人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
3月11日②(人類銀河帝国 コリント朝3年)
広大な戦場の空を覆い尽くす様な、立体プロジェクターの映像が浮かび上がる。
其れは、今までの帝国や西方教会圏に行われた、アラム聖国のテロ行為や戦争行為の数々で有る。
そしてそれらを背景にアラン様が現れて演説を始めた。
「・・・アラム聖国よ・・・、この背景に流れる動画の通り、貴国は我等帝国と西方教会圏に対し、不当な国内干渉とテロ行為や戦争行為を繰り返し仕掛けてきた。
その事を我等帝国と西方教会は、様々な証拠と共に弾劾する公式文書を、正式な使者を通して送り続けた。
だが、この3年間貴国からは公式な返答が無いばかりか、帝国と西方教会圏に対し不当な国内干渉とテロ行為や戦争行為を繰り返す頻度は些かも衰える事が無く、この度は先制攻撃と言わんばかりの大砲での攻撃が繰り出された。
最早、帝国と西方教会はアラム聖国と東方教会を許す事は出来ないと判断し、力による現状変更に対抗し跳ね返させて頂く!
よって、今より帝国はアラム聖国に対し改めて宣戦布告する!」
と堂々とアラン様は、アラム聖国に対し改めて宣戦布告した。
次の瞬間、アラム聖国側から凄まじい爆音と共に大砲と野砲、更には大型カタパルトと大型マンゴネルからの火薬兵器が雨あられとなって帝国軍の陸上艦船に降り注ぐ!
しかし、この様な攻撃を発足当初から繰り返しされて来た帝国軍は、少しも慌てずに何時も通りの対処法でバリアーを展開し、全て防いで見せるとお返しと言わんばかりに、其れ其れの陸上艦船に備え付けの砲塔から、各種の魔法弾と実体弾をアラム聖国軍に撃ち込んだ!
だが、案の定アラム聖国軍も帝国と同等のバリアーでその攻撃を跳ね返す。
やはり、故国奪還の際にルドヴィーク城の攻防戦で、アラム聖国軍が使用したバリアー発生装置は、帝国軍と同様に改良されてパワーが増し、あらゆる魔法攻撃と実弾攻撃を防ぎきった。
予想通りでは有るが、苦々しい事には変わり無い。
結局は、奴らの防御手段を潰す必要が有り、それを可能にするには至近距離に近づいて強力極まり無い攻撃を繰り出すしか無い!
その事はアラム聖国軍側も判っている様で、遠距離攻撃主体の陣形を急速に切り替えて、鶴翼の陣での『獣化兵(ゾアノイド)』の包囲攻撃を企図した様で、前面に防御力重視の獣化兵(ゾアノイド)部隊が展開する。
それに対し、帝国は鶴翼の陣に対する当然の陣形である魚鱗の陣を取らず、横陣に陣形を構えて土魔法による壁を3つ作り出した。
その3つの壁は3重に出来ているが高さは7メートル程で、精々獣化兵(ゾアノイド)達の視線を遮る位でしか無かった。
なので獣化兵(ゾアノイド)達は殆ど警戒無く、1段目の土魔法による壁に目掛け防御力重視の獣化兵(ゾアノイド)部隊が突っ込み、壊し始めた。
それ程時間も掛からずに土魔法による壁の1段目は崩壊し、2段目の壁に挑み掛かろうと防御力重視の獣化兵(ゾアノイド)部隊が構え直した瞬間、2段目の壁はアッサリと解除され、3段目と思われた土魔法の壁は幅のある土魔法による台場の上に、3000機に上るパワードスーツが巨大な砲を肩に担ぎ獣化兵(ゾアノイド)に対し構えている!
「スマッシャー(粒子砲)斉射!」
とファーン大将の命令が下り、一斉にパワードスーツが肩に担いだスマッシャー(粒子砲)を撃つ!
至近距離からの大口径のスマッシャー(粒子砲)が、圧倒的な光の束を吐き出し防御力重視の獣化兵(ゾアノイド)部隊を吹き飛ばした!
「ズガガガガガガガガーーーーー!!」
と遥か後方の獣化兵(ゾアノイド)を薙ぎ倒しながら光の束は止んで、3000機に上るパワードスーツ達は土魔法による台場から飛び降りて、陸上艦船に次々と収容された。
続いてカイン中佐のドリルバイクを先頭に配備した重装機動軍が、ファーン大将の旗艦である陸上重巡洋艦『ヴィルヘルム』の格納庫から飛び出て、土魔法による台場の後ろで鋒矢の陣に隊列を組む。
やがて組み上がった鋒矢の陣で、ドリルバイクを先頭に重装機動軍がアラム聖国軍に突貫する!
当然、重装機動軍は得意の戦法で有る軍団魔法『オーディン2』で、混乱しきりのアラム聖国軍に突っ込んだ!
しかし、何時もは此れでほぼ戦闘の大勢が決する筈が、流石は獣化兵(ゾアノイド)で構成されたアラム聖国軍は、前面の部隊をある意味捨てて、軍団の中程で強固な防御陣形を編み上げると、その直前に十字砲火出来る様な『殺し間』を作り上げて、重装機動軍を完全に壊滅する罠を構築した!
此れに直ぐ様気付いたアラン様は、ファーン大将を飛び越してカイン中佐に退避する様に命じると、その為の時間を作る為に、陸上艦船群からの牽制砲火をアラム聖国軍に浴びせる。
アラム聖国軍は、強固なバリアーを軍団で張る為に行動が鈍り、その間にカイン中佐率いる重装機動軍は素早く突進の方向を変えて、帝国軍の艦船の格納庫に収容されて行く。
暫し、帝国軍とアラム聖国軍は遠距離攻撃の応酬を続けたが、お互いに有効な被害を相手に与えられ無いまま、初日の会戦は幕を閉じた。