人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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5月の日記⑭(人類銀河帝国 コリント朝3年)《最終戦争(ハルマゲドン)⑧》

 5月27日⑤(人類銀河帝国 コリント朝3年)

 

 ギャオス達との死闘により、空母艦隊とドラゴン軍団とドローンの空軍戦力は、ほぼ全ての戦力を使い切り、ギャオス達との戦場跡で補給と修理行動に全力を上げるしか手が無くなっていた。

 必死だったので、連合艦隊のその後は把握していなかったのだが、モニターで確認するとパワードスーツと戦闘バイクそして戦闘車両の数々が、何処からか現れた『レギオン』に良く似た2足歩行の、蟷螂や蟻にも似た身長2メートルほどの武器を持った虫の群れと激闘を演じている。

 

 何とか、無事な超高性能ドローンと量産型ドローンを援軍として向かわせたが、空軍としては此れが精一杯でドラゴン軍団は身動きが取れない程疲弊していた。

 

 そんな中、虫の群れの中に異様な人間とも虫とも言えない、5匹の凄まじい戦闘力を持つ個体が見えた。

 其奴らを相手に、連合軍の猛者が戦いを挑んで居るのが判った。

 恐ろしく素早い上に小回りがきくようで、武装に身を包んだ武将達と親衛隊の精鋭が複数名で戦っている。

 しかしそれでも追い詰められないらしく、超高性能ドローンの精密射撃の連射支援で漸くスピードに陰りが見えて、5匹の個体は空を飛んで空中に浮かんで居る『方舟』に逃げて行った。

 

 すると、それまで小煩い程の頻度で連合艦隊にビーム攻撃を繰り返していた『方舟』が静かになってしまい、その間に残存していた虫の群れは、パワードスーツと他の戦闘部隊によって殲滅された。

 

 それでも、中々動き出さない『方舟』に違和感を感じていると、突如『方舟』の船体上部の一部分が割れて、其処から巨大な怪物が姿を現した。

 

 しかし、今まで対戦して来たあらゆる怪物と違い、背中と足元に『方舟』の船体から伸びるチューブの様な管が幾つも繋がっている。

 まるでまだ未完成の生体兵器で、無理矢理出して来たとしか思えなかった。

 

 すると、怪物の頭部の額部分が開閉した。

 其処には何と『アグニ』が乗り込んでいて、此方を睨みながらその姿を例の立体プロジェクターの様な方法で空間に映し出した。

 「おのれー、何故だ!

 何故貴様ら程度、人の分際で神を凌駕した我の軍団を倒せる?!

 如何に、我の為の実験体とは云え、『ゾア・クリスタル』の劣化複製品を組み込んでいたのだぞ!

 人如きが対抗出来る存在では無かった筈だ!

 憎い!憎くて憎くて心が張り裂けそうだ!!

 『柳星張(りゅうせいちょう)』よ、此の我の憎悪を糧として、奴ら人の分際で神に逆らう愚か者を葬ってしまえ!」

 

 と怨念じみた憎悪の言葉を我ら連合軍に叩き付けて来た。

 

 恐らく『柳星張(りゅうせいちょう)』と云うのが、この未完成と思われる怪物の名前なのだろう。

 その柳星張(りゅうせいちょう)の背後から伸びる、4本の触手が前方に回されて来て矢尻状の鋭く尖った先端が、連合艦隊に向いた!

 瞬間、その4本の触手の先端から、ギャオスが放っていた『超音波メス』が放たれ、連合艦隊を薙いだ!

 

 「キューーーン」

 

 何とも奇妙に乾いた高音が鳴り響いた。

 その結果を知りたくて、連合艦隊の様子をドローンからのカメラで確認した。

 

 「・・・えっ・・・」

 

 という戸惑った声が自分の耳朶に聞こえて来た。

 もしかすると自分の呟きを自らの耳が拾ったのかも知れないが、多分その様子を見た殆どの者の感想は似たり寄ったりだったに違い無い。

 何故ならモニター越しの映像には、帝国軍製の陸上艦船が真っ二つに切れていた。

 

 当然どの艦種にもバリアーが張ってあるし、防御壁は相当な物だ。

 しかし、その船体をアッサリと切断した挙げ句、爆発等の破壊音が殆どしなかったのだ!

 其れは、怪物が放った『超音波メス』がギャオスのそれよりも遥かに出力が有る事を示している!

 

 「・・・まさか、その触手は『テンタクランサー』?!

 そ、其れではその未完成の怪物は、あの『朱雀』なのか?!

 そんな馬鹿な、『朱雀』はサイヤン帝国に於いても作り上げる事が出来ず、幻の『四聖獣』となっていた筈だ!

 如何に『聖なる頭脳』の中枢である『ゾア・クリスタル』と融合したとは云え、作り上げられる筈が無い!」

 

 とカルマ殿が、モニター越しに音量を上げて絶叫したので、『アグニ』にも聞こえたらしく。

 空間に投影されている『アグニ』は、

 

 「ん、その声はカルマか?!

 ふん、新たな神である我にとっては造作もない事、と言いたい所だが、優しい神で有る我が愚民たる汝に教えを垂れてやろう。

 サイヤン帝国があの時点で『柳星張(りゅうせいちょう)』を完成出来なかったのは、膨大に過ぎる戦闘情報の整理と統括をするには、従来の生体兵器に使用していた生体頭脳では処理が追いつかなかった。

 だが、『ゾア・クリスタル』を備えた『獣神将(ゾア・ロード)』を四肢の副脳として利用すれば、問題はクリアされたのだ!」

 

 と得意気に言い放つと、怪物の四肢の根本に埋め込まれた物をズームアップして見せてきた。

 

 その部分を良く観察すると、何やら人の顔と思える物が怪物にめり込む様にはめ込まれている。

 カルマ殿が、

 

 「その顔は、まさか『アグニ』!お前と共にアラム聖国に反旗を翻した、お前の同僚達か?!

 とすると、『アグニ』お前は自分の同胞を人体実験した挙げ句、生きた副脳として『朱雀』に取り込んだのか?!」

 

 その糾弾に、『アグニ』は酷薄そうな笑みを浮かべて答えなかった。

 何とも気分が悪くなる話しで、より『アグニ』に対して嫌悪感が増していった。

 

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