人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
5月1日
目を覚ましてみると其処には新たなる我が家の真白い壁が見える。
何とも殺風景だがそもそもここは魔の大樹海の開拓地の筈なのだ、そんな感想を抱く事自体おかしな話ではないかと思い直す。
朝食を取りアラン様の指示の下サテライト8班は巡回を始めた。
一刻も早くこのドームなる都市の状況把握と地理把握そして入植者達の心身を落ち着かせ、此の領地を軌道に乗せる事に注力すべきと気合を入れ直し行動を開始した。
先ず職人の住居の一画を訪れそれぞれに割り当てられた工房及び工場なる先進的な場所に案内する。
工場にはボットが居り、どういった用途と機械なる魔道具の動かし方を教授してくれて、又必要に応じた相談を受け付けると説明してくれていた。
5月2日
本日はいよいよフードコートなるレストランや食堂の様なものが集中している一画が始動する。
此処に至るまでの道程で説明を受けていたが、何と此処で食事をする場合は貨幣であるギニーでは無くポイントなるもので精算するそうだ、最初に渡されたカードにポイントなるものが仕事量等で累積されそれをギニーの代わりに使えるという仕組みで、本人にしか使えない様に魔法で個人認証されるらしく犯罪目的で盗んでも意味を成さない仕組みだそうだ、なんとも素晴らしい代物だ。
5月5日
それなりに皆この生活に慣れてきた処で次のドームが公開された。
このドームは農業ブロックという物で主に食糧となる植物を主軸に小麦、大麦、稲等を栽培そして各種果樹園等を植える予定だそうだ。
更に連れてきた牛、豚、鶏の養畜を行い、いずれは放牧場を設置し用水の為に設置された池にはドームの隣を流れるナーセ川他から取れた魚類を養殖するという事だ。
5月8日
次のドームは工業ブロックといい上水道、反射炉、インフラ工場、ナノム増殖工場、MM(マイクロマシーン)増殖工場、兵器工場、工板工場、材木工場等の耳慣れない先進的な設備が現在急ピッチで建築中の住居の数が整い次第、これらの構築に取り掛かるとアラン様は仰られ本格稼働は数ヶ月先になり一般領民にはまだ公開しないとの事。
因みに下水道なる物は既に農業ブロックで稼働しており、スライムを活用した水資源の浄解を目的とした循環システムが出来ているとの事でスライムが増殖したら魔石を回収した後に資源として利用するらしい。
5月10日
最後のドームは軍事ブロックで我々(旧スターヴェーク民の軍事関係者約500人)は、ここが基本的な活動拠点になり、軍事に纏わる諸々は全て此処で行われるが、当然此処は他の者には部外秘とされる。
久しぶりにグローリア殿と此処で再会できたが、グローリア殿用の家とも言うべき構造物は解るのだが併設して有る竜舍を見せられて驚かされた。
何と15頭ものワイバーンが其処に繋がれて居たのだ。
「皆んな大人しく言うことを聞きますよ。」
と上の方から声を掛けられ思わず見上げるとグローリア殿が居られた。
「まさか貴方が?」
と聞き返すと
「ええ、私が今喋りました。」
と返された。
茫然自失しているとシャロン殿とセリーナ殿が笑いながらグローリア殿が胸に革で固定したアーティファクトで竜語を人語に変換出来る様にして任意で切り替えられると説明してくれた。
クレリア様始め皆感動し、恒例のそれぞれの挨拶式は改めて人語で行われた。
5月11日
軍事ブロックにて我々(旧スターヴェーク民の軍事関係者約500人)に今後の指針が示された、先ず全員に「ナノム玉」というアーティファクトとでも云うべき代物を服用し「精霊の加護」を受けて貰うが此の事は当面部外秘とし我々の中だけの秘密とすること、そして効能が表出するのは五日後以降なのでそれ以降に今後の軍の編成及び調練を順次行って行く事が示され、表向きに我々は今まで通り「クラン・シャイニングスター」と名乗るのだが、実際上は本日を持って「スターヴェーク帝国軍」(略称は帝国軍)が正式名称で有ると皆の前でアラン様は厳かに宣言された。
我々はアラン様とクレリア様に対して即座に跪き、各々感動の涙で打ち震えた。
5月16日
これ迄の間各ブロックを巡廻しながら土地勘を養い領民との横の連携を確認したりして過ごし、「精霊の加護」を受けられる本日を迎えた。
アラン様の召集の元軍事ブロックにて示された軍の内容は以下の通り、
「近衛軍」
人員300名
計3部隊からなる攻撃を主とする軍
第一部隊・・・・・・・・・隊長アラン様だが、アラン様はグローリア殿に搭乗される事もあるので其の際には副官のダルシムが隊長代行を務める。
第二部隊・・・・・・・・・隊長セリーナ殿
第三部隊・・・・・・・・・隊長シャロン殿
「空軍」
人員30名
竜であるグローリア殿を中核としワイバーン15頭に搭乗して主に地上に対しての偵察・撹乱・攻撃をする
「支援軍」
人員170名
クレリア様が率いられるが当然危険性を考慮してエルナ殿が前面にでて補佐し場合によっては代理する
主に回復・付与・魔法支援攻撃を行い「近衛軍」の側面支援を行い此処には触れていないが、「補給部 隊」、「諜報部隊」等との連携を任務とする。
此等の軍に選り分けて向き不向き等を勘案しながら調整して、各々訓練を開始する事となった。