人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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4月の日記③(人類銀河帝国 コリント朝3年)《隠れ里『ラサ』》

 4月17日(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 昨日は色々な状況整理と『タージマハール』と法王庁地下の探索が行われた。

 その際に、自分とカトウは『カルマ』殿の側近で有る『十二神将』の幾人かと、グループになって探索を行った。

 その時に、『十二神将』の方々に会った当初から感じていた、モヤモヤとしていた疑問をぶつけてみた。

 

 「・・・変な話しに思われるかも知れないが、どうも貴方方とは以前に出会っている気がしてならないのだが、はっきりと思い出せないので出来れば私に会ったことがあるのであれば、その場所やタイミングを教えて頂きたい!」

 

 と尋ねると、「嗚呼っ」と一人の『十二神将』が頷かれると、右手に嵌めていた魔道具えお思われる指輪を己の顔面に翳し、「変装タイプA」と唱えると顔が変貌した。

 驚いてマジマジと顔を見ると、その顔に自分は見覚えが有る事に気付いた。

 そうその顔は、今から10ヶ月前の第二回『世界武道大会』の『徒手空拳部門』で、1回目の準決勝戦にてミツルギ殿と見事な戦いを繰り広げた『パヤット』殿の顔であった。

 

 「あの時は、立場がバレる訳にはいかなかった事と、アラン陛下から我等『十二神将』の力量を見せて欲しいと要望されたので、顔を変えて出場しました。

 しかし、流石ですね空軍指揮官ケニー准将!

 出来る限り、気配等を偽って行動していたつもりですが、見破られるとは!」

 

 とパヤット殿が種明かしと、あの時の背景を教えてくれたが、厳密に言えば自分は見破ってなど居らず、違和感を抱いた程度なので、買いかぶりも良い所だ。

 その事を伝えても、パヤット殿は「いやいや、大したものです!」と称賛してくれた。

 成る程、あのミツルギ殿と見事な戦いを繰り広げた方ならば、そんじょそこらの兵士ならば相手にならないだろうし、獣化兵(ゾアノイド)とは言え小型のタイプであれば対抗出来ただろう。

 諸々の疑問点が解消し探索作業に集中すると、やがて法王庁地下に有ったと言われたアラム聖国の最秘奥の遺物『聖なる頭脳』が、鎮座していたと思われる廟所の横壁に空けられた大きなトンネルが発見できた。

 かなり深いトンネルらしく、ライトの魔法が使える魔道具『カンテラ』を翳しても、終着点が照らせなかった。

 少なくともこのトンネルは、2キロメートル以上の地下道である事が判明した。

 そして此のトンネルが作られていた年代は、壁の状況を確認すると100年以上前なのが壁の滑らかさから判った。

 

 他のグループの探索チームも殆ど収穫が無くて、本日は持ち寄った証拠類とドローンによる探知魔法と地下探査から、ある程度の現状が把握出来た。

 

 どうやらトンネルを遡った地下通路は途中で破壊されているらしく断絶していた。

 なので此れ以上のトンネルからの情報や証拠は押さえられなかった。

 

 ただ掘られた地下道の方向は南方方向なので、恐らくは例の『アフリカーナ大陸』の巨大地下都市に繋がっているのだろう。

 

 4月20日(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 アラン様と『カルマ』殿の合意の元、アラム聖国の首都『マーラーヤナ』からやや北方にある、アラム聖国の原点とも言える隠れ里の様な場所に向かう事になった。

 其処の地理を教えて貰うと、直ぐ近くにはあの『レールガン(電磁投射砲)』が存在する山脈が有る。

 必ず関係が有ると思われるので、『マーラーヤナ』に滞在していた空軍と親衛隊は全員向かう事にして、入れ替わりにビクトール大将の率いる北方方面軍が到着したので、『マーラーヤナ』の治安維持と占領を任せた。

 

 2時間半程のドラゴンでのフライトを、『カルマ』殿と側近で有る『十二神将』に輸送用のカーゴタイプでしてもらい、アラム聖国の原点とも言える隠れ里『ラサ』に到着した。

 隠れ里『ラサ』は、隠れ里と称するに相応しくまるで人っ子一人いない廃墟の様な所で、主要幹線道路からも離れていて、余程の用が無ければ誰も立ち寄らない場所に有った。

 しかし、其れは表向きの話で或る壊れかけた家屋に入り、巧妙に隠された地下室を下ると、やがて非常に立派な扉が見えて来た。

 『カルマ』殿が其の扉に近付くと、何やらくぐもった声で扉側から符牒を問うて来たので、『カルマ』殿が静かに答えるとゆっくりと扉が開き、我々は扉の中に入る。

 

 其処には、思っていた以上の人々が働いていて、やたらと忙しそうにトロッコの様な車両に良く似た物で、容器に入った液体を運んで行く。

 

 良く判らないが、人々の間を抜けて我々は暫く通路を進み、やがて途轍もなく広大な空間に出た。

 其処でも人々が忙しく働いて居るのだが、人々は基本的に広大な空間の真ん中にまるで埋まっているかの様な建造物から伸ばされている、奇妙なチューブから出てくる液体を容器に移して搬出する作業が大半の様で、他はチューブの途中や時折建造物の出入り口らしき場所で出入りしていた。

 

 暫くその作業を見ていると、隣に佇んでいたアラン様が震えて居るのが伝わり、驚いてアラン様に視線を移すと、明らかにアラン様が興奮して居るのが見て取れた。

 

 《こんなにアラン様が興奮されるとは!この建造物は一体何なのだ?》

 

 我等が不審げに建造物を見やっていると、どうやらこの作業場の責任者を引き連れて『カルマ』殿が戻ってきて、我等に説明し始めた。

 

 「驚かせてしまった様だが、先ずは説明させて欲しい!

 この建造物こそが、現在のアラム聖国の繁栄の礎にして未来への道標そのものなのだ!

 その名は・・・」

 

 「・・・サイヤン帝国第18宇宙艦隊所属、コーラス級護衛艦コーラスⅢ・・・」

 

 アラン様は、『カルマ』殿の言葉を奪う様に言われながら、建造物の一点を凝視している。

 其処には、我々には読めないが文字と覚しき記号が刻まれていて、どうやらアラン様はその文字を読んだらしかった。

 

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