人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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1月の日記④(人類銀河帝国 コリント朝3年)《『ミネルヴァ』ちゃんデビュー》

 1月20日(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 かなりの数のパワードスーツが工場からロールアウトして配備されて来た。

 先の戦闘での結果と、後の検証で得られた教訓を元に少しの改良を行っている。

 空軍のドラゴンとドローンとの合体形態である『ドラゴン・フライヤー』と、予備のパワードスーツが配備され部隊数も常時120部隊となり、其れ以外は補充部隊となる。

 

 そしていよいよ操縦技能を磨いた人員が揃い始めたので、中央軍にもパワードスーツとパイロットが配備されて行く。

 その部隊と交代で中央軍の歩兵部隊の面々が、パワードスーツの訓練に入った。

 この流れを、中央軍を直接統括するダルシム大将が加速させていて、自らが率先して訓練を行っている。

 この分では軍団規模のパワードスーツ部隊が出来るのは、相当な速さで成立出来そうであった。

 

 1月25日(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 アトラス殿とグローリア殿の娘である『ミネルヴァ』のお披露目が行われた。

 彼女は卵の頃からの特別措置と、孵化されてからもコクーンでの特別培養により、ドラゴンとしての質的に最高の状態を最初から備えている。

 

 アラン様とクレリア様、其れにアポロニウス様が参加されるべく、親衛隊とともに参列している。

 そして空軍のドームのドラゴン区画から、135頭のドラゴンが飛び立ち、空中で滞空状態で列を作る。

 その列の前を3頭のドラゴンがゆっくりと羽ばたきながら進む。

 当然その内の2頭は、巨大な体格のアトラス殿とグローリア殿であるが、1頭は見慣れない極端に小さい姿の幼竜であった。

 

 そう、この小さいドラゴンこそは、アトラス殿とグローリア殿の娘である『ミネルヴァ』ちゃんで有る!

 新たな帝国の仲間であり、幼竜ではあるが種族的に古龍(エンシェントドラゴン)に分類されるドラゴンで、帝国の期待の仲間だ。

 

 アトラス殿とグローリア殿がゆっくりと地上に降り立ち、その2頭の間に体長3メートルの『ミネルヴァ』ちゃんが降り立った。

 

 アラン様とクレリア様が、アポロニウス様を伴ってその3頭の前に進むと、アトラス殿とグローリア殿そして『ミネルヴァ』ちゃんがひれ伏すように頭を下げると、その両親に倣ったのか『ミネルヴァ』ちゃんもチョコンといった感じで頭を下げる。

 その仕草が、何とも可愛くて場が一気に和み、アラン様とクレリア様も微笑ましく表情を崩す。

 そしてアトラス殿が、

 

 「此の度は、我が娘『ミネルヴァ』の為にお披露目式を設けて頂き、恐懼しております。

 どうか、我等ドラゴン達同様に、我が娘『ミネルヴァ』をお引き立て頂ければ望外の喜びです!」

 

 と言うと、グローリア殿も続けて、

 

 「アラン様にクレリア様!

 私の娘『ミネルヴァ』ちゃんが、つい先日飛べる様になり、早速お披露目してくれるなんて本当に有難う御座います!

 然も、アポロニウス様と面会させてくれるなんて、有り難いです!」

 

 と本当に嬉しそうに感想を言われたので、とうとうクレリア様が笑ってしまった。

 クレリア様が、

 

 「グローリア!

 本当におめでとう!

 貴方と初めて会えた時には、本当に驚いてしまったのだけど、それと同時にとてもワクワクしてしまって興奮してしまった事は、今でも大切な思い出なのだけど、何とあれから4年も経ってしまったのね。

 その間にも様々な出会いと、色々な出来事が有ったのだけど、私達は仲間として試練を共に乗り越えて、共に生涯の伴侶を得る事が出来て、その伴侶との間に何事にも代え難い至宝の子供を授かったわ。

 そして今、その私達にとっての至宝同士を引き合わせ、新たなドラゴンと人との友誼を結ぶ事を願うの!

 どうかこの願いを聞いて貰えないかしら?」

 

 と聞かれたので、アトラス殿とグローリア殿はまたも大きく頷かれると、娘の『ミネルヴァ』ちゃんを促し前へ進ませた。

 

 すると、アラン様とクレリア様も同様に、歩ける様に成って日も浅いアポロニウス様を促し前へ進ませた。

 

 アポロニウス様は、怖がる様子も見せずにヨチヨチとだがしっかりと歩まれ、『ミネルヴァ』ちゃんの前に進み、珍しそうに自分より遥かに大きいドラゴン達を見回すと、正面に居る『ミネルヴァ』ちゃんに近付く。

 その様子に『ミネルヴァ』ちゃんも近付き、アポロニウス様の顔に自身の顔を近付けた。

 双方が匂いを嗅ぐように鼻をヒクヒクと動かして、アポロニウス様はその小さい手を必死に伸ばして『ミネルヴァ』ちゃんの顔を触りまくる。

 無造作に触りまくられて擽ったかったのだろう、『ミネルヴァ』ちゃんがクシャミをして、そのクシャミの勢いにアポロニウス様はコロンと転がってしまったのだが、直ぐに立ち上がると、

 

 「キャーッ!」

 

 と叫ばれ、今度は『ミネルヴァ』ちゃんの足元に突進し、その足元の鱗を物珍しそうに触りまくり、『ミネルヴァ』ちゃんも嬉しいのか、身体を地面に倒すと自分の翼や尻尾をアポロニウス様に撫でさせて行く。

 

 やがて双方満足したのか、正面に双方向き直り、同時に片手を伸ばし合い柔らかい握手をしあった。

 赤ちゃん同士の他愛も無い仕草と言ってしまえばそれまでだが、我等帝国空軍にとっては、非常に大きな儀式であった。

 

 何故なら、如何に幼かろうとドラゴンと人とが、お互いを認めあったのだ!

 つまりは、ドラゴンと人との契約がなされた事を意味し、此れからアポロニウス様は『ミネルヴァ』ちゃんを騎竜とする契約した事になったのである。

 

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