人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
7月25日(コリント朝元年)
3日前『魔法大国マージナル』から留学生として『魔法学校』の生徒30人と、付添の教師5人が到着して、モニター越しにクレリア様も参加される歓迎式が行われて、昨日は『学校』の案内と、帝国の主要施設の案内が『学校』関係者によって行われ、途中での学生目線の案内も頼まれて、私も参加してたの。
まあ隣にマリオン君が居て、場所場所で私に質問してくる形だったから、その質問に答えるだけで済んで楽だったんだけどね。
ただ、休憩中の飲み物やおやつそして昼食のフードコートでは、マリオン君を通さずに私に直接質問して来たから、余っ程知りたかったみたいだわ。
そんなこんなで、本日は予定通りに『リゾート・ドーム』での体験学習よ!
此れは、『学校』側に私達が捩じ込んで企画された物で、鹿爪らしい案内だけでなく心に余裕の有る、肩の荷を降ろしたお遊び的な体験学習を挟む事も、『学校』の器の大きさを見せるものだと、我ながら詭弁の効いた企画だと自覚しながら、提案してみたの。
私の提案を聞いた当初、校長先生始め教師陣はあまり乗り気では無かったんだけど、或る人物が現れてくれてから、雲行きが一変したんだ!
その人物とは、元ベルタ王国国王にして現『ベルタ公アマド殿下』!
この御方は、アラン様とクレリア様が帝国の軍事と政務を担う中、どうしてもおざなりとなる文化面の担い手にして、アラン様とクレリア様が不得意と言える各国の王族・貴族との交流や折衝も担われているの。
今回の留学事業も、大きな視点で言えば文化交流には間違いないので、『ベルタ公アマド殿下』の意見は、帝国上層部の意見として凄く影響が有るんだって(後で女子会メンバーでアマド殿下の奥さんで有るヒルダ様から聞いたの)。
然も、折角だから各国の王族・貴族そして帝国の華族でも年若い人々を招いて、世界へ放送する事で泳ぐという文化を一大ブームにしたいんだって。
アマド殿下は、以前は下半身が毒の影響で不随だったんだけど、例の『婚姻式の奇跡』で使徒の『イザーク』様からの『祝福の光』を浴びて、前よりも頑健な身体を取り戻しているから、『学校』のスポーツイベントに参加されたりしていて、とても理解があるんだよね。
「アラン皇帝陛下が、いよいよスラブ連邦との決着を着けるべく、帝国軍の機動戦力を北上させている現在、不謹慎かも知れないが帝国は世界の民に対して、スラブ連邦の様な世界の民に恐怖と憎悪を振り撒く存在と違い、友愛と豊穣そして楽しみを与えるのだと示す必要が有るのだ!
そしてこの事は既にアラン皇帝陛下とクレリア皇妃陛下の承認を得た国家プロジェクトでも有るのだ!
関係各位は、是が非でも協力して欲しい!」
と大真面目に宣言してくれたから、それからはあれよあれよと進んで、凄い人数での『リゾート・ドーム』を貸し切った一大イベントになっちゃった。
お陰で日頃は難しい顔をしている、校長先生や教頭先生もお子さんやお孫さんを連れて来ていて、本当に楽しそう。
そんな中でも、メインのお客様である留学生して来た『魔法学校』の生徒30人と付添の教師5人は、面食らった様に『リゾート・ドーム』の『波打つプール』と『流れるプール』そして『ウォータースライダー』を眺めてる。
その気持ちは判らないでも無いなあ。
他の国で、たかが遊興施設に此処まで大掛かりに資金を投下して、本気で一大文化として振興させようとする国家なんて無いだろうからね。
そんな一団からマリオン君が出て来て、
「どうぞカレンさん、始めてでどう遊べば良いかも判らない自分達に、指南してくれませんか?」
と苦笑されながら言われたから、私と友達全員で『魔法学校』の生徒30人を誘い、先ずは『波打つプール』と『流れるプール』に連れて行って、プールに慣れさせてから『ウォータースライダー』に2人一組で大きな浮き輪に前後に乗って、初心者用の高さのコースの挑んだの。
何回か初心者用の高さのコースを楽しんだら、段々中級者用の高さのコースまで挑み始めて、『魔法学校』の生徒30人も嬌声を上げて楽しみ始めたわ。
私もマリオン君と、中級者用の高さのコースを何度か楽しむと、休憩用のスペースに行って、此処の名物の『トロピカル・かき氷』を頼んで頭をキーンとさせながら美味しく頂いたの。
すると、マリオン君(彼は此れも名物の『トロピカル・ジェラート』を食べながら)は、
「ありがとうカレンさん!
君がこの企画を通してくれたお陰で、少なくとも『魔法学校』の生徒達は、肩ひじを張らずに留学生活を送れば良いのだと理解してくれたと思う。
僕達、この惑星アレスに生きる人間にとって、国家間のプライドややっかみなんて、本当に意味のない話しでしか無いからね。
僕達は、今を精一杯学習して体験して遊ぶ事で楽しみを覚え、何れはそれを後世に伝える事で、しっかりと未来を繋いで行くんだよ。
この信念を持って、セリース大陸をより良く導いて行こうとしている、アラン様と帝国には頭が下がるよ。
僕は、この帝国に留学出来て本当にありがたいと思っているのさ。
どうか、もっともっと帝国の素晴らしさを、僕の仲間たちに教えてくれないかいカレンさん!」
と頼んで来たから、私は言って上げたの。
「いいよ、教えてあげる!
だけど、其れには私も聞いて貰いたい事があるの」
と言うとマリオン君が「何を?」と聞いて来たから言ってあげたの。
「何時までも語尾に、さんや君と付けるのは他人行儀じゃない?
此れからは、お互いに名前呼びだけにしようよ!
その方が『親友』になった気がしない?」
と言ったら、マリオン君は最初目を丸くして驚いた様だけど、やがて破顔して、
「判ったよ『カレン』。其れでは此れから僕の事は『マリオン』と呼んでね!」
「うん!それで良いよ!」
と返事した。
こうして、私とマリオンは『親友』になったんだ。