人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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26. 11月の日記⑦

 11月18日

 

 3日間の会議を終え、これからの指針が決まり先日まで戦争捕虜だった人々がファーン侯爵領の復興に従事したいと申し出られた。

 アラン様は近隣の貴族の領地で捕虜として預かって貰って居た者達も呼び寄せられ、ビクトール侯爵と将軍達に先ずは我々が通ってきた『魔の大樹海』までの舗装工事を命じられた。

 ビクトール侯爵達は訝しんでいたが、捕虜のまま牢屋暮らしをするよりは余程良いだろうと兵士達に命じ舗装工事に着手した。

 その工事を監視する為と練兵も兼ねて、『機動軍』が周りを戦闘用バイクで疾走する。

 元セシリオ王国兵士の面々は、ドリルバイクやバズーカバイクが時折標的をその能力で以って粉々に砕いて行く様子を見て、自分達が如何に危険な者達と対峙したのかと今更の様に震え上がっていた。

 

 11月25日

 

 『魔の大樹海』側から大型トレーラー10台と巨大な魔獣が現れた。

 巨大な魔獣の上には、ケットシー128世が居て物珍しそうに舗装工事の様子を見ている。

 其処へグローリア殿に乗ったアラン様がやって来て、大型トレーラーに乗っていたヒルダ嬢と『フェンリル』も降りてきた。

 この巨大な魔獣こそが『ベヒモス』、大地の精霊にして『猫の王国』を守護していたのだが、『フェンリル』によって氷漬けにされていたのだが、ヒルダ嬢が元に戻ったので解凍されたのだ。

 アラン様、ケットシー128世、ヒルダ嬢が挨拶を交わされ、『グローリア殿』、『ベヒモス』、『フェンリル』も翻訳機を使い挨拶を交わされた。

 護衛としてその様子を見ていて、思い出すのはまたも親父の言葉だ。

 「ドラゴンや機械人形が人間の言葉を話すご時世だ、其処らに居る犬や猫も「今日は良いお天気ですね。」とか挨拶をして来るに違いねえ。」

 その言葉通りの現実に以前は困惑していたが、今ではワクワクしてきている自分に、慣れて来たものだと可笑しくなり思わず笑ってしまいそうになった。

 

 11月26日

 

 『ベヒモス』が舗装工事を手伝う事になった。

 『ベヒモス』の能力は大地の精霊らしく、土地を均したり、邪魔な岩を砂に変えたり、コンクリートの材料になるセメント原料、石灰石やケイ素等を選り分けする力が有る、これ程工事に向いた魔獣は居ないのでは?と思いたくなる程だ。

 その能力を活かす為に大型トレーラーには、コンクリートを製造する為の機材が積まれていて早速組み立てて夕方には生コンクリートがドンドン出来て行き、大凡枠の出来上がっている道路区画に流し込んで乾くのを待つと行った作業を進める。

 

 11月28日

 

 『ベヒモス』が手伝ってくれたお陰で『魔の大樹海』までの舗装工事は大まかに出来上がり、後は流し込んだコンクリートが乾き強度とメンテナンス不要にする為のMMを塗り込めるだけとなり、城の広場で懇親会を開催した。

 まだまだ、侵略した者とされた者の垣根は高いが、この10日程真面目に舗装工事をする姿を見て、ファーン侯爵領の民も大分気を許してきた様だ。

 皆、美味しい食事と飲み物を振る舞われ、徐々に盛り上がり始めた時に広場に立体プロジェクターを設置し大きな映像と音が聞こえる様にした。

 流される動画は、見せて構わない範囲のコリント領の姿である。

 懇親会に参加していたファーン侯爵領の民、元セシリオ王国兵士、『ベヒモス』と『フェンリル』も先進的な街並みとドームの大きさ、行き交う車両、物流の主役になりつつあるトレーラー、其れ等を生み出す工場群と逆に長閑な放牧と豊富な農業地帯、更に魚の養殖場を見せられ、「オオッ!」と歓声を上げる。

 アラン様が壇上に立ち、

 「皆が頑張って作っている道の舗装工事は、このコリント領へ直通する道に繋がる、いずれは『魔の大樹海』の道も舗装され誰もが安全に通れる事だろう。

 つまりは今皆がしている工事は間違いなく、皆自身の未来を切り拓く工事なのだ、希望の未来を掴む為に皆励んで欲しい!」

 と仰せられた。

 参加者全員が喜んで歓声を上げ更に懇親会は盛り上がった。

 

 11月30日

 

 後始末もほぼ終えて、後事はレオン殿と家臣の方々に頼み我等はコリント領に帰還する事になったのだが、何故かヒルダ嬢と『フェンリル』更にケットシー128世がグローリア殿に乗り込んでいる。

 ヒルダ嬢と『フェンリル』は、是非懇親会で見せられたコリント領をこの目で見たいと言われ、ケットシー128世は留守番をされているクレリア姫様との約束で、生活ブロックのドーム内に作られる『猫の王国』の保養地を確認する為だという。

 まあ、アラン様が納得された上でグローリア殿に乗せて居るのだから、部下である我々が異議を唱えるのも可笑しな話なので問題無い筈なのだが、不思議な予感で何かトラブルが起こる様な気がしてならなかった。

 

 

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