人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
7月15日(コリント朝元年)
今日『学校』の職員室から呼び出されて、教頭先生と共に『学校』にある応接室に向かったの。
応接室の扉を教頭先生が「コン、コン」と叩き、室内から「入りなさい」と応答が聞こえ、徐に教頭先生と私が入室すると、部屋の中には3人の人物が座っていたの。
その内の一人で私も良く知る校長先生が、
「良く来てくれたねカレン君。
紹介しよう、君も知っているだろうがこの方こそは『賢聖モーガン』様!西方教会圏最高峰の学究の徒にして、我等が学業に携わる者にとって目指すべき最高位に座すお方だ!」
と非常に興奮しているのか、顔を紅潮させながら校長先生は大ぶりに手を振って妙齢の女性を紹介してくれたの。
でも私は実は会った事があるんだよね、兄ちゃんの関係で空軍のドラゴン絡みのイベントや、父ちゃんの陸上艦船の就役イベントの時にちょっと遠くで見てるの。
苦笑しながら『賢聖モーガン』様は、
「そんな大げさな紹介しないでくださいな、校長先生。
初めましてカレンさん、以前に何回かお目に掛かったわね。
私はモーガン、貴方のお兄さんとお父上と懇意にさせて頂いているわ!
今回は、貴方御自身にお願いしたい事があって、ご足労頂いたの」
と言われて、隣に座っていた今一人の訪問者を紹介する。
「この子の名前は『マリオン』!姓の方は勘弁してね。
実は、貴方にこの子の『学校』案内と、帝国の事情説明、そして出来ればだけど友人になって貰いたいのよ」
と説明されると、マリオンと呼ばれた私と同年代に見える男の子に自己紹介する様に促したわ。
すると男の子は自己紹介し始めた。
「先日は突然御宅に訪問してしまい、大変ご迷惑をお掛けして申し訳無い!
『賢聖モーガン』様が紹介して下さった通り、僕の名は『マリオン』と申します。
『魔法大国マージナル』から留学生として、今年9月から高等部の学生として在籍させて頂きます。
昨日は、此処に居られる校長先生と教頭先生に、『学校』の案内をして頂けたのですが、やはり教師目線ですとどうしても学生目線との乖離もあって、僕が知りたい情報が知り得なかったので、是非生徒の生の声を知りたいとお願いしたら、貴方が校長先生と教頭先生から推薦されたので、自分勝手で申し訳無いのですが、ご案内いただけますか?」
と言われたので、校長先生と教頭先生に向き直ると、
「カレン生徒!
君は学業成績に於いて中等部を首席で卒業し、高等部への新入代表として総代挨拶をする事が決まっている我が校の代表だ。
幸い既に中等部のカリキュラムを君は終えているし、もう直ぐ学校は夏季休暇に突入する。
この際君は残りの中等部生活は、マリオン君の学校案内と帝国の生活案内に費やしてくれないかね?
学級担任と学年指導部には、話しを既に通しているので、快く応じて欲しい!」
と頼んで来たので、別に断る理由も無いので承諾したら、あからさまにホッとした様子を校長先生と教頭先生は顔に浮かべられたので、余っ程私に断られると困る事態だったのかしら?
それから幾つかの取り決めと夏季休暇中の過ごし方を話し合い、私とマリオン君は応接室を一緒に退室して、早速私の教室に連れて行ってクラスメイトに紹介したの。
みんなは、以前から話題になっていた、留学生の話題と来月に行われる対抗戦の当の本人が現れたので、マリオン君を質問攻めし始めたの。
それに対してマリオン君は、とても嬉しそうに質問に答えて行き、然も如才無く面白可笑しく自分の経験や『魔法大国マージナル』での生活、そして『魔法学校』での風景を話してくれたので、殆ど全員のクラスメイトが会話に参加してくれて、時間を忘れる程だったわ。
「キンコーン、カンコーン!」
と非常に分かり易いチャイムが鳴り、昼休みになった事が判ったわ。
たちまちクラス全員会話を止めて、マリオン君も誘って学生食堂に向かったの。
学生食堂に着いたら、各々が学食チケットを購入する為に並んで、食べたいメニューを選択して行ったの。
マリオン君は、
「昨日、校長先生に説明されましたが、この『学校』の学食制度は凄いですね!
自分の所属していた『魔法学校』でも昼食は有りましたけど、あくまでも全員の食事は同じで選択権など無くて、然も種類は3種類でそれがサイクルしているだけなんですよ!」
と話してくれたので、私と友達は学食チケットの券売機のメニュー表を説明して、私とマリオン君の選んだ学食チケットを校長先生から持たされたカードでポイント支払いしたわ。
そして受取サービスの場所で、学食チケットと選んだメニューの料理を交換して、確保していたテーブルに運んでみんなで揃ったら一緒に食べ始めたの。
私が選んだのは日替わりランチ定食で、マリオン君は私推奨の『スペシャル・ランチ』。
私は、日替わりランチ定食の野菜ジュースを飲み終わり、食事を終えたんだけど、マリオン君は『スペシャル・ランチ』を食べ終わった後も、ボーッとして心此処にあらずと言った感じ。
私が、
「どうしたの?」
と聞いたら、突然ハッとした様子で、テーブルに居た全員に話し始めたの。
「皆さん、こんなに美味しい料理を普通に食べてるんですか?
信じられない!
こんな料理は『魔法学校』では提供される訳は無いし、それどころか『魔法大国マージナル』の王族でも滅多に食されていないと思いますよ!」
と興奮気味に話すので、テーブルに居た全員が言われてみればと、回想したの。
そう、考えてみればここ帝都コリント以外の所に行くたびに、食事面で満足した試しが無いんだよね。
ごく普通に毎日学食で食べていたから、当たり前になってたけどこの食事一つとっても、他国とは違い過ぎるんだよね、マリオン君の反応を見ててその事実を久し振りに思い出しちゃった。