人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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2月の日記②(人類銀河帝国 コリント朝3年)《八仙との再会》

 2月3日②(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 パワードスーツのシミュレーターに4人で、交代交代乗り込み色々な試行錯誤を繰り返してみた。

 幾つかのコリント流剣術・格闘術、神剣流・神拳流の基本動作をパワードスーツにはインストールされていて、理に叶った動作が信条の其れ其れの流派なので、殆ど無理無くインストール出来ていて、武器を使用したり回避したりする動きは全て流派通りの動きである。

 だが、問題は此処からだ!

 

 基本動作そのものは良いとして、いざ技や奥義の動作をシミュレートしようとすると、当然人間とパワードスーツとでは関節部の可動域、『気』を通す事で可能な奥義に至っては、不可能に近い事は判っていた。

 

 《・・・やはり無理か・・・》

 

 と全員で落胆していると、賢聖モーガン殿と妹の彼である『マリオン』、そして独特な着物を着た人達が奥の研究室から現れた。

 マリオンが自分を見つけて、笑いながら話し掛けて来た。

 

 「ケニー兄さん、お久しぶりです!

 先程のパワードスーツのシミュレーターでの操縦見せて貰いました。

 流石ですね!

 ドラゴンの高機動飛行に慣れていた身体は、体幹と三半規管の耐久値は常人を遥かに越えていて、パワードスーツを限界速度で旋回させた際の目の動きと、平衡感覚はアラン様に次いで2位の記録が出てましたよ!」

 

 と褒められてしまい、何とも面映ゆい気分だ。

 そしてマリオンは周りに居た、ミツルギ殿とシュバルツ殿、更にカイン中佐に目礼をすると、

 

 「しかし驚きましたよ!

 セリース大陸でも屈指にして、世界武道大会連覇中のお二方と、戦闘バイク乗りとして帝国で3本の指に入るカイン中佐が、こぞってパワードスーツのシミュレーターに乗ってくれるとは、開発者冥利に尽きますね!」

 

 とマリオンはやや興奮気味に話すので、3人も自分と同じ気分の様だ。

 そんなマリオンを落ち着かせる様に肩に手を載せていると、アラン様と賢聖モーガン殿が別室から戻ってきて、全員で応接区画のソファーに座った。

 賢聖モーガン殿が司会をするように立ち上がり、独特な着物を着た老人達を紹介してくれた。

 

 「貴方方は、初顔合わせだと思うけど、この方々は崑崙皇国に於いて最高峰の魔法技術者で『符術師』の権威で有る『八仙』の方々よ!」

 

 と紹介され、次々と名前と経歴を帝国発行のカードで示され、自分の個人端末に入力した。

 名前を確認すると、李鉄拐(りてっかい)・漢鍾離(かんしょうり)・呂洞賓(りょどうひん)・藍采和(らんさいか)・韓湘子(かんしょうし)・何仙姑(かせんこ)・張果老(ちょうかろう)・曹国舅(そうこっきゅう)と、如何にも崑崙皇国らしい名前だった。

 

 そして、自分はその中の二人の人物に覚えが有った。

 呂洞賓老師と藍采和老師で有る。

 

 「お久しぶりですね老師方!」

 

 と挨拶をすると、お二人も礼を返して、

 

 「本当にお久しぶりですな。

 例の『蚩尤』との最終決戦の際に、貴方の艦で宝貝の『躯体』の調整と起動をして以来ですな!」

 

 と返答されて来た。

 そう此のお二方は、自分の艦で有る『グラーフ・ツェッペリン』で『躯体』を調整していたのだ。

 

 「あの時に、従来の『躯体』を遥かに越えた能力を引き出す為に、此の帝国の最先端魔法技術を使わせて貰い、我等『八仙』はいたく感心し、是非帝国の最先端魔法技術を学ぶべく、アラン様に懇願してみた処、アラン様は快く受け入れてくれたばかりか、共に新しい魔法技術を開発しようと言われてな!

 此れ此の通り、賢聖モーガンと新鋭のマリオン君と共に、日夜新技術の開発に精を出しているのだよ!」

 

 とカラカラと笑われ、残りの六仙も同様に笑っている。

 

 この方々は、確か崑崙皇国でも尊敬の的であった筈で、信者と呼べる程の弟子が数万人は居た筈だが、その弟子達はどうしたのだろうか?

 

 その事を尋ねると、八仙は事も無げに言って来た。

 

 「嗚呼、問題無しじゃよ。

 儂等の弟子達は、全てこの帝国の魔法技術職員としてアラン様に雇用されていて、現在この研究所以外にも、港湾施設や戦闘車両・バイクの製造工場、他にはカーラ殿の魔法製薬研究所等で学びながら働いて居るよ!」

 

 と答えてくれた。

 そうなると、半端でない数の魔法技術者が崑崙皇国から抜けて帝国に来ている事になる、崑崙皇国側はそれで良いのだろうか?

 

 と素直に質問すると、またもアッサリと八仙は答えてくれた。

 

 「大丈夫じゃよ、崑崙皇国の現在の首都で有る『南京』と、此処帝都コリントは龍脈門(レイライン・ゲート)によって殆どタイムラグ無しで行き来出来ているし、崑崙皇国にも帝国からの研究者が大勢『符術』という西方教会圏にとって珍しい魔法技術を学ぶべく、出向いているからのお互いさまじゃ!」

 

 との事だ。

 全く帝国と崑崙皇国の間は、殆ど垣根というものが無く、学術交流どころか物流と人的交流も問題になった事が無いなと呆れた面持ちでいると。

 

 そんな自分に、マリオンが自慢げに話し始めた。

 

 「ケニー兄さん!

 実は、この八仙の方々の協力のお陰で、画期的な操縦システムがシミュレーターで完成したんですよ!

 早速先程アラン様に見せた処、大絶賛されましてね、是非ケニー兄さんにも見せたく思います!」

 

 と隣室に有る研究室に我等4人を連れて行く。

 そして其処には、パワードスーツのシミュレーターとは似ても似つかない代物が鎮座していた。

 

 「此れは?」

 

 とマリオンと八仙い問いかけると、自慢気にマリオンが、

 

 「此れこそは、帝国と崑崙皇国の魔法技術の融合!

 『モビルトレースシステム』の試作機です!」

 

 と答えてくれた。

 その言葉にやや気圧されながら、呆然とそれを自分は凝視している事しか出来なかった。

 

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