人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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閑話95「ガトル親父の雑記」㉖(親父、自分の孫の誕生に喜ぶ)

 11月11日(コリント朝元年)

 

 俺の孫が無事生まれたぜ!

 男の子で、俺と妻のマゼラが考えた名前は『ケント・マグワイア』(そう言えば俺もいつの間にか華族になってて、姓が与えられてたんだよな、忘れてたぜ!)、然もアラン様とクレリア様の間にお生まれになった初子で有る皇太子殿下とほぼ同時にだ、なんて目出度え話しじゃねえか!

 本当は俺もアスガルド城に向かいてえんだが、あまりにもアスガルド城に押し寄せる華族と、他国の王族や貴族が多すぎて(凡そ5千人くらい)集まったらしいので、入城規制されたらしい。

 あの巨大なアスガルド城でも、流石に華族のサロン室や控室だけでそんな多くの人を迎え入れれる訳ねえし、城付きの職員も捌ききれ無かっただろうな。

 でも、早速に皇太子殿下ご誕生のニュースは、あらゆる場所のモニターを通して全世界に伝わり、帝国でも瞬時と言って良いほど知らされたから、色んな場所でお祝いの歓声と乾杯が繰り返されてるぜ。

 気の利いたニュースでは、俺の孫や剣王の子供もほぼ同時に生まれた事を報じてくれて、何だか俺の孫を帝国国民が祝ってくれてる様で、ありがたかったぜ!

 

 俺が港湾施設の大食堂に備え付けの巨大モニター越しに、ニュースを見てたから、仕事を休んで見てた作業員・技術者・事務員等の全員が、祝辞を述べてくれたよありがてえな!

 中でも、若僧(マリオン)は凄え勢いで喜び、ワザワザ『ナノム玉3』服用者の特殊能力で有る、AR相互通信をモニターで見せてくれて、俺達は帝国民の誰よりも早く皇太子殿下と俺の孫達を見れたんだよ。

 

 全く便利な能力だよな、俺も例の賢聖モーガン殿とドレイク殿、そして若僧の技術ディスカッションの場で度々技術的な疑問や行き詰まりが有った場合、『イーリス』様がモニター上に現れてくれて、全ての問題や疑問をたちまち解決してくれるから、俺もすっかり『イーリス』様の信者になっちまって、『トール』鍛冶神と同じレベルで私室の神棚に祀っているくらいだよ。

 

 11月12日(コリント朝元年)

 

 早朝から、俺達の家族は総出でアスガルド城に有る、孫とミーシャさんが居る医療施設の病室に向かった。

 大勢で朝から出向いたにも関わらず、特別ルートで護衛兵まで付けてくれて、件の場所まで案内してくれた。

 思わず恐縮しちまったが、一緒に来た俺の両親とマゼラの両親は、ごく当然といった様子で護衛されてやがる。

 どうしても俺と子供達は未だに、自分達が華族であると云う事実に慣れないんだが、両親達は華族と云う立場を普通に享受してるんだから、肝が据わってやがると自分の親ばがら感心しちまった。

 

 暫く護衛されながら案内されると、親衛隊の方々が厳重に警備している一角に通されて、俺は始めて自分の孫と対面した。

 遥かな過去の記憶で、息子のケニーと娘のカレンを妻のマゼラが産んでくれた感動を反芻しながら、ミーシャ殿が抱える産着の中を覗き込む。

 孫は、すやすやと気持ち良さそうに寝ていて、何とも健康そうな肌艶をしていて、とても元気そうだ。

 家族全員で、孫をこんなに健康な身体で産んでくれたミーシャ殿に感謝し、俺は近くに控えていた産婦人科の医師の手を握り、お礼を述べた。

 

 暫くそんなやりとりをしてから、家族全員が落ち着いた頃に、孫の名前を発表してやった。

 その名は、

 

 『ケント・マグワイア』

 

 名前が『ケント』で『マグワイア』が家名となる。

 

 この家名は、クレリア様がくれた家名で、今から300年前くらい以前に スターヴェーク王国を支えていた由緒正しい貴族だったのだが、旧アロイス王国の卑劣な侵略を受けて断絶してしまったそうだ。

 

 だが、今回『アポロニウス皇太子殿下』誕生に際し、他の4人の赤ん坊の親達の帝国への献身ぶりを称え、過去にスターヴァイン王家を支えた4家を復活させて報いる事にしたそうだ。

 (他の家名としては、ミツルギ殿とオウカ殿の貰った『イチジョウ家』がある)

 何とも恐れ多い話だが、クレリア様とアラン様のたっての願いであると、爵位審議委員から説明され、素直に受け入れた経緯がある。

 

 11月13日(人類銀河帝国 コリント朝元年)

 

 結局、昨日まで諸々の説明と今後の健康管理を言い渡されて、今朝になって漸く全員で我が家の有る『ルンテンブルク館』群の我が家に戻れたぜ。

 

 孫の『ケント』にとっては初の我が家になるが、まだ産まれたばかりなので、寝た儘の帰宅になったな。

 

 妻のマゼラがミーシャ殿の為に、部屋を赤ん坊と過ごせる様に整えてくれたので、ミーシャ殿と孫の『ケント』は直ぐに部屋に向かって荷物を解くと寛いでくれて、直ぐに就寝しちまった。

 やっぱり、アスガルド城に居る間は緊張していて、我が家に帰ってきて漸く安心できたんだろうな。

 

 お昼になって、若僧の奴が生意気にも孫の誕生祝いと称して、幾つもの赤ん坊用の玩具を車両一杯に満載してやって来やがった。

 俺にもよく判らない様な何やらクルクル回る、天井から吊り下げる玩具や、とても柔らかい素材で出来た鍵盤付きの楽器、木製で突起が無い形の木馬、他にも俺が今まで見たことの無い代物ばかりだ。

 

 「何処で手に入れたんだこの玩具達は?」

 

 と若僧に聞いてみると、若僧は、

 

 「全て、僕が『イーリス』様に聞いて、赤ちゃんの知育玩具としての資料を見せて貰い、手が開いている時間に、トカレフ達と誕生祝いとして製作してたんですよ。

 どうぞ、受け取って下さい師匠!」

 

 とアッサリ答えやがった。

 全くなんて野郎だ!

 『イーリス』様にこんな個人的なお願いを通すとは信じられないぜ!

 そんな風に、玄関先で話していると、娘のカレンが、

 

 「マリオン、ありがとう!

 どうぞ上がって行ってね!」

 

 と俺を無視して、若僧の手を引いて家に連れ込んじまった。

 まあ、折角のプレゼントだし、目くじらを立てる必要も無いかと考えながら家に戻った。

 

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