人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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3月の日記①(人類銀河帝国 コリント朝3年)《大戦への秒読み》

 3月1日(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 此の日、『人類銀河帝国』はアラム聖国の行為と行動に非を鳴らし、是正と帝国への謝罪を求めた公文書を全世界に公表した。

 当然この公文書を公開すると共に、アラム聖国の此れまでの悪事と不正、更に帝国に対しての不誠実な態度を時系列と様々な証拠、そして誰にでも判る動画での今までのテロ行為を流した。

 此の、今までは噂の範囲に留めていたアラム聖国の不実は世界中を駆け巡り、若干なりとアラム聖国への好意を寄せていた国家群は、たちまちアラム聖国への友好姿勢は影を潜め、帝国に対して表と裏での協力表明が打診されて来た。

 

 3月2日(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 案の定アラム聖国から帝国への弾劾請求と、宣戦布告が発布された!

 だが、アラム聖国から帝国への弾劾はあくまでも文書での物で、然も単に帝国の発表を非難しアラム聖国は此れ迄テロ行為をした事が無いとしているが、証拠となる様な物は一切提示せずに、ただひたすら帝国を誹謗中傷するだけで有った。

 まあ、帝国の様に論理建てて時系列に纏めて動画で説明する事などアラム聖国側に出来る筈も無く、情報戦に於いて帝国が他国に負ける事など有り得ない。

 此の一点に於いてもアラム聖国側は既に負けていて、如何にアラム聖国が抗弁しようと、他国が心底納得が行く筈も無い。

 そうすると、アラム聖国は只々力による現状変更を推し進める他無く、アラン様と帝国上層部が企図した通り、アラム聖国は選択肢を絞られてしまい、より短絡的な行動を起こしやすくする事に成功した事になる。

 

 3月3日(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 量産型ドローンの前線での大量投入により、リアルタイムでのアラム聖国軍の進行ルートが判明した。

 どうやら進行ルートは大きく3ルートで、やはり帝国との直接の国境線目掛け、凄まじい数の軍隊を派遣してくるようだ。

 其れとは別に、北方方面のそれ程道幅が広くない街道を、それなりの数で進軍している軍が有る。

 そして2番目に多数の軍団が、崑崙皇国の従属国であるビルマ仏国の国境へ進軍していた。

 

 恐らくは、帝国との直接の国境線ルート以外の進軍は、牽制の派遣であるだろうが、場合によってはその方面の敵が弱かったり無警戒ならば、そのまま攻め込んで来る事も有り得るので、安心は出来ない。

 

 刻々と目まぐるしく状況が変わり、大体のアラム聖国軍の概要が掴めた。

 

 其れによると、北方方面に進出して来るアラム聖国軍は、凡そ200万で、武装も軽装な肩から吊るす携行銃器ばかりで、大砲の様な重武装は持ってきていない。

 

 そしてビルマ仏国方面に進軍しているアラム聖国軍は、凡そ300万で、かなりの大砲類が配備されていて、かなり鈍重そうだがそれ故に手強そうだ。

 

 最後に帝国との直接の国境線ルートを進軍して来るアラム聖国軍は、凡そ400万に上る大勢力で後続の輜重隊も100万に達し、此の軍団だけで人数だけで帝国軍全軍を凌駕している。

 進軍スピードは各部隊にバラツキが有って、恐らく合流にはもう少し掛かるだろう。

 

 3月6日(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 アラム聖国軍がかなり帝国との国境線から離れた場所で集合し、隊列を整え始めているが、些か距離が有りすぎて帝国東方方面軍50万人は、国境線に有るドーム近くで待機しながら、陸上艦船に全軍乗り込んで布陣している。

 帝都コリントに何時も駐留している帝国中央軍も、直ぐに駆けつけられるようにスターヴェーク公都に駐屯しているし、中央軍と共にアラン様と自分の直轄軍たる空軍も同行している。

 そして本来は西方と南方の方面軍で有るヴァルター大将が、範囲を帝都コリント周辺まで広げて警戒体制を構築している。

 ヘルマン中将は、中央軍の抜けた帝都コリントの安全を確保する中核軍となり、帝都守備軍10万・セリーナ少将の高機動軍10万・シャロン少将の高機動軍10万を統括する。

 

 そういった軍容の配備状況を帝国軍の上層部が確認し、改めてアラム聖国軍の状況を確認しようとしていると突然!

 

 「ビーッ!ビーッ!」

 

 と緊急警戒警報が、自分が乗っている陸上巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』の作戦会議室に鳴り響く!

 すると、作戦会議室に備え付けの巨大モニターにアラム聖国の、峻険なヒラマヤ山脈が映された。

 何事か?と疑問に思いながら、モニター画面に釘付けになっていると、やがてヒラマヤ山脈の一部が開き始めて、ポッカリとヒラマヤ山脈の山肌に巨大な空洞が出現した!

 

 《何だ?》

 

 と不審な思いで、その巨大な空洞を伺っていると、

 

 「カッ!」

 

 と実際には音が響かない幻聴を聞き、モニター画面が白く染まった!

 

 5秒ほどの時が流れ、或る場所のモニター画面が凄まじい振動と音で激しく揺さぶられた!

 

 その場所とは、アラム聖国との国境線に有る帝国のドーム群で有る。

 その中型ドーム10基の内3基のドームが、完全に破壊され無惨な姿がモニター画面に大写しされた!

 何が起こったのかサッパリ判らないが、恐らくは先程の巨大な空洞からの攻撃だとは思うが、どの様な攻撃方法なのか検討が着かない!

 自分は、今まであまりの帝国の強大さに、傲慢な勘違いをしていた事に思い至り、アラム聖国の底知れない実力に恐怖を覚えたのであった。

 

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