿で、幾分かの鬱憤が晴らせた気分です。

 当然、全力でアラン様を守らせて頂きます!」

 

 と愉快そうに請け負ってくれた。

 その姿にアラン様は頷かれると、車内で諸々の部隊・艦隊に指令を下す。

 その間は、自分とカトウは源頼光とその配下の武者達と共に、周辺の警戒を徹底する。

 時折、巨大な白蛇や『土蜘蛛』が襲いかかってくるが、上空からのドローンによる支援と、車両に積んでいた改良型バズーカで倒して行く。

 源頼光とその配下の武者達にも、予備の改良型バズーカを渡すと、器用に片手に改良型バズーカと刀をそれぞれに持ち、体長20メートルはある『土蜘蛛』を次々と倒して行く。

 余程鬱憤が溜まって居たのだろう、かなり愉快そうに笑いながら倒していく姿は、いっそ清々しい程だ。

 

 暫くその状態が続いていると、やがて駿河湾の遥か南の海上が波立ち始め、やがて駿河湾に波が押し寄せて来る。

 すると、今まで上空から我々を支援していたドローンが、かなり高度を落として来た。

 D1からD5の傘下として動く、計500機の量産型ドローンである。

 その量産型ドローンが、防御シールドを駿河湾とその周辺に展開し、陸上に被害の出ない様にしている。

 

 その状態が暫く続いていたが、海上が一層波立ち、突然巨大な水柱が吹き上がる!

 然もその数は8本もあり、それに伴って巨大な津波が駿河湾に押し寄せる。

 だが、これも想定通りなので量産型ドローンの防御シールドが一気に規模を拡大し、巨大津波を押し返す。

 やがて巨大な水柱が収まると、その海上からかなり離れた場所にある筈の駿河湾沿岸からも見えてきた物があった。

 

 其れは巨大で有った。

 最初天地を繋ぐ8本の柱に見えた。

 しかし、雲を貫いた柱の上方から鎌首をもたげる顔が我等を見下ろすように覗いている。

 

 《あり得ない!どれほどの距離があると思うのだ!》

 

 と自分は戦慄したが、アラン様は鼻を鳴らして嘲った。

 

 「何時も思うが、『古きものども』は巨大であれば有るほど、我々が怯えるとでも思っているのか?

 我等帝国軍は、数々の巨大な敵を尽く滅ぼしているのだ!

 つまり巨大であると云う事は帝国軍にとっては、アドバンテージでは無くて単なる的でしか無い!

 その事実を判らせてやろうではないか!」

 

 と堂々たる態度で言われたので、何だか巨大な割には強そうに感じなくなって来た。

 アラン様は、

 

 「此れより奴の名称は、『八岐の大蛇』とする!

 元々、奴を崇めていた八岐族が呼んでいた名称は、神に由来するものだったのだが、あの程度の魔物に神の名を冠するのは、勿体無い。

 精々、信じていた民の名称を付ける程度で良いだろうさ」

 

 と言われたので、此れ以降魔物の名は、『八岐の大蛇』となったのである。

 

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