人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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3月の日記⑦(人類銀河帝国 コリント朝3年)《会戦2日目④ジャバウォックとの決着》

 3月12日④(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 アラム聖国自慢の『聖獣騎士団』《光翼隊》を殲滅し、超高空で凄まじい戦いを続けるアトラス殿とグローリア殿が超スピードで飛行する姿が、太陽に煌めいて燦然と輝いて見えた。

 

 『破滅竜ジャバウォック』は、盛んに口からアシッドブレス(酸の息で様々な状態変化を引き起こすブレス)を吐くが、アシッドブレスは速度が遅いのでまるでアトラス殿とグローリア殿に当たらないが、正直当たったとしてもバリアーでアッサリ防げそうだ。

 

 恐らくジャバウォックは相当舐めていたのだろう、どうにも当たらないアシッドブレスから別のブレスに変えて来た。

 

 所謂レーザーブレスと言われる光線状のブレスなのだが、通常のレーザーブレスと違いジャバウォックの放つレーザーブレスは色が黒く、極太の光線であった。

 

 黒いレーザーブレスは相当な威力で、例の獣化兵(ゾアノイド)が伏せていた山脈にアトラス殿とグローリア殿が避けた黒いレーザーブレスが当たると、何と山が切断されて暫くするとずれ始めた。

 幸いな事に、この戦場に使われた地域は人家は無く、近くに人が居ない事も確認している。

 なので、山が崩落しても人に被害がないのは救いだった。

 

 しかし如何に山が切れようが、穴を開けれようと、当てられなければ意味が無い!

 どうしても攻撃を当てられないジャバウォックは、激怒し始めて全身から異様なオーラを立ち上らせ出して、突然全身から瘴気を吹き出した。

 

 その様子を見てアトラス殿とグローリア殿は、かなりの距離を開けて遠距離攻撃の両肩に装着している大口径ブラスター砲で収束させた粒子砲を、2頭同時に斉射した!

 

 その強威力の粒子砲は、ジャバウォックの胴体を覆うアラム聖国謹製の鎧を破壊し、その鎧に装着していたらしいバリアー発生装置が、地面に落ちて行く。

 

 その状況を確認し、自分はドラゴン軍団の補給と魔力充填を終えていた事もあり、アトラス殿とグローリア殿への援軍として参加させる事をアラン様から許諾を戴き、ドラゴン軍団を参戦させる。

 

 ジャバウォックは遠巻きに100頭を越えるドラゴンが、自分に対し遠距離攻撃を掛けて来たので、牽制するつもりらしく黒いレーザーブレスを吐いてきたが、距離がある上に量産型ドローンが遠隔で飛ばして来た幾重ものバリアー壁のお陰で減衰したので少しもドラゴン軍団に被害を与えられない。

 

 「ガアアアアアアアア!!」

 

 苛立ちと焦燥からだろう、絶叫を上げ続けるジャバウォックは身悶えしながらひたすら全身から瘴気を吹き出している。

 

 そういった戦闘状況を繰り返していれば、何れは如何にジャバウォックと言えど疲労して来るだろうから、倒せると思ったがアラム聖国は幾度も予想を越える隠し玉を出してきたので、なるべく早く決着を着けましょうとアラン様に進言し、アラン様も進言を受け入れてくれてアトラス殿とグローリア殿に、特訓して来た必殺技の一つを繰り出す事を命令した!

 

 アトラス殿とグローリア殿は、ドラゴン軍団と帝国軍艦艇がジャバウォックを牽制している内に、成層圏まで一気に上昇すると、2頭の翼下部に収納していた100枚ずつの羽根が展開し、200枚の羽根が円形を形作り魔法による重力レンズを作り上げた。

 当然太陽光が収束し始め焦点をジャバウォックに向けると、魔力による凝縮と物理的な理論で数百万度のレーザーがジャバウォックの身体を容赦無く焼いていく!

 

 「グギャアアアアーーー!」

 

 と叫びながらジャバウォックがもんどり打つ様に空中で暴れている。

 

 その間にアトラス殿とグローリア殿は、各々の翼を大きく広げて太陽エネルギーを吸収し、両肩に装着している大口径ブラスター砲から2頭の間に凝縮したエネルギーの槍を創り上げる。

 

 やがて燦然と輝くエネルギーの槍が完成し、グローリア殿がジャバウォックとの間にエネルギー誘導の道を創り、アトラス殿が魔法で構築した手でエネルギーの槍を掴んで大きく振り上げる!

 そして狙いを定めたアトラス殿が叫ぶ!

 

 「プロミネンス・ジャベリン!」

 

 次の瞬間アトラス殿はエネルギーの槍を投擲した!

 

 「ガッ!」

 

 と堅い物に鋭い刃物が突き立つ音がしたかと思うと、ジャバウォックの頭頂部にエネルギーの槍が突き立っている。

 数瞬の間が開き、ジャバウォックの身体が大きく傾いて行くと、突然ジャバウォックの首から上の頭が爆発した!

 

 「ドオオオーーーン!」

 

 という轟音が戦場に鳴り響くと、ジャバウォックの身体はそのまま地面目掛けて落下していく。

 

 《終わったか》

 

 と安堵の息を吐きつつ、自分が座っている作戦室の座席の背もたれに寄りかかり、ドラゴン軍団に地面に落ちたジャバウォックを警戒しつつ待機せよと命じた。

 

 やがて、成層圏に居たアトラス殿とグローリア殿が帝国軍の上空に姿を現し、帝国軍全体が弛緩した空気に満ちて、確認の為に落下したジャバウォックを見る。

 何と、運が悪かったのかジャバウォックが落下した場所は、アラム聖国本隊が籠城した植物の蔦に覆われたドーム型の防御壁で有り、あまりの衝撃の所為かドーム型の防御壁は大きく凹んでいる。

 

 此れは被害が大きいだろうなとのんびりと考えていると、次に起こった事態は帝国軍の誰もが想像していた埒外で有った!

 信じられない事に、ドーム型の防御壁の周りを覆っていた植物の蔦が、ジャバウォックの首が無い身体を飲み込む様に覆い尽くすと、其処に巨大な花を咲かせたのだ!

 

 あまりの事態に、帝国軍がアラン様を含めて呆然としていると、轟々とその巨大な花は周囲の空気を吸い込み始める。

 事態の急変にアラン様が、帝国軍全員に退避の命令を下し、帝国軍艦艇は10キロメートル程後退し、地面にアンカーを打ち込んでバリアーを最大出力で展開する。

 

 それから5分後、周囲の空気を吸い終わった巨大な花は突然大爆発を起こし、帝国軍艦艇はその衝撃波に耐え忍ぶ。

 

 その途轍も無い大爆発に戦場一帯が粉塵で覆われていたが、やがて粉塵が収まると其処には巨大なクレーターが地面に出来ていた。

 自分の想像した結末を戦闘前は色々と思い描いていたが、現実はあまりにも予想外過ぎて、呆然として巨大クレーターを眺めるしか無かった。

 

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