人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
3月12日②(人類銀河帝国 コリント朝3年)
帝国軍艦艇は、総旗艦『ビスマルク』を先頭に全艦隊を引き連れてアラム聖国軍に突貫した!
ビスマルクはその先端に有る超巨大アダマンタイト製のドリルを、唸りを上げて回転させて雷撃系の魔法を閃かせながら、帝国軍艦艇全体をコクーン(繭状態)の様に包み、攻防一体の陣形を取っている。
その間にも帝国軍艦艇は、あらゆる魔法弾を艦砲で進路上のアラム聖国軍の頭上に降り注がせる。
それなりの数を減らしていたとは言え、アラム聖国軍は補給軍を含めても400万以上残存していたのだが、大砲や野砲は使用出来ずにいる所為で、有効な打撃力が精々獣化兵(ゾアノイド)の固有武装で有るブラスターと音波兵器やビームしか無く、それらも帝国軍艦艇を覆うコクーン(繭状態)を貫けず、必死に抵抗している様だがどうしようも無く引き裂かれて行った。
20分程で帝国軍艦艇は総旗艦『ビスマルク』を先頭にアラム聖国軍を中央突破した。
その直後に『中央突破背面展開』と云う軍事的に最高の高等戦術を帝国軍艦艇は見事に行い、そのまま二筋に展開してアラム聖国軍を包囲し始めた。
流石にこの展開は不味いと考えたらしいアラム聖国軍は、二筋其れ其れの先頭を突き進むアラン様の乗る総旗艦『ビスマルク』とファーン大将の乗る陸上重巡洋艦『ヴィルヘルム』に襲いかかり、何としても完全に包囲される事態を避けようとして来た。
しかし、如何に獣化兵(ゾアノイド)が人よりも大きいとは言え、所詮は5メートル程の全長しか無いので、帝国軍艦艇は最小の艦艇でも全長150メートル以上なので、殆ど障害とならずに蹴散らされた。
やがて抵抗が無駄と判断したのか、アラム聖国軍はなけなしの魔力で土魔法を使用し、強固なドーム型のシェルター(防護壁)を構築しその中に籠もり、籠城状態となった。
それに対し、帝国軍は完全な包囲網を構築しおわり、降伏勧告の呼び掛けをスピーカーと立体プロジェクターでの放送で促す。
1時間に渡る降伏勧告をアラム聖国軍は完全に無視し、帝国軍は更に1時間の期限を設けて、戦闘待機の状態に移行してその間に、補給と故障や魔力充填等の業務を行い始めた。
そして30分程経ち、いよいよ包囲殲滅戦に移行する準備に入ろうとしていると、いきなりアラム聖国軍全体を覆っていた土魔法によるドーム型のシェルター(防護壁)から、触手の様な植物の蔓が伸びてきて、あれよあれよと言う間に、ドーム型のシェルター(防護壁)表面を覆い尽くした。
何らかの魔法であろうと、帝国軍艦艇からの火魔法系の魔法弾が放たれ、一瞬植物の蔓に火は燃え移るが、次の瞬間には火はアッサリと鎮火されるので、この植物の蔓が尋常ではな代物なのは直ぐに判った。
暫くの間幾つかの魔法攻撃や実弾攻撃を繰り返していたが、どうも相当に強力な戦術級以上の攻撃でないと効かないと判断し、帝国軍全体で準備に掛かろうとした瞬間、
「ビーッ!ビーッ!」
とのアラーム音が帝国軍全体に鳴り響いた。
お次は何が?と此処まで状況が変転すると、最早アラム聖国軍が我々の想像を越える状況を作り出してくれると、楽しみで仕方ないと云った非常に良くない思いが湧き出してしまい、その感情を抑え込むのに苦労する程だ。
帝国軍上層部が全員、モニター上で全員参加する中、アラム聖国の首都である『マーラーヤナ』からかなりの速度で飛行して来る1000体程の物体が有った。
《もしや?!》
と自分が期待を込めてモニター画面を凝視していると、やがて超高性能ドローンからの詳細なデータ込みのリアルタイム画像が映し出された。
其処には全長10メートルから30メートル程の異形な飛行タイプの魔獣が1000体程存在している。
そしてその後方には、他の飛行魔獣と一線を画す200メートルに及ぶ巨大なドラゴンが飛んでいる。
《あれは!》
そう、自分と空軍に所属する軍人にとって、非常に見慣れた姿を晒しているドラゴンで有った。
自分は、今から丁度2年前に賢聖モーガン殿から聞かされた、アラム聖国の誇る空軍部隊と切り札と呼べる存在の情報を教えて貰った場面を思い出す。
「・・・そうね、明確な比較は出来ないから難しいけど、空軍だけで云っても、アラム聖国の『聖獣騎士団』の《光翼隊》、スラブ連邦の『機械魔獣軍団』の《魔空旅団》、崑崙皇国の『天龍八部衆』の《八大龍王》、といった連中は貴方方と同等か凌駕しているわね・・・。」
「そのドラゴンの名は、『破滅竜ジャバウォック』。
貴方達が、何とか倒した『双頭の暴虐竜ザッハーク』よりも恐らくは強いドラゴンよ。
理由としては、ザッハークは見た所老竜(エルダー・ドラゴン)でしか無いけど、ジャバウォックは明確に古竜(エンシェント・ドラゴン)に該当するわ。
如何に貴方達の相棒達がオリハルコンの装甲を纏おうと、ザッハークによってグローリアちゃんの装甲は、ボコボコにされてたわ。
どう見てもグローリアちゃんの装甲より、防御力が下がる貴方達の相棒の装甲では、保って1、2回の攻撃でオリハルコンの装甲は砕けてしまうでしょう」
と賢聖モーガン殿は教えてくれて、『破滅竜ジャバウォック』の姿を詳細に帝国軍に伝え、帝国空軍は2年前から仮想敵としてこの破滅竜ジャバウォックを想定して、特訓を繰り返していたのだ!
アラム聖国と戦うと決まってからは、当然この『聖獣騎士団』の《光翼隊》と『破滅竜ジャバウォック』と敵対するのは当たり前なので、今までの戦闘に一切ドラゴン軍団は投入していなかった。
いよいよ、温存していた空軍の最強戦力で有るドラゴン軍団を迎撃に向かわせる局面になりそうだ。