人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
5月27日⑦(人類銀河帝国 コリント朝3年)
神鎧『ジークフリート』は『玄武』の頭上に降り立つと、『玄武』は大きく息を吸い込んで行き『プラズマ火球』の発射体勢に入る。
そうはさせまいと『柳星張(りゅうせいちょう)』は、『テンタクランサー』をアラン様に1本、『玄武』に4本貫くように直進させる。
しかし、そんな事を許す筈もなくアラン様は直進して来た『テンタクランサー』5本に対し、手を翳しながら。
「・・・固定・・・」
と呟くと、アッサリと『テンタクランサー』5本は、いきなり空間に縫い留められるように固定された。
「な、何だと?!」
『アグニ』が信じられない光景に絶句して、続く言葉につまると。
『玄武』が充分に溜めた『プラズマ火球』を『柳星張(りゅうせいちょう)』の『テンタクランサー』5本に直撃した。
「ズガガガガガガガガーーー!」
との爆発が起こり、ボロボロになった『テンタクランサー』5本を、『玄武』は両手で手繰り寄せると、豪快に引き千切った!
「キシャアアアアーーーー!」
との絶叫を『柳星張(りゅうせいちょう)』は上げて、『方舟』の上で身悶えている。
『アグニ』は苦虫を噛み潰す様な表情を顔に湛えて、悔しそうな様子を見せており、相当焦っているようだ。
ゆっくりと『玄武』は『方舟』の上に降り立ち、アラン様と共に『柳星張(りゅうせいちょう)』に歩み寄る。
その悠然とした姿に我慢ならなかったのか、複数のチューブを引き摺らせながら『柳星張(りゅうせいちょう)』は『アグニ』の指示の下、鋭い槍の様な両腕で策も何もなく『玄武』の腹目掛け貫いて来た!
その鋭い槍の様な両腕を腹に届く前に、『玄武』は自身の両手で掴みギリギリと捻りあげて行く。
モウモウと煙を上げながら、『玄武』は自身の両手で『柳星張(りゅうせいちょう)』の両腕を掴み続け凄まじい力比べが、やがて限界に達する。
『玄武』の両手が突然灼熱し始めて、『柳星張(りゅうせいちょう)』の両腕を焼き折った!
フラフラとよろめいた『柳星張(りゅうせいちょう)』の両肩に、灼熱した『玄武』の両手が突きこまれる!
「『爆熱拳(バニシング・フィスト)』!」
カルマ殿の声が聞こえてその強烈な技の名称が判り、我々はその結果を見やる。
爆熱拳(バニシング・フィスト)を引き抜いた『玄武』は、その元に戻った両手が握り込んでいた手の平に、『ゾア・クリスタル』の複製2個が現れる。
その途端に『柳星張(りゅうせいちょう)』の両肩が垂れて、持ち上げられなくなる。
同じ様に爆熱拳(バニシング・フィスト)を使って、2個の『ゾア・クリスタル』複製を『柳星張(りゅうせいちょう)』の腰にある脚の付け根から取り出す事に成功した。
すると両肩と同じく未完成の両脚が身体を支えきれなくなって、うつ伏せに『柳星張(りゅうせいちょう)』は倒れ込み、起き上がる様子が無い。
暫くの沈黙が有り、やがて『柳星張(りゅうせいちょう)』背中に存在した『ゾア・クリスタル』複製を手に持ちながら、『アグニ』が出てくると。
突然『ゾア・クリスタル』複製を自身の腹に埋め込んだ。
《何のつもりだ?!》
と訝しく思い、『アグニ』の様子を見守っていると、震えていることが判る。
どうやら喜びに震えているようで、『アグニ』は狂喜した声で叫び始めた。
「嬉しい誤算だ!
こんなに『ゾア・クリスタル』の複製を身体に取り込んだだけで、一気に力のレベルが飛躍的にアップしたぞ!
こんな事なら、早く取り込んで入れば良かった。
まさかな此処まで・・・・・。
ぐがががが、ががががが・・・。
テヘヘへhぃdvpwrジャペzぎゃぎゃぎゃ絵zpkhp!」
と言葉の後半は、意味不明の言葉の羅列となり、やがて『アグニ』は俯いて黙り込んだ。
暫くの空白の時間が流れ、突然ガバっと『アグニ』は顔を上げた。
すると、異様な違和感が身体の奥底から湧き上がった。
何故なのか理由を探す為に、『アグニ』の顔を凝視すると直ぐに原因が判った。
『アグニ』の眼だけが、人と異なり単眼では無く複眼なのだ、然も複眼な所為か眼だけがグルングルンと動き回る。
《・・・以前にも似た様な事が有ったな・・・そうか、『ラスプーチン』の時と似ている!》
そう帝国軍には、対スラブ連邦の最終局面に起こった、『ラスプーチン』が『バグス』と同一化して、アラン様と対峙した事実の記憶が生々しい。
あの時もその凄まじい戦闘で、アラン様が相当な能力の行使が有ったのだから、恐らく今回も凄惨な戦闘が起こるだろう。
アラン様は『方舟』の上をゆっくりと進み、『アグニ』を指差すと推理の結果を話し始めた。
「やはり推理した通り、『サイヤン帝国』の基幹科学技術には、『バグス』つまり『古きものども』の痕跡があった事から、恐らく『人類銀河帝国』への憎悪が強すぎて本来敵でしか無い『古きものども』と手を組んだのだろう。
悍ましい話しだ・・・。」
アラン様は話し終わると、やれやれと嘆息して戦闘準備に入る。
いよいよ最終局面に戦場は入り、緊張感が『方舟』の上部に漂い始めた。