人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
11月1日(人類銀河帝国 コリント朝2年)
久しぶりの帝国軍公休日と云う事で或るイベントに参加する為に、アラン様とクレリア様そしてアポロニウス様のご家族と、自分の家族含む赤ちゃんズの家族全員、更にその一団を護衛する親衛隊達が付いてくる。
この場合によっては帝国軍1万人と対等に戦えそうな面子と、首都ドームに新しく出来た『アリスタ・デパート』のグランドオープンに招待されていたので特別送迎車両で向かったのだ。
此のデパートのコンセプトは、帝国の華族と他国の王族や貴族の御用達で、生活用品を含め殆どが高級品で占められている、完全な要人向けのデパートで有る。
一連の放送局と連動したグランドオープンイベントが終わり、我々はデパート側から派遣された案内店員により、赤ちゃん用の様々な玩具や衣服そして猫用の玩具売場に案内された。
このデパートの売りの一つが、アポロニウス様始め、華族や貴族の方々の間で相当な数生まれている、赤ちゃん用の様々な玩具や衣服で有り、ペット用の餌や器具の圧倒的な品数だそうだ。
そもそもこのデパートでは生鮮食品は扱わず、精々酒類が置かれている位で食品の類は存在しない。
何故なら、王城と華族そして他国の王族と貴族しか居ないこのドームでは、食料を買い込む必要が無くて、それぞれの家が予め他のドームから新鮮な野菜や肉類と魚介類を、直接契約していて毎朝配送されていて、使用人等が買い物に出向く必要が無いのである。
だが、こんな形での営業形態を取れるのは、あくまでもこのドームだけで、他の庶民用の生活基盤ドームではデパートでは無くてスーパーと云う、より庶民の生活に寄り添った総合的な買い物が楽しめる施設が作られ始めている。
そのスーパーと云う新しい総合店舗を立案・計画し、商業ギルド等の様々なギルド達と更に様々な国家の商会と交渉し、新たな物流と販売ルートの確立を誕生させたのは、カトル大臣とアリスタ嬢の婚約カップルなのだが、如何に2人が優秀とは言え身体は一つしか無いので、信頼出来る経営者として白羽の矢が立ったのは、我々がその昔に始めてベルタ王国の王都(現在は公都)に滞在するにあたって、なにくれと便宜を図ってくれて、その後のコリント領が始まる時にも、食料の買い付けや馬車等の斡旋を瑕疵無くこなした、カトル大臣の叔父さんにあたる『ターナー』殿と云う御仁である。
このターナー殿と云う御仁は、タルス殿の五歳年下の弟で、現在はサイラス・タルス商社に於ける役員の一人にして、大陸に於ける穀物流通の総元締めと言える程の人物で、この御仁が1週間風邪をひいたら帝国も風邪をひくと噂されている。
然もこの御仁の息子である『タロス』君と云うカトル大臣にとっては従兄弟にあたる、新進気鋭で学校出たての高級官僚は、かなりの人物らしく、様々な施策をカトル大臣に提言し、周囲を驚かせているそうだ。
何でも、このスーパー構想も彼タロス君が最初に提唱したらしく、それを形にしたのがカトル大臣とアリスタ嬢らしくその表向きの経営者として、他国にも名が通っているターナー殿を据えたというのが真相らしい。
そんな今後の帝国の生活スタイルに纏わる諸々を考えて、同じ様に所在無げに休憩所で有るラウンジで雑談していたミツルギ殿にシュバルツ殿そして親友のハリーと、共に飲んでいた珈琲を飲み終えたタイミングに、案内されていた赤ちゃん用品とペット用品の専門店から帰って来た奥様ズと赤ちゃんズは、非常に御満悦な様子だった。
そしてカトル大臣とアリスタ嬢との折衝を終えられた、アラン様とクレリア様そしてアポロニウス様のご家族とカトル大臣とアリスタ嬢の婚約カップルが合流し、このデパートの目玉の一つでも有るパーティー会場に全員で向かった。
此のパーティー会場は、とても品のある作りに成っていて、様々な彫刻や絵画そして幻想的な音楽が掛かっていて、非常に居心地の良い空間で有る。
其処に立食パーティー形式と、崑崙皇国の飲茶形式等が混在する、様々な憩いの場が用意されていた。
何ともカオスな会場な筈なのに、一種の力と云うか覇気とでも云うか、異様な迫力がある空間であるにも関わらず、招待された華族や貴族達は此れも一興とばかりに、各々が好む形式の憩いの場に向かい、楽しみ始めた。
我々も、此の場のコンセプトは敢えてカオスな会場に仕立てて、無礼講を地で行く場であると示している事に気付き、赤ちゃんズの安全を確保した上で、日頃食べた事の無い崑崙皇国の飲茶形式の食事を注文し、カップに御茶をワザと溢れさせて喫する形式の飲み方で、崑崙皇国の皇帝茶なる珍しい御茶を戴く。
その間奥様ズと赤ちゃんズは、赤ちゃんズ用に用意された崑崙皇国の離乳食を、赤ちゃんズに食べさせている。
何とも幸せな光景で、この様な幸せな時間が長く続けば良いなと願わずには居られなかった。