人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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9月の日記③(人類銀河帝国 コリント朝2年)《『アラム聖国』との此れ迄》

 9月28日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 現在帝国軍は、『魔の大樹海』の外縁部の大山脈に有る盆地で大規模演習を繰り返している。

 此の場所は将来の帝国軍の用地として、大規模に更地にする必要が有り、かなり『アラム聖国』の国境線に近く敢えて此の場所で演習を行うのは、当然『アラム聖国』への牽制で有る。

 

 自分の空軍からは量産型ドローンを出動させ空中からの情報収集と、『アラム聖国』からの偵察行動を見守っている。

 

 《・・・『アラム聖国』か・・・》

 

 自分は刻々と積み上がる演習のデータと、『アラム聖国』の現状データを見ながら、思いを馳せる。

 

 そもそも自分の出身である旧スターヴェーク王国は、『アラム聖国』に遥かな過去から侵略を受けていた、謂わば因縁深き敵対国家だった。

 然も、旧スターヴェーク王国が一旦滅ぶ憂き目を見た、悪逆なアロイス王国によるクーデター自体が、『アラム聖国』がアロイス王国をけしかけた結果であり、その後も我等旧スターヴェーク王国残党を追い詰めるべく、ベルタ王国やセシリオ王国を走狗として使い、我等に牙を剥いた!

 だが、我等の元には神の如き存在で有る、アラン様が天より降臨されていた!

 アラン様は、あと一歩で死ぬ寸前だったクレリア様を救われ、徐々にベルタ王国で地歩を固められて、旧スターヴェーク王国残党とベルタ王国の良心的な人々を迎え、確固たる地盤を始めての領地で有る『魔の大樹海』を切り開くと、数々の戦功を重ねベルタ王国の常識の有る貴族達と協力して、ベルタ王国を我が物としようとするヴィリス・バールケ宰相一派を退治し、あわや弑逆されそうだったアマド陛下の救出に成功した。

 そのヴィリス・バールケが起こした内乱にも、『アラム聖国』は裏で動いていて、走狗のアロイス王国から兵士数万人と強力な魔道具・アーティファクトで、我等を脅かした。

 しかし、アラン様に率いられた我等は、そんな独善的な野望を撃ち破るべく行動し、ベルタ王国をアマド陛下の元に戻す事が出来た。

 その我等の行動に、業を煮やした『アラム聖国』は、セシリオ王国の王太子であったルージを篭絡した挙げ句、ベルタ王国への再度の侵略と己の国民をゾンビに変えるという、人倫を犯す外道の行為をさせた上で、そのゾンビと変えた国民を尖兵とした攻撃を、我等と協力を願い出たセシリオ王国貴族達と義勇軍に向かい仕掛けてきた!

 その神をも愚弄する愚かな行為は、正に神の怒りを買ってしまい、『女神ルミナス』様が遣わした使徒『イザーク』様がアラン様に協力し、見事にゾンビと変えた国民諸共浄化し、塵一つ残さずに消滅した。

 尽く目論見を潰された『アラム聖国』は、半ば意地となって走狗たるアロイス王国を使い、我等への全面対決の道を進ませた。

 その行動そのものが、綿密な計画に基づいたものでは無いので、アラン様と我等は当然此の日が有ると考え準備していた為に行動を粛々と進め、呆気ない程簡単に自分の生まれ故郷で有るルドヴィーク辺境伯領まで軍を一気に進める事が出来た。

 此処に至って『アラム聖国』は、形振り構わずに軍隊を派遣した上に、切り札の一つである『双頭の暴虐竜ザッハーク』を投入し、我等との決着を図った!

 しかし、アラン様と我等は旧スターヴェーク王国を、どの様な事があろうと取り戻してみせるとの復仇に燃えていた!

 ベルタ王国で旧スターヴェーク王国を復活させようと、我等に有形無形の援助を行う旧スターヴェーク王国の元貴族や難民、そしてベルタ王アマド陛下や味方の貴族や将帥の方々、そしてアロイス王国を離脱し元の旧スターヴェーク王国に復帰した貴族や義勇軍によって、ルドヴィーク城を以前より遥かに強固な要塞へと変貌させる事が出来た。

 そして我等仮称スターヴェーク王国復興軍はルドヴィーク城で、アロイス王国と『アラム聖国』の連合軍との一大攻防戦を繰り広げた!

 凄まじいばかりの、魔法と砲弾そして銃器による遠距離砲撃戦を制し、空戦に於いてもドラゴンとワイバーンの総力を結集したアラン様と自分の空軍は、災厄の化身とも云うべき『双頭の暴虐竜ザッハーク』との激戦を戦い抜き、倒すことに成功した。

 その流れで、旧スターヴェーク王国の王都を解放し、一連の戦乱の終焉を迎えた。

 しかし、ぞもぞもの元凶である『アラム聖国』は一軍と『双頭の暴虐竜ザッハーク』こそ失ったが、自身の国土は一片たりと失っていないばかりか、旧スターヴェーク王国・ベルタ王国・セシリオ王国そして西方教会の秘蔵の倉庫から、諸々の魔道具とアーティファクトを没収しており、収支は五分と見て良いと思われる。

 アラン様と我等も、一連の戦乱に総力を傾け過ぎて、かなり疲弊してしまっていたので、一旦は『アラム聖国』との間に期限付きの不可侵条約を結んだのであった。

 その後、アラン様と我等は3国を統合し、『人類銀河帝国』を誕生させて西方・北方・東方を統合或いは同盟を結ぶ事で、事実上セリース大陸の覇者の立場を手に入れる事が出来た。

 然も魔法科学の発展と、様々な仲間と巡り会う事であの頃と、比較にならない程の力を蓄える事が出来ている。

 アラン様の指導の元で、我等は一致団結して行動する限り、そうそう『アラム聖国』からつけ込まれる事は無いだろうと、自信が持てる我等は幸せだと思う。

 

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