人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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7月の日記⑧(人類銀河帝国 コリント朝2年)《魔物との対決④》

 7月17日④(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 我等がD1に乗ったまま『奈良』の都に入り、暫くそのまま八岐の大蛇を待つ。

 既に『奈良』の都たる平城京には、殆ど人が残って居らず、一部の作戦に必要な関係者がいるだけである。

 やがて淡路島に停泊させていた、輸送船に偽装させていた戦闘艦が2隻と超大型空母『グラーフ・ツェッペリン』、更に計50隻の駆逐艦が海岸線から上陸し平城京を囲む様に向かってきている。

 

 準備も整い後15分程で八岐の大蛇が到達する状況になり、三輪山麓に陣取った超大型空母『グラーフ・ツェッペリン』にD1で乗り付けて作戦指揮所に向かった。

 作戦指揮所では、全ての戦闘艦とドローンとのリンクが確立されていて、中でも今回初戦闘をする事になる戦闘艦と常に状況確認をしている。

 そんな中,正面の大モニターに楊大眼殿が現れ、興奮気味に話し出した。

 

 「オオッ、アラン陛下!

 作戦通りに葛城山麓に到達したが、山々を越えて移動したと云うのに殆ど揺れずに移動出来た。

 然も此の戦闘指揮所の素晴らしさはどうだ!

 此処に居れば現在の全ての情報が手に入る!

 お陰で崑崙皇国とのやり取りも随時出来るから、ワザワザ上層部に報告する必要も無い!

 真に凄いな此の重巡洋艦『定遠』と『鎮遠』は!」

 

 と楊大眼殿は、まるで子供が与えられた玩具の素晴らしさに、歓喜の声を上げている様だ。

 今回初戦闘をする事になる重巡洋艦『定遠』と『鎮遠』は、帝国の誇る重巡洋艦『バーミンガム』の同型艦であり、それぞれが25隻の駆逐艦を率いて、援軍に来てくれたのだ。

 現在、全面改修工事する為に帝国のドッグに入っている、戦艦『ビスマルク』と巡洋艦『ジャンヌ・ダルク』と『ドレッドノート』を除くと、この『日の本諸島』に大陸に於ける戦闘艦の主力が集っている事になる。

 正直、この戦闘艦群の大火力を諸に受け続ければ、小国程度の国土だと消滅しかねないと思う。

 そんな事を考えていると、やがて山の稜線を越えて八岐の大蛇が平城京に侵入して来た。

 

 八岐の大蛇が、その巨体をくねらせながら平城京の建物・家屋を踏み砕き全身を奈良の盆地に侵入させた。

 そして今の今まで空中に浮かんでいたアラン様の空間投影映像が突然消えて、八岐の大蛇が当惑した様子を見せて周囲を不安そうに伺う。

 

 「作戦プランA終了!

 作戦プランBに移行するので、全ての将兵は各々の役目を果たせ!」

 

 「「「「「了解!」」」」」

 

 アラン様の命令が飛び、帝国の全将兵と援軍に来てくれた崑崙皇国の将兵が唱和して答える。

 D1からD10が傘下の1000機の量産型ドローンを盆地の周囲に配置し、例の『多重防御結界陣』を積層型に展開する。

 暫く呆然としていた八岐の大蛇は、自身がこの盆地に完全に閉じ込められた事に気付いた様で、逃れようと『多重防御結界陣』に体当たりして来た。

 だが、当然此れを想定していた『多重防御結界陣』の強度は、簡単に八岐の大蛇を跳ね返してしまった。

 

 「作戦プランB終了!

 作戦プランCに移行する、各戦闘艦は艦砲に浄化魔法弾『インディグネーション』を装填。

 目標である八岐の大蛇に浴びせ続けろ!」

 

 「「「「「了解!」」」」」

 

 アラン様の再びの命令が飛び、帝国の全将兵と援軍に来てくれた崑崙皇国の将兵が唱和して答え、全ての戦闘艦から艦砲による魔法弾が、満遍なく八岐の大蛇に降り注ぐ。

 

 「ガアアアアッ!!」

 

 と八岐の大蛇は、大量に降り注ぐ浄化魔法弾『インディグネーション』に、苦痛の声を上げながら身を捩る。

 実は、現在の八岐の大蛇自身を構成している身体と云うのは、肉体と呼べる様な実体では無く、龍脈を流れる魔力を利用した仮初の身体でしか無くて、かなり存在があやふやなのだ。

 然も、定期的に八岐の大蛇が生贄として奉納させていた生娘には、特殊な処置を施した御神酒を飲ませていて、特殊な波長に八岐の大蛇自身の身体を構成する事に成功していた。

 この辺の事情は、天智大王と倭姫に伺っていた。

 なので浄化魔法弾『インディグネーション』はその波長に合わせる形に調整しているので、効果は覿面であった。

 暫くの間八岐の大蛇は七転八倒していて、平城京の建物・家屋は殆どが倒壊し地面が均されてしまった。

 八岐の大蛇は殆ど何も出来ずにやられて行く自分自身に、衝撃を受けて、

 

 「な、なぜだ!

 此れだけの魔力を吸収して、此れほどの身体を構成出来て最強の存在となった筈なのに、まるで対抗出来ずにやられて行くとはどうしてなのだーーー!」

 

 と八岐の大蛇は絶叫していたが、もう既に何も興味が無くなったのかアラン様は作戦指揮所で呟いた。

 

 「まあ、此れまでの会話で判っていたが、八岐の大蛇はただひたすらに龍脈の魔力を吸収しさえすれば、無敵の存在になれると考えていたようだが、馬鹿馬鹿しい話だそんな訳がある筈が無いのにな。

 魔力だけで身体を構成する事は、帝国の先端魔法技術でも現段階では不可能なのに、やはりあの馬鹿な八岐の大蛇には無理だった訳だ」

 

 そんな風に誰にともなくアラン様は呟くように感想を述べていたが、その間にも八岐の大蛇に浄化魔法弾『インディグネーション』が降り注ぎ続き、とうとう八岐の大蛇は断末魔を上げる。

 

 「ち、畜生!

 畜生ーーーー!

 虫けらのくせに、虫けらのくせにーーーー!」

 

 と八岐の大蛇は絶叫し、徐々に透き通って行き、最後は煙の様に消えて行った。

 何とも呆気なく、此れまでで最大の『古きものども』の魔物は、退治されたのであった。

 

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