人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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5月の日記②(人類銀河帝国 コリント朝3年)《獣化兵(ゾアノイド)と複製体(クローン)の始末》

 5月7日①(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 我々、帝国軍と崑崙皇国軍の連合軍はアラム聖国の2番目の都市である『デリー』を南下し、『アフリカーナ大陸』に繋がる大トンネル手前の基地前に広がる広大な平野の端に到達した。

 対してアラム聖国軍(厳密には既に国軍とは言えないが、カルマ殿達現指導部は軍隊を持っていないので)は、基地前の平野の中央部分で既に陣を張っていて、我々を迎撃する満々の様だ。

 予め、公開する形で『アグニ』とその一派の反乱軍に帝国とアラム聖国正統政府としての降伏勧告と恭順を呼び掛けていたのだが、一つも反応が無いので諦めざるを得なかった。

 仕方無いので、宣戦布告は相手では無く、周辺各国と世界に対して正統な手続きとして行われた。

 

 連合軍の布陣は全て帝国製の陸上艦船でも有るので連絡と連携は問題無く、中央に横陣で布陣している帝国軍は中心に連合軍総旗艦『ビスマルク』が鎮座し、両脇にダルシム大将の陸上重巡洋艦『バーミンガム』とファーン大将の陸上重巡洋艦『ヴィルヘルム』が脇を固める。

 後方には自分の乗る陸上巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』が、何時でもドラゴン軍団を出撃出来る様に待機していて、更に後方にはヘルマン中将が陸上巡洋艦『ベイオウルフ』で警戒している。

 横陣の両端には、左側にセリーナ少将の陸上巡洋艦『ドレッドノート』、右側にシャロン少将の陸上巡洋艦『ジャンヌダルク』が高速の戦闘艦を旗下に待機している。

 

 崑崙皇国軍の布陣は帝国軍の左右に分かれて、左側に楊大眼が乗る陸上重巡洋艦『定遠』、右側に趙匡胤が乗る陸上重巡洋艦『鎮遠』が中心となって、支援攻撃と補給行動をする為に布陣している。

 

 そのまま包囲する布陣でアラム聖国軍を半包囲していくが、一切の動きが獣化兵(ゾアノイド)が主軸のアラム聖国軍凡そ600万には無い。

 だが、カルマ殿から知らされた獣化兵(ゾアノイド)と複製体(クローン)の真実のお陰で、純粋な意味での生物では無いと知って、この反応の薄さの理由が判るが、生命の有る生物には違い無いし、帝国の捕虜になり『ナノム玉』を服用して教育を受けた約30万人は、今現在帝国の国営企業で有る『帝国鉄道公社』のインフラ整備職員として働き、世界各国でのレール敷設等に貢献していて、今では婚姻している者もいて幸せに過ごして居る。

 前の戦いでは、例の『草体』の所為で全ての兵隊が爆発に巻き込まれて吹っ飛んでしまった。

 今回は、何とか出来る限り救助したいが、全ては『アグニ』の考え次第なので、なるべく連絡の着かない様にして、引き剥がさなければならない。

 

 それも有って、早々に連合軍総旗艦『ビスマルク』から戦闘開始の合図としての発光弾が打ち上がり、アラム聖国軍の直上で綺麗な光と乾いた音が鳴り響いた。

 

 次の瞬間、先の戦いの教訓の元準備していた魔力吸収の戦術である魔法陣がアラム聖国軍の直上で展開される。

 奴らの持つ『バリアー発生装置』は、基本魔力で動いているのだから、直接魔法や実体弾を浴びせてバリアーを張らせるのでは無く、魔力そのものを吸収してしまえば良い。

 元々、魔石に魔力を吸収させて充填する技術は、帝国では当たり前の技術で、当然敵がその攻撃を予想して防御手段を取るに違い無いと、この方法を先述の念頭に置いていなかったのだが、アラム聖国ではこの防御手段を取って対応していた軍の指導者は、つい先日の『アグニ』によるクーデター騒ぎで殺された上層部の一人で、然もそれを司る大規模な魔道具はアラム聖国の首都『マーラーヤナ』に置かれたままで有った。

 そしてカルマ殿に確認すると、どうやら『アグニ』と云う男は獣化兵(ゾアノイド)と複製体(クローン)を使役する魔道具は持ち去ったが、防御用の魔道具の詳細を知らない様なので、この戦術は効果的だと考えられた。

 

 空間に直径30キロメートルに及ぶ魔法陣が光り輝いて展開される。

 その展開された魔法陣は、一昔前ならば見慣れない魔法陣で物珍しかったに違い無い。

 しかし、帝国がセリース大陸の同盟国や友好国に惜しみなく、魔法技術を伝播させた結果、実生活で何処の家庭でも見る事になる、使用頻度が一番多い魔法陣である。

 もし、アラム聖国の上層部が傲慢にならず、ごく当たり前の態度で素晴らしい魔法技術として接していれば、この様に間抜けな結果にならなかったに違い無い。

 

 案の定、魔力が枯渇した『バリアー発生装置』は、バリアーが発生させられずに無用の長物となり、アラム聖国軍は殆どの防御手段は無くなった。

 

 そして、連合軍陸上艦船の主砲に全て装填されていた、新戦略級魔法『コキュートス2』を封入した魔法弾が、発射された。

 

 一気に戦場を、極寒のブリザードが吹き荒ぶ北の大地へと変貌させ、獣化兵(ゾアノイド)と複製体(クローン)は徐々に動きが鈍くなり、やがてアラム聖国軍が全員身体が霜に覆われて氷漬けの様に、その場の彫像と化した。

 

 予定通りに事が進んだので、後は崑崙皇国軍の回収部隊として用意していた補給軍が、物資を兵站に集積した後に空のトレーラーと巨大輸送艦で、霜に覆われて氷漬けの獣化兵(ゾアノイド)と複製体(クローン)を『デリー』にて蘇生作業と支配解除の処理をする事になっている。

 

 そして戦闘部隊の陸上艦船は布陣を変える事無く、そのまま移動して『アフリカーナ大陸』に繋がる大トンネル手前の基地を半包囲する。

 

 その全てが植物の蔦に覆われたトーチカと土壁の合間から、どう見ても獣化兵(ゾアノイド)と複製体(クローン)には見えない、虫としか思えない2メートル程の身体を持つ敵兵が見え隠れする。

 

 《・・・あれが、恐らくは『レギオン』なのだろうな・・・》

 

 とその姿を確認した自分は、空軍のドローンに命令して『レギオン』と思われる虫共の状況を、全軍に情報共有させるべく指示した。

 

 此れからの戦いこそが、恐らく予言書に書かれていた惑星アレスに於ける、『最終戦争(ハルマゲドン)』なのだと、連合軍は覚悟を決めて臨むのであった。

 

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