人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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5月の日記⑥(人類銀河帝国 コリント朝3年)《巨大な鳥に似た怪物の襲来》

 5月16日(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 日付が替わり、自分も私室のベッドに潜り込んで浅い眠りにウツラウツラとしていると、

 

 「ビーッ、ビーッ!」

 

 との警戒警報が鳴り響き、ベッドから素早く飛び起きて作戦指揮所に急ぐ。

 自分の後ろからアラン様とシュバルツ殿そしてミツルギ殿が続き、当直の順番だったので準備していたらしいカトウから、整理された敵襲の報告を我々は受け取った。

 プリントアウトされた紙の資料と、モニター上に映し出された深夜の闇に浮かび上がる映像。

 其れは、砂漠しか無い死の大地に、殆ど唯一の様に特徴的な山肌を幻想的に魅せる山脈であった。

 便宜上『キリマンジャロ山』と呼ばれる山脈から、最高の高さにある頂上部から、幾つもの巨大な影が飛び立っていた!

 どうやら、其れ其れの巨大な影はドローンの詳細な探査で、凡そ鳥に良く似た全体像で全長は80メートル、翼長は150メートルに達する代物で、然もその数は50に及んだ上に相当な速度で近づいて来る。

 最初のアラム聖国軍の戦いで相手となったアラム聖国自慢の『聖獣騎士団』《光翼隊》の魔物達は、こんなにも巨大では無いしそれに此処まで速くなかった!

 寧ろ、その後に戦ったアラム聖国の切り札だった、『破滅竜ジャバウォック』に近い力を持つと想像出来る怪物だろう。

 

 直ちに、全連合艦隊に戦闘体勢に移る様にアラン様は命令され、自分と他の面子はドラゴン軍団を出撃させて迎撃体制を取る。

 アトラス殿とグローリア殿以外のドラゴン軍団は、基本武装で有る『機龍(ドラグーン)』モードで出撃させてフォーメーションを取る。

 アトラス殿とグローリア殿は前回同様の『光翼竜(ケツアルコアトル)モード』増装タイプで出撃した。

 やがて、漆黒の闇に溶け込む様な黒い巨大な鳥らしき怪物が、センサーの暗視装置で確認され、ドラゴン達の鋭敏な感覚でも捉える事が出来た。

 モニター上に映るそのシルエットは正に鳥そのものだが、特徴的な部分として非常に鋭角的に尖った頭頂部が見受けられた。

 此の鳥の様な怪物は、禄にフォーメーションも取れないのか、てんでバラバラに飛んで来るのでドラゴン軍団は見せつける様に見事な戦列を組むと、迎撃魔法の準備に入った。

 殆ど無警戒に鳥の様な怪物は、無造作にドラゴン軍団の射程距離に入ってきたので、ドラゴン軍団は軍団魔法の『ファイアーサイクロン2』を展開し、鳥の様な怪物はどうやら予想していなかったのか、ファイアーサイクロンの炎の渦に次々と突っ込んで行き、たちまち10羽が翼に炎が燃え移り落下して行った。

 当然連合軍の艦隊も、射程距離に入った鳥の様な怪物に対し曳光弾を含んだ実体弾で、次々と撃ち落としていった。

 思ったより楽に討ち取れそうだとの感想を持ったが、其れがあまりにも甘い感想だったのを思い知らされた。

 

 残っていた鳥の様な怪物達20羽が、ファイアーサイクロンの炎を迂回すると、何故か叫び声を上げ始める。

 そしてその叫び声が、ドンドン高い金切り声を遥かに越えた高音域を更に越えた!

 するとその高音域を越えた叫び声を、直接浴びたドラゴンのオリハルコン製の鎧が斬れて鎧下のドラゴンの肉体が傷ついた!

 

 《な、何ッ?!》

 

 と起こった現象に、理解が及ばずに呆然自失してしまったが、自分と違いアラン様は直ぐ様にドラゴン軍団に指示を与えた。

 

 「ドラゴン達よ!

 直ちに敵から距離を取り、ブラスター砲による遠距離攻撃での牽制攻撃に移行せよ!

 敵の使用して来た攻撃は、『超音波メス』と云う300万サイクルの衝撃波を利用した、魔力を伴わない攻撃だ。

 故にバリアーが殆ど意味を成さないので、距離を取り敵の攻撃から避ける事を優先せよ!」

 

 とアラン様は説明し命令した。

 

 だが、そうすると連合軍としては決め手に欠く事となる。

 先程から、遠距離攻撃しか出来なくなったドラゴン軍団の代わりに、超高性能ドローンからのビーム攻撃や艦船の艦砲による攻撃が繰り返されているのだが、それ程決定的なダメージを与えられず、ジリ貧状態となった。

 このにっちもさっちも行かない状態に、アラン様はまた切り札を切ろうと用意し始めたが、緊急の連絡がアラム聖国の首都である『マーラーヤナ』から来た。

 何用だろうと疑問が浮かぶが、モニター越しに深夜にも関わらず意気軒昂そうなカルマ殿が現れた。

 カルマ殿が、何だか興奮気味に話し始めた。

 

 「アラン様!

 帝国の新技術で完成した『ポゼッション(憑依)システム』のお陰で、『玄武』復活プロジェクトは成功し、早速復活した『玄武』は既に連合軍と合流すべく高速で飛行して居ります!

 現在の状況は我々も知らされていますので、どうぞ『玄武』を有効活用して下さい!」

 

 とカルマ殿が、『ポゼッション(憑依)システム』と『玄武』の詳細な資料を提示してくれた。

 

 《こ、此れは?!》

 

 自分は、名称しか知らなかったが、今始めて『玄武』の詳細な資料が連合軍に明かされた。

 

 凡そ、30分程の時間が経過し膠着状態の戦場に、突然巨大な火球がかなり離れた距離から高速で飛んできて、一羽の鳥らしき怪物に見事にぶち当たり、爆発炎上した!

 

 《此の火球が、『プラズマ火球』なのか?!》

 

 と我々がやって来た東方から、急速に近づいて来る物体がレーダーで観測された。

 いよいよ、『玄武』の登場に何故かワクワクして来る自分に訝しんでしまう。

 

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