人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
5月17日(人類銀河帝国 コリント朝3年)
「ドドドドドドッ!」
凄まじい『プラズマ火球』の連射が飛んできて、鳥らしき怪物の幾羽かにぶち当たって爆発を起こして落下していった。
完全にこの攻撃を警戒しだした鳥らしき怪物は、やって来る『玄武』に向かい迂回しながら、『超音波メス』を『玄武』に向かって叩きつける!
其れに対して『玄武』は、其の亀の様な姿で前腕部を翼の様に広げて飛行していたのだが、甲羅の中に畳み込むと後足部と同じく、ジェット噴射を始めながら回転仕出して甲羅部分を推進方向に向ける。
すると、連合軍のバリアーでは防ぎ切れなかった『超音波メス』を、その堅い甲羅で見事に防ぎ切った。
それを確認し、アラン様が命令した。
「直ちに、ドラゴン軍団は『玄武』の後方に回って、その防御の後ろから今までバリアーに廻していた魔力を攻撃に振り向けて、最大攻撃力で敵を倒せ!」
その命令に従い、ドラゴン軍団は『玄武』の後方に回り遠距離兵装での大火力攻撃を仕掛けた!
カルマ殿達が操る『玄武』は、連合軍の意を汲んで防御に専念してくれて、攻撃はドラゴン軍団に任せてくれた。
鳥らしき怪物はドラゴン軍団による熾烈な攻撃を受けて徐々に数を減らして行き、最後の1羽は『玄武』とドラゴン軍団の火球による集中攻撃で爆散していった。
後続の敵襲は無かったので、ドラゴン軍団と『玄武』を自分の乗艦であるグラーフ・ツェッペリンと他の空母が回収した。
アトラス殿とグローリア殿はグラーフ・ツェッペリンの船倉に回収し、『玄武』はグラーフ・ツェッペリンの甲板に着陸して貰った。
『玄武』はゆっくりとジェット噴射を弱めて、四肢を噴射口から出して来て甲板上に用意したネットに掴まらせて、衝撃を吸収する形で降りて貰った。
改めて『玄武』のその大きな姿を仰ぎ見た。
《・・・やはり亀だなぁー・・・》
身体の大部分を覆い尽くす甲羅に、その甲羅に四肢を収納出来る処が亀そのものだが、牙や突起物の有る甲羅は、崑崙皇国で見学した国立の動物園に居た『噛みつき亀』と『鰐亀』をより凶悪にした感じだ。
『玄武』は恐らく全力でドラゴン軍団の盾代わりに必死に防御してくれたので、相当疲弊したのだろう。
直ぐに目を閉じると微動だにせず休憩状態になる。
朝になって連合軍の被害実態を確認すると、ドラゴン軍団の10%程の武装に敵の『超音波メス』による切り傷が相当な深さで刻まれ、5体のドラゴンは傷を負っている。
更に連合艦隊の一部の船体には、『超音波メス』によって船殻に深い切断面が残る艦が有った。
ドラゴンも艦船も常時バリアーを張っているし、戦闘状態に有った際は常時よりもバリアーは強度を増していた筈だ。
それなのに、『超音波メス』には殆どバリアーは役に立たなかった。
前の『レギオン』戦でも、マイクロ波を収束させた強力な破壊光線が、強力なバリアーでしか対抗出来なかった。
明らかに連合軍の張るバリアーは、『アグニ』が支配する生体兵器群に対してあまり有効ではない。
今後はその事を念頭に対応するべきだろう。
5月20日(人類銀河帝国 コリント朝3年)
『キリマンジャロ山』を迂回して、ドローンの観測で推定出来た『アグニ』達が蟠踞する地下都市に通じる出入り口と思われる巨大な洞窟目指して連合艦隊は進んで行く。
ドローンの探知魔法や様々なセンサーにより観測された情報によると、凄まじい熱量がその巨大な洞窟の周囲を囲む様に存在している、その熱量のパターンを解析するとどうやら『レギオン』と『草体』である事が確認している。
その熱量の高さを考えると、恐らくは前回戦った『レギオン』の規模の数を軽く10倍以上と観測された。
この大群と真っ向から対決すると、連合軍の疲弊は相当なものと簡単に予想出来るし、もし『アグニ』が幾つもの隠し玉を準備していたら、連合艦隊の被害は尋常では無くなるだろう。
そういった諸々の状況を把握した上で、昨日このグラーフ・ツェッペリンの大会議室で、連合軍の上層部全員が集合し最後の作戦会議を行った。
その作戦会議で、様々な作戦案が幕僚から提示され、全員での作戦案の練り直しや見直しを繰り返し、幾つかの納得出来る作戦案が出来上がった。
そして『キリマンジャロ山』の山脈を横に臨みながら、巨大な洞窟が見えて来た。
どうやら既に我々の到来は完全に把握されているらしく、『レギオン』と『草体』は膨大な数が洞窟前に屯っている。
「・・・A作戦始動!」
との命令が総旗艦『ビスマルク』から下されて、崑崙皇国軍の『定遠』と『鎮遠』から甲板上に用意された『飛翔誘導弾(ミサイル)』が発射された。
一旦高空に飛び立った『飛翔誘導弾(ミサイル)』は、『レギオン』と『草体』の直上から急角度で落下する。
そして『飛翔誘導弾(ミサイル)』は、凡そ500メートルの高さで爆発し中に封入されていた沢山の『符』が散布された。
暫くすると『符』はその役割通りの効果を発揮する。
その効果とは『腐り』。
此れまでの研究で、『草体』の組織構造は暴き出したので、従来の『符術』を発展させて『草体』に効果的な魔法を開発した結果、継続的に効果を与える『符術』が最適と判断して使用したのだ。
案の定、『草体』は一旦腐り落ちたが、その圧倒的な再生力で復活するが効果が続いているので、復活する度に腐っていく。
此れで、『草体』の防御力を効果時間が続く限り削る事が出来た。
その間にも連合艦隊は布陣を整えつつ進軍する。
こうして最終戦争(ハルマゲドン)の序章が幕を上げた。