人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

30 / 352
22. 11月の日記③

11月8日

 

 早朝から軍事ブロックの広場で其々の軍が装備の確認と点呼等をしている。

 自分もガイに積み込む荷物と装備の確認を終え、空軍全員の点呼を行い問題なしとの報告をアラン様に報告し丁度同じタイミングに来られたカイン殿と鉢合わせしたのだが、何故か其処に親父の姿が有った。

 「何故親父が此処に居る?」

 と疑問をぶつけると親父は、

 「何故もヘチマもあるか、俺は其処の貴族の坊っちゃんにドリルバイクの説明をする為にアラン様から呼ばれてるんだよ、邪魔だからおめえは脇にいて後学の為に内容を聞いてやがれ。」

 と捲し立てられたが、流石に貴族の坊っちゃんは失礼だと思いカイン殿に謝罪したがカイン殿は、

 「構わない、いやむしろざっくばらんに接してくれた方が、自分としても本音の会話が出来て嬉しい。」

 と言われ、親父まで当然といった顔をしているので何も言えなくなり黙って脇で見ている事にする。

 親父は、

 「今まであんたが訓練していたドリルバイクは、あくまでも試作品でな目の前に有る此奴こそが正式採用版だ、どう違うかと云うと先ずはドリルが違う。

 今までのドリルは鋼を使っていたんだが、此奴はアダマンタイトの塊で鋼とは雲泥の差の硬さだ、アダマン或いは強化ダイヤモンドとも言われているそうだが、8ちゃんに言わせると『高圧縮魔道伝導体ダイヤモンド』というのが正式名称らしいが、ミスリルより硬いと言われる伝説のアダマンタイトが似つかわしいからこれで決まりだ。

 このアダマンタイトは見ての通りクリスタルみてえに透明だ、だから魔道伝導体として魔法を発動させると色が変わる、例えば火系統なら赤、氷系統なら白といった具合だ、試してみな。」

 とても貴族へ話す口振りでは無いが、カイン殿は気にする様子もなく早速ファイアーをドリルバイクのコンソール(幾つものボタンで選択出来る様になっている)から選ぶと、ドリル部分が赤熱化し始めた。

 「オオッ!」

 と周りにいた技術者達も感嘆する中、親父は、

 「どうでえ、大した代物だろうが、こいつなら敵に居るという『フェンリル』やセシリオ王国「氷雪魔術師団」が作る氷壁なんざ粉々に粉砕してくれるぜ!」

 と鼻息も荒く太鼓判を押した。

 カイン殿は大いに気にいった様子で親父に握手を求め、親父もその無骨な手で握り返した。

 他の面々も用意が出来た様で、広場に整列し始めた。

 整列が終わった段階でアラン様が壇上に上がられ、今回の作戦概要を大型立体プロジェクターで説明し始めた。

 「我々は此れよりファーン侯爵領の危機を救う為に全軍を以って救援に向かう。

 留守にするコリント領の守りは警備隊と警邏隊が行うが、補佐として冒険者組合から『疾風』や『漆黒の剣』他のクランが協力してくれる事になった、更にいざとなれば空軍が直ぐに戻るので後顧の憂いは無い。

 編成は、

  近衛軍(100)、空軍(30)、支援軍(70)、機動軍(500)、補給軍(500)となり、隊形は機動軍が先鋒で続いて補給軍、そして空に空軍といった形で『魔の大樹海』を征く。

 皆存じているだろうが、未だファーン侯爵領までの道は舗装工事を始めたばかりで、道筋を空軍が空から焼いて印を付けて程度の代物でしか無い。

 よって我等は半ば道を切り拓きながら進む事になるが、悠長に舗装しながら征く暇は無く車両で疾走しながら突き進む事になる。

 車両の先陣はドリルバイクが務めそのドリルで以って障害物を粉砕しながら進み、その後ろに作戦指揮車両の大型トレーラーが続き此処から軍団魔法『オーディン』を常時展開して全軍を包む、それに続いてバズーカバイクとサイドバズーカバイクを両側に置いたバイク部隊、後方は補給軍のトレーラー部隊となる。

 近衛軍、支援軍とその他の軍の交代要員も補給軍トレーラーに乗り込み4時間毎に交代する。

 かなりの強行軍となるが、今までの訓練を思えば4時間ずつ休めるのだから我等ならば問題無い。

 準備も整った様だし、連絡手段の通信機も全員配布済みだ。

 さあ、全軍出撃だ!!」

 とのアラン様の激に皆、

 「「「「オー!」」」」

 と応じ各自車両に乗り込んだ。

 カイン殿が最初のドリルバイクの操縦者の様で、近衛軍と同じ武具に身を包んでドリルバイクに乗り込み気合の乗った顔を正面に向けている。

 車両の隊形が整った様で、作戦指揮車からヴァルター第一軍指揮官から、

 「機動軍発進!」

 の命令が発せられ、ドリルバイクが先頭の機動軍が軍事ブロックドームの開いているゲートを潜り抜け、続いて補給軍のトレーラー部隊がゲートを抜けて『魔の大樹海』に全軍が向かう。

 大凡5キロメートル程はある程度の舗装がされており、魔法を使用する必要が無かったが其処を過ぎると道幅が5メートル程しか無く、所々に倒木や飛び出た岩そしてまだ両側に壁が無いので魔物も時折姿を現す。

 そんな中を先頭のドリルバイクは、赤熱化させたドリルを回転させ倒木や飛び出た岩を触れた瞬間に粉砕し、飛び出て来たグレイハウンドやオークを跳ね飛ばしながら突き進んだ。

 バイク部隊の両側のバズーカバイク達も、時折障害物に向けファイアーグレネードを発射して粉砕し、後続の補給軍のトレーラーも前面に鋼鉄のバンパー(障害物除けだそうだ)を張り出させている為、粉砕された障害物を跳ね飛ばし道幅を広げながら順調に進む。

 今日1日で行程の3分の1を踏破する事が出来た。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。