人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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3月の日記②(人類銀河帝国 コリント朝3年)《一大会戦の直前》

 3月8日(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 最初の攻撃が有ってから2日経ち続けて2回、計3回の同様な攻撃が有った。

 1回目はドームを直撃したが、2回目は人の寄り付かない荒野に大きな穴を作り、3回目は遥かに距離の開いた海に攻撃自体が逸れた。

 此の事はアラン様が説明してくれたが、超高性能ドローンが弾道計算した上で、最大出力の粒子砲を砲弾そのものに直撃させ、最大出力のバリアーを張らせた1番近い量産型ドローンに弾道を逸らさせる事を、3回に渡って行わせ、帝国に被害が及ばぬ様にしたのだ。

 

 つまり、当初こそ対処のしようが無かったが、2射目と3射目でほぼ無力化する事が出来たのだ。

 だが、問題の大砲はヒラマヤ山脈山肌の巨大な空洞に有る事は判っているのだが、超高性能ドローンからの全力攻撃でも中々被害を与えられないでいるのである。

 どうも、アラム聖国が保持しているアーティファクトをフル活用した防御装置が存在している様で、それを何らかの形で攻略しなければ破壊は出来そうに無い。

 

 この事態を解決する為に、アラン様は臨時帝国軍会議をモニター越しに全軍の上層部参加で行った。

 

 「レールガン(電磁投射砲)と云うのですか?」

 

 と全員の疑問を代弁して、ダルシム大将がアラン様に聞いた。

 

 「そうだ、この大砲は並行に置かれた2本のレールとなる電極棒の上に弾体となる金属の砲弾を乗せて電流を流し、電磁力により金属の砲弾を駆動し射出するというもので、磁場を与えるために磁石やコイルが追加される必要が有り、大砲の持ち運びは事実上不可能に近いので、固定砲塔として利用するしか無く、この規模のレールガン(電磁投射砲)を利用する為の電力は、膨大にならざるを得ず。然も此れまでの状況を見るに、ほぼ連射を行うだけの電力を随時準備するのは不可能なのだろう」

 

 とアラン様が、モニター画面にレールガン(電磁投射砲)の概要を示しながら説明された。

 

 つまり、アラム聖国はかなりの無理をしてレールガン(電磁投射砲)を運用しているらしく、その意図をどの様に解釈して戦略を組むかと云う事が、臨時帝国軍会議の議題となる。

 

 ダルシム大将は現状の睨み合う状態を変更したいのではと意見を述べ、ビクトール大将はレールガン(電磁投射砲)を抑止力として戦線を膠着状態にしていのでは?と推測を述べ、ヘルマン中将はアラム聖国の地へと帝国軍を誘き寄せる為では?とアラム聖国側の真意を測り、ヴァルター大将はこの攻撃で帝国軍の目を引いて裏をかいて別方向からの攻撃を企図しているのでは?と疑い、自分は以前と同じく帝国内でのテロ行為をするつもりでは?と考えを述べる。

 この様に、其れ其れの考えを述べてその都度、皆で賛同したり否定意見を述べ、全員で考察して大体の方針が決まった。

 アラム聖国の国境線に布陣していた東方方面軍と中央軍、そしてアラン様の直属軍である空軍、更に大規模な補給部隊と修理部隊が合流して、一気に国境線を突破して、アラム聖国軍が此方方面に進軍する為に集合している地点近くの平野に進出する事となった。

 様々な状況が錯綜する中アラン様は、超高性能ドローンを主軸とした情報網でリアルタイムの情報収集を怠り無くする事で、臨機応変の体制を維持しつつ、罠が有れば食い破る気概の元で進軍すると指示した。

 

 3月11日①(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 カシミール地方と云う地域のジャンムという平野に向けて帝国軍は進軍して行く。

 帝国軍の総勢は約130万人で、アラム聖国軍は約500万人で有る。

 しかし、帝国軍は人間の数で有るがアラム聖国軍は全軍が獣化兵(ゾアノイド)で構成されている。

 獣化兵(ゾアノイド)は全員が5メートルを越える体長なので、人間の軍隊の規模の3倍程の大きさで、まるで山がそのまま移動しているようだ。

 其れに対して帝国軍も、全ての兵員が陸上艦船に搭乗しており、そしてその陸上艦船には様々な戦闘用のマシーンが搭載されているので、それ程アラム聖国軍の規模に対して遜色ない大きさである。

 双方が、生きた山の様に巨大な為、かなりの距離を開けた場所に布陣して、お互いに警戒しながら陣形を構築して行く。

 アラム聖国軍には、帝国軍の様な艦船の類は無い様で、大きな車両等も存在しないようだが、大砲や野砲其れに獣化兵(ゾアノイド)が使用する程の巨大な銃器を携行している様子が見て取れる。

 恐らくは、当初の戦いは其れ其れの砲による遠距離戦が繰り広げられるに違いない。

 

 自分の指揮する空軍は当然、事前に戦場を俯瞰させて戦況を優位に進める為に、予め超高空と高空に超高性能ドローンと量産型ドローンを配置している。

 いよいよ、帝国軍とアラム聖国軍の一大会戦が戦端を開こうとしていた。

 

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