人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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閑話97「ガトル親父の雑記」㉘(親父、『飛行船』の開発に勤しむ)

 1月10日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 凡そ2ヶ月間を掛けて、帝国総旗艦『ビスマルク』と巨大陸上空母『グラーフ・ツェッペリン』の改修が終わった。

 今までは、ちょっとした高低差の丘ですら越える事が出来ずに、回り込むか破壊しなければ通れなかったのだが、幾つもの追加システムのお陰で余程の峻険な山脈以外は越える事が出来る様になった。

 帝国総旗艦『ビスマルク』には、専用武装の『カイザー砲』の効率化と収束化そして分散化が図れた。

 巨大陸上空母『グラーフ・ツェッペリン』では、ヘリコプターの搭載が無くなり、広大なペイロードが余ったので、其処に量産型のドローンを大量の積載と簡易的な修理が出来る様にしたのだ。

 更に2つの艦には、より探知魔法と通信設備の性能アップと、ドラゴンとのダイレクトリンクが出来る装置の拡充が図られた。

 その辺りの改修部分の説明と運用を、これから3日間レクチャーする事になるんだが、俺とドレイク殿はどちらかと云うと理論畑の人間じゃねえから、どうするか?と頭を悩ませてたら、何と若僧(マリオン)の野郎がアッサリと引き受けてくれたんだが、いくらなんでも学生でしかねえ若僧の手に負えるもんか!と言ってやったら、息子のケニーの幕僚と帝国軍の士官学校出のエリートさん達は、「それは素晴らしい!」と手放しで賛成してやがる。

 何でも、若僧の作る『マニュアル』という手引書は、非常にわかり易くて、詳細に知りたい場合は別の資料が用意されていて、微に入り細に入り素晴らしい『マニュアル』なんだそうだ。

 まあ、便利な野郎ではあるからその点は認めてやっても良いかも知れねえな。

 

 1月20日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 いよいよ、『飛空艇』の開発に取り掛かるぜ!

 既に基本コンセプトと、外装や船内の設計は終えていて、残すはエンジン部分と制御ユニットのバランス作業だけだ。

 此処で問題なのは、例の龍脈に沿ってしか『魔法大国マージナル』が保有する『飛行船』は飛べない。

 だが、帝国の今後を考えると広大な国土を移動する必要のある『飛空艇』は、龍脈に沿わない場所にも飛んで行けなければ不便極まり無い訳だ。

 これを打開する方策を、賢聖モーガン殿と若僧が出してくれた。

 賢聖モーガン殿がこれまで研究して来た『飛行船』の飛行魔術理論と、ドラゴンやワイバーンの魔力による飛行魔法の研究。

 そして若僧が独自に作り上げた人による『浮遊魔法』、そしてそれを発展向上させた人が飛べる『飛行魔法』。

 此等を更に効率化して、アダマンタイトに封入させてそれを四隅に配置して、互いにバランスを取る魔法講式を構築した上で、『イーリス』様が作動させる強力な『飛行魔法炉』の設計図が出来た。

 

 この『魔法炉』を実際に組み上げて、実験するのが俺とドレイク殿の役割だ。

 張り切って始めるぜ!

 

 1月27日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 何十回と云う試行錯誤により、何度も設計図を改訂し漸く満足が行く物が出来たので、実験機を作り上げた!

 縮尺10分の1の模型を作って、実際に飛ばせて見た。

 かなりのスピードを出した飛行をこなした上で、何処まで高度を取れるか?といった実験をひたすら繰り返す。

 この作業を、若僧のシンパ(トカレフ達学生連中が主軸な集団50人程)がやたらと興味を持って取り組んでくれて、様々なデータが取れたぜ。

 

 若僧とそのシンパのお陰で、貴重なデータが大量に蓄積したのでいよいよ初号機の作製に入った。

 

 1月31日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 漸く『飛行魔法炉』の初号機が出来上がり、空軍の留守部隊との防御耐久実験や、バリアーの最大展開時間実験を行う。

 この徹底的な実証実験を繰り返したお陰で、自信が着いたから何度も帝都コリントに一番近い都市で有るガンツとの往来を、貨物搭載で試す。

 そして希望者による、搭乗実験をこなして行って、いよいよザイリンク公国の公都までの飛行訓練を行う。

 最初は、スピードを抑えて1日掛かりで往来してみたが、全然問題を起こさずに往来出来たので、公式航路を人や物の出来る輸送路として活躍させる事になった。

 帝国としても、『第二回世界武道大会』が迫る中、魔導列車やトレーラーを最大限使っても、5日掛かる現状をたった8時間で向かえる交通手段は、喉から手が出る程欲しかったんだろうな。

 

 だが俺にとっては、漸く『飛行船』の開発に拘束されていた期間が終わり、半分趣味の武器開発が出来そうで思わずにやけてしまったぜ。

 

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