人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
6月1日③(人類銀河帝国 コリント朝3年)
かなりクトゥルフの分身体にはダメージが重なったらしく、その圧倒的な存在感が薄まり目に見えて動きが悪くなった。
それを見て取ったアラン様は、神鎧『ジークフリート』の権能を以って攻撃しまくる。
「暗黒孔(ブラック・ホール)」
「次元斬(ディメンション・カット)」
「次元乱流(ディメンション・タービュランス)」
「次元牢獄(ディメンション・プリズン)」
と連続で技を繰り出し、クトゥルフの身体に孔や切断面を作り出し、その身体を捻りあげた上に身体を固定させて、その白い地面に受け身を取らせずに叩きつけた!
当初は、素早い回復力で身体に開いた孔と切断面を治していたが、繰り返される攻撃により徐々に回復力が衰えたのだろう。
ゆっくりとしか、回復して行かなくなった。
「イアwhッビbhbピ!」
幾度もクトゥルフは、似た叫びを繰り返していたが、何も変化が無い。
それに対して、アラン様が、
「無駄だ、クトゥルフよ!
この『神の戦場』には、お前の眷属や同族を召喚する事は一切出来ない!
何故なら、お前よりも上位の『アザトース』が承認して、『ヨグ=ソトース』と『ナイアーラトテップ』が此の次元での決着を、俺とクトゥルフで着けると調整者との間で条約を結んでいる。
よって追加の援軍を呼ぶ事は神々のルールに抵触する。
つまり、お前は己のみでしか戦えないのだ!
大人しく敗北を受け入れるが良い!」
と宣言した。
良くは意味が判らないが、恐らく『女神ルミナス』達とクトゥルフ側の神々とで、ルールを設けて此の『神の戦場』で決着を着ける事になっているのだろう。
「異FH絵をうHooゆえ!」
と相変わらず聞き取りづらい言葉をクトゥルフは呻いた様だが、自分の感じた雰囲気では苦々しく吐き出した言葉の様だ。
アラン様と『玄武』そして其れに相対するクトゥルフは、凡そ3キロメートル程の距離で対峙すると、凄まじい闘気を双方放出して次の一撃が大技である事を伺わせた。
アラン様が徐に神器『レーヴァテイン』を大上段に構え、神々への真言を唱えた。
「神人権限にて武神アラミスへの真言を奉る!
神器『レーヴァテイン』に調整者の御力を宿させたまえ!
神剣『ラグナロク(神々の黄昏)・ブレード』発動!!」
その神々への真言を唱えた瞬間、神器『レーヴァテイン』に神聖な気(オーラ)が纏わりつき始め、やがて神器『レーヴァテイン』の刃は金色に輝き始めた!
其れは、立ち塞がる者は神であろうが魔であろうが、全てを滅ぼす正に神魔滅殺の超越者の武器だ!
その神聖な気(オーラ)の余波を受けて、『玄武』の全身も金色に輝き出した。
それに対してクトゥルフは、
「機↑HG火ういTHT!」
とまたも聞き取りづらい声を上げて、何らかの手段を講じ始めた。
アラン様が神聖な気(オーラ)を放っているのに対し、まるで対極の此の世を汚し穢し尽くす闇そのものの気(オーラ)を放ち始めた。
やがて双方が放つ気(オーラ)が『神の戦場』を二分する様に満ちた。
先手はクトゥルフで、アラン様を貫く様に右腕がその鉤爪毎直線に飛んで行く。
しかし、其れを『玄武』が両腕をクロスさせて阻み、その右腕に沿う様にアラン様は駆けてクトゥルフの頭上に神器『レーヴァテイン』が振るわれたが、クトゥルフは左手の鉤爪で逆に襲い掛かる!
「キィーーーーン!」
と鋭い音と共にクトゥルフの左手の鉤爪が全て、アラン様の神器『レーヴァテイン』の刃先によってアッサリと切り落とし、返す刀でそのままクトゥルフの左腕はアラン様によって切断された!
そのままクトゥルフの全身が切り刻めると幻視したが、唐突にクトゥルフはその場から消えて、かなり離れた空中に現出する。
しかし、クトゥルフは左腕を喪失したにも関わらず、些かも闘志を失わずにアラン様に右腕を振りかざして突進して来た。
その鉤爪がアラン様に届くと見えた瞬間、今度はアラン様の姿が「ブオン」と云う音と共に消える!
《何処に?!》
と自分が見失うと、アラン様はクトゥルフの背後に姿を現し、バッサリとその蝙蝠の様な翼をクトゥルフの背中から完全に切り落とした。
「↑RGVフRホS!」
とクトゥルフは絶叫を上げて、もんどり打って倒れ込んで転げ回る。
其れに対し、アラン様と四聖獣は次の大技の準備に入った。
実体の『玄武』と『青龍』『白虎』は三角形の形で次元断層による結界で、クトゥルフを身動き取れない様に地面に固定された。
そしてアラン様は、残る『朱雀』と半ば重なる様になり、クトゥルフの直上で技の体勢になった。
そのままアラン様は『朱雀』との合体技に移行した!
「征くぞ!『鳳凰天舞』!」
その言葉通り、アラン様は空中で鳳凰を象った炎を纏い、一気にクトゥルフに向かって落下し、まるで乱舞するようにクトゥルフを斬り刻む!
その凄まじい連続斬りに、クトゥルフは必死に耐えていたが、やがて限界に達したのか、
「家SHBチウHSHぶいTP!!」
との絶叫を上げながら、物理常識を覆して次元断層を崩すと『玄武』を抱きかかえ、アラン様に残った右手の鉤爪で捕まえようとしてくるが、残像を残してアラン様は距離を取って退避した。
捕まえられた『玄武』は『青龍』『白虎』『朱雀』と違い実体なので、クトゥルフの凄まじい膂力と脚に絡み取られて逃げられなくなった。
そしてクトゥルフは、その六眼を嫌な目付きに歪ませると、全身から汚辱に満ちた瘴気を吹き出させ、『玄武』の身体を侵していく。
『玄武』は暫くの間耐え忍んで居たが、やがて限界と判断したのか、「グルルッ」と唸るとアラン様に視線を向けて頭を頷かせる様に上下した。
その動作に理解を示したアラン様は大きく頷くと、此れ迄の凄惨な戦いと比してさえ、凄まじいと表現するしか無い闘気を立ち昇らせて、神器『レーヴァテイン』を突きの構えで固定させると、全身の闘気を伴って咆哮した!
「征くぞ!!
此れが、人が一生に唯一度だけ放てる、真の最終秘奥義!!!
『超新星爆発(スーパーノヴァ)』!!!!!」
その瞬間、アラン様は正に太陽と化した様な存在となり、最早、生物の枠を明らかに逸脱して神人どころか神を超えた!
クトゥルフは明らかに、その六眼を瞬いて信じられないモノを見ていることに驚愕し、アラン様に怯んだ!
そんなクトゥルフを完全に無視し、アラン様は捕らえられている『玄武』の背中の甲羅目掛け突っ込み、そのままクトゥルフの身体まで、神器『レーヴァテイン』の刃を深々と貫かせ、真の最終秘奥義『超新星爆発(スーパーノヴァ)』を解き放った!!
その時、『神の戦場』は音を失った!
そして唯ひたすら白い世界が、立体プロジェクターを染めていた。
恐らく人が認識出来る限界を遥かに凌駕していたのだろう、やがて落ち着いた画面はその『神の戦場』に唯一存在し続ける、突きの姿勢で固まっているアラン様を映し出した。
特別会議室に居る面々は、言葉もなくその余りにも想像を超えた戦いの終末を見続ける事しか出来なかった。