人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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5月の日記⑫(人類銀河帝国 コリント朝3年)《最終戦争(ハルマゲドン)⑥》

 5月27日③(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 正直な処、こんな狂人と相手するのは本当にうんざりするのだが、相手が力を持っている上に世界征服の野望を抱いているのだから相手せざるを得ない。

 

 「ビーッ、ビーッ、!」

 

 との警戒警報が鳴り、モニター上には正面に『方舟』を臨みながら、サブモニターには『キリマンジャロ山』の火口が映った。

 ドローンがその『キリマンジャロ山』の火口をズームアップすると、鳥のような怪物達が姿を見せる。

 然もその数が尋常では無く、次々と飛び立っている。

 その姿を見たカルマ殿が、

 

 「あ、あれはまさか『ギャオス』なのか?!まだ居たのか?

 不味い、不味過ぎるぞ、『ギャオス』は『サイヤン帝国』の生体兵器にして、高速移動に特化した兵器である上に攻撃力も凄まじい。

 然もこの数は、恐らく量産化に成功したな!」

 

 そのカルマ殿の言葉に、疑問を持ったらしい幕僚の一人が、

 

 「巨大レギオンの方が厄介でしたが?」

 

 その問いに、カルマ殿は頭を振って答える。

 

 「確かに巨大レギオンの方が攻防のバランスが取れていて厄介だったが、それ故に大事になるのが育成期間が長い事だったので、量産化は難しかった。

 ギャオスはその遺伝子情報の簡素さ故に一旦成功してしまえば、育成期間が短くて済むので量産化は容易だと推測出来た。

 もし、あのまま量産化していたとなると其の数は・・・」

 

 そうこう議論をしている間にも『キリマンジャロ山』の火口からは、際限が無い程の数のギャオスが飛び立っている。

 そのギャオス達は、大きくキリマンジャロ山の上空を旋回している。

 やがて、出尽くしたのかキリマンジャロ山の火口は蓋の様な物に覆われた。

 ギャオス達は、暫くの間キリマンジャロ山の上空を旋回していたが、方向を見定めたらしく、此方の方向に向いて飛行し始めた。

 

 その数は、概算で1万羽程でこのクラスの怪物が、此処まで多いとその戦力の凄まじさに目眩がして来る。

 だが当然連合軍は、この脅威に対して放って置く訳には行かない!

 

 この危機にアラン様は、予備の航空戦力として準備していた、アトラス殿とグローリア殿を除いたドラゴン軍団を投入する事にして、自分と空母艦隊はバリアーをしっかりと張りながら、ドラゴン軍団と予備の量産型ドローンを全て発進させる。

 此れでほぼ予備全ての航空戦力は出し尽くす事になる。

 空軍としては、後の無い乾坤一擲の戦闘になるので、巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』と配下の空母艦隊は、徐々に現場から回頭して後方から近付くギャオス群に対処すべく動く事になった。

 

 その空母艦隊の内、初期型空母『アイン』『ツヴァイ』『ドライ』の艦長となっている、ベック少佐・トール少佐・キリコ少佐が、己の艦と共に自分の乗る巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』の左右と後方に陣取り、立派に操艦しているのが目に入る。

 

 考えて見れば、彼らも立派な歴戦の軍人となった。

 年若い彼らだが、其れ其れドラゴン部隊5頭と30機の量産型ドローンを指揮する部隊長だ。

 艦長になる際に、『ナノム玉2』の服用と専用の催眠学習をこなし、先年から崑崙皇国に派遣されてからは3人の息の合った操艦と部隊運用を見て、崑崙皇国軍副司令官の『趙匡胤』殿から是非このまま崑崙皇国の指導官として赴任して欲しいと要請が来ている程だ。

 

 此の未来に素晴らしい栄達が待っている若者達を、無事に連れ帰ってみせると誓いながら、彼らが機敏に己の部隊に命令している姿を監督した。

 

 やがて全てのドラゴン軍団が空中に飛び立ち隊列が組まれたタイミングで、遠い山脈の稜線からギャオス群が目視出来た。

 ドラゴン軍団135頭は、予め定められた作戦案に則り、新軍団魔法『ソニックインパルス3』の隊列に移行した。

 ドローン部隊は、遥か高空に超高性能ドローンが10機、そしてややドラゴン軍団の高空に量産型ドローンが2千機で、ドラゴン軍団を完全サポートする。

 

 いよいよギャオス群が此方に接近してきたが、相も変わらず隊列など整えずに突進してくる。

 

 双方共に遠距離攻撃の有効射程距離が近づいたので、ほぼ同時に攻撃行動に移った!

 

 双方共に口から音を発し始めたのである。

 ギャオス群は己の最強の攻撃手段である『超音波メス』への準備であるが、ドラゴン軍団は全くそれとは異なり、ひたすら音量を上げて行った。

 

 ギャオスの超音波メスとは、300万サイクルの衝撃波超音波メスを、遠距離から対象に対して浴びせるのだが、連合軍のバリアーはこの攻撃手段に防御出来ず、前回は非常に苦戦した。

 

 しかし、カルマ殿から得た情報と前回回収したギャオスの死体から、超音波メスの理論が判り、対抗手段を賢聖モーガン殿とマリオン、そして八仙の方々が編み出してくれたのが、現在ドラゴン軍団がやっている方法である。

 

 ギャオス群が浴びせて来た超音波メスは、ドラゴン軍団が上げ続ける声量とそれを増幅する量産型ドローンが作り上げた、音の断層によって何のダメージも与えられずに終わった。

 

 しかし、その原因を確かめもせずにギャオス群は超音波メスを浴びせつづける。

 その間にもドラゴン軍団は声の声量をひたすら上げ続け、やがて其れは物理限界を越えて衝撃波となり言わば破壊叫となってギャオス群に襲いかかった!

 

 「「「「「グギャアアアアアアアーーー!」」」」」

 

 という断末魔を上げながら、ギャオス群の内数百羽が墜落して行く。

 

 この技こそが、新軍団魔法『ソニックインパルス3』の最終段階である、『ブラストヴォイス』!

 攻防一体のこの技は、ギャオスへの対抗策として生まれたが、現段階でドラゴン軍団にとって最強の攻撃でもある。

 

 想定通り対抗できた事で、連合軍本隊に向かわせずに済みそうで、愁眉を開く事が出来た。

 

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