人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
6月2日(人類銀河帝国 コリント朝3年)
昨日の神々の争いとしか言えないレベルの終結を見せられ、我々は暫くの間茫然自失してしまったが、我に返ると最も重要なアラン様の安否をクレリア様に尋ねた。
すると、クレリア様は、
「大丈夫よ。
あの戦いの後、アランは全ての魔力と生命力を燃焼してしまった結果、生命の危機に陥ったのだけど、知識の神『イーリス』様が、この惑星アレスに於けるアステロイドベルト(小惑星帯)に構築してある施設に収納して、現在特別製の調整槽で完全調整を受けているわ。
でも、心音始め呼吸も安定しているから生命の危険は無いのだけど、まだ意識の回復には至っていないの。
もう少し容態が安定したら知識の神『イーリス』様が、帝都コリントに送って下さるそうよ」
と答えてくれた。
しかし、自分とダルシム・ヴァルター両大将は、セリーナ・シャロン両中将が支えているクレリア様の手が震えている事に気付き、恐らくは気丈に振る舞っているだけで、クレリア様も不安なのだと理解し、敢えてその辺に触れない事にした。
だが、当面自分達には何もアラン様の回復には寄与できないので、他の面での仕事をこなす事でアラン様とクレリア様の負担を減らそうとの合意を皆と取り付けた。
皇室一家と神々の諸事情は、賢聖モーガン殿とマリオンに任せ、我等軍人は色々とやり残して来た様々な後始末に奔走する事になった。
6月7日(人類銀河帝国 コリント朝3年)
本来ならアラン様が主導していたであろう『第三回 世界武道大会』は、代理人として皇族のアマド・ベルティー公に主催して戴き、拳聖と剣聖にオブザーバーとして統括して貰い、恙無く閉幕する事が出来た。
ただ今回の大会には、昨年優勝した拳王・剣王そして連合軍として従軍していた軍属の人々が参加して居なかったので、かなり規模が縮小した上に盛り上がりに欠けた様だ。
6月10日(人類銀河帝国 コリント朝3年)
漸くアラム聖国の上層部で有るカルマ殿以下の要人と、新しく藩王の位を引き継いだ若者が帝都コリントに来訪した。
ビクトール大将が率いる方面軍がそのままアラム聖国の駐留軍となり、各地域の治安と行政を担っているので、当面はこのままの体制を維持して行くしか無いが、何れは帝国並の国家体制を構築して貰う必要が有る為に、新しく藩王の位を引き継いだ若者には、帝国のシステムを学んで頂く。
6月15日(人類銀河帝国 コリント朝3年)
西方教会圏の宗教指導者にして、帝国の擁護者を自認されている『ヨハネ教皇』が、暫定の東方教会圏の代表であるカルマ殿との歴史的な会談をするべく、帝都コリントに来訪された。
遥か800年前に、本来一つで有ったルミナス教を元の一つの教義に戻し、今までの対立を解消して信徒達にも、一つの宗教なのだと理解させた上で納得して貰う為だ。
恐らくは、分断の歴史が長かっただけに、相互理解と様々な風習を改めるには長い年月が掛かるい違い無い。
しかし、何事も始めなければ何も前に進まない。
困難であろうとも、進み続けるしか無かった。
6月20日(人類銀河帝国 コリント朝3年)
帝国が、此れ迄正式に発表して来なかったが、一週間後にアラン様がクトゥルフを倒して帝都コリントにご帰還される事が、帝国民と全世界に発表された。
帝国上層部とその関係者には周知されていたが、いよいよ此の惑星アレスに迫っていた、『古きものども』と云う外宇宙からの侵略者との最終戦争(ハルマゲドン)が、一旦の終結を迎えた事が報告されたのだ。
6月27日①(人類銀河帝国 コリント朝3年)
一週間前に発表されてから、世界各国の代表や要人が帝都コリントに向けてやって来られ、帝国の最先端の文化と文明に触れて、帝国のシステムへの理解を深めていた。
そして此の一週間の間に、新しく祭壇を用意したルミナス教ドームに、早朝から帝国の皇族を始めとした華族の全てと同盟国の王族と貴族の方々、そして世界各国の代表や要人が集結した。
朝9時半までの間に全ての要人には、予め通達して於いた西方教会代表『ヨハネ教皇』と東方教会代表『カルマ法王』との調印式への見届け人としての、了解を戴いている。
そして朝10時から始まった調印式は、此れまでの宗教に於ける歴史の説明と、西方教会と東方教会に分かれる原因となった背景に、遥か外宇宙からやって来た『サイヤン帝国』によって齎された文明と様々な遺物、そしてそれを隠れ蓑にした『古きものども』の侵略が有った事が説明され、其れ等の除去が済んだ今現在は、同じ惑星アレスに住んでいる同胞同士がいがみ合う必要が全く無くて、共に未来を目指す同朋であると説明され、此の調印式の正当性を周知させた。
調印式は恙無く、全ての列席者の賛同を得られて、正式に全ての国家から承認された。
そして、いよいよアラン様のご帰還を受け入れる為の準備に入り、ルミナス教ドームの天蓋が大きく開放され迎え入れる準備は整った。