人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
6月27日②(人類銀河帝国 コリント朝3年)
ルミナス教ドームの天蓋が大きく開放されて、帝都コリントに煌めく陽光が柔らかく差してくる。
そして世界中の人々が、帝国からの放送でリアルタイムに、その荘厳な後世神話となる全てを見ることとなった。
柔らかく煌めく陽光が徐々に薄くなって行き、やがて雲間から黄金に輝く大きな雲が、ゆっくりと降りて来た。
其の黄金の雲には、幾人かの神々が乗っているのが遠目にも見えた。
やがて近づいて来た黄金の雲に乗る神々が誰なのか、判別する事が出来た。
神々しい後光を背負って降臨されたのは、中央に『女神ルミナス』様、左に『武神アラミス』様、右に『知識神イーリス』様の三神で有った。
神々は我々全てが、認識出来る距離まで降臨されると其処に留まり、ルミナス教ドームに集う全ての人々が拝跪する中、厳かにお言葉を述べられた。
「・・・惑星アレスに住まう全ての人々よ、聴くが良い。
我等、善の神々(調整者)と闇の神々(古きものども)との約定により、此の次元での争いは今後は高位次元からの干渉は禁止する事となった。
よって此の次元での争いは、現在存在する者達が決める事と相成った。
全ては此の者、『人類銀河帝国皇帝アラン』の命を賭した願いによるものだ。
先の『神の戦場』で此の者アランは、人の身としては不可能な筈で有った、『古きものども』の首魁クトゥルフを撃ち破ると云う快挙を成した!
其の偉業は我等『調整者』のみならず、敵対する『古きものども』の長で有る『旧神』達の心すら動かしたのだ。
人を超え、神人を超え、我等に匹敵する程の域にまで達する事を証明して見せた!
我等『調整者』は、汝ら『人類に連なる者』を祝福する、良くぞ此処まで己を高められた。
何時の日か、我等の居る高位次元に到れる時を、我等『調整者』は心待ちしている!」
とのお言葉を『女神ルミナス』様は手向けて下さった。
そして、『知識神イーリス』様が腕に抱いていた繭(コクーン)を、目に見えない力でゆっくりとルミナス教ドームに設えられた祭壇上に降ろされた。
その繭(コクーン)は、降ろされたと同時にゆっくりと開いて行き、神鎧『ジークフリート』を纏ったままのアラン様が起き出された。
アラン様は、長い間療養されていたとは思えぬ程矍鑠とした様子で、繭(コクーン)から出られると、三神に向かい厳かに拝跪した。
其れに対して三神は満足そうに頷かれると、黄金に輝く大きな雲に乗ったまま遥か高空に昇って行かれた。
静かな時が過ぎ、祭壇上でアラン様は祭壇下で拝跪したままの我等に向かい、
「・・・大変待たせて申し訳無かった。
『初代人類銀河帝国皇帝アラン』は、只今帰還する事が出来た!
全ては、帝国と其の同盟国による連合軍が、己の命を顧みずに尽力したお陰である。
其の類稀なる行為をご覧になられた神々は、辛うじてクトゥルフに勝つ事が出来たが、帰って来る余力の無かった私を哀れに思われ、『神の戦場』からの無事な帰還を請け負って戴けたのだ。
大変感謝している。
漸く、此れにて此の惑星アレスに巻き起こった大乱は終息し、全人類は未来に向けて旅立てる事が出来る事になった。
だが、今だけは此の大乱の終結を祝い、楽しもうではないか!」
と宣言され、ルミナス教ドームに集う全ての人々が、歓喜の声を上げて喜び合い皆が手を取り合っている場に、アラン様が降りて来られるとクレリア様とアポロニウス皇子殿下を始め、セリーナ・シャロン両側妃とセラス・シェリス両皇女殿下が駆け寄り、皇族一家が集結しアラン様の無事な帰還を喜び合われた。
暫くの喧騒を終えると、ルミナス教信者と職員の案内により、祝賀会場の用意の整ったアスガルド城とその大庭園に、此の場にいる全ての要人を要領良く誘導し、祝賀会場に向かう。
自分と自分の家族も祝賀会場に向かい、アラン様と皇帝一家への挨拶を家族全員でアラン様の無事な帰還に祝賀を述べ、今後の帝国と全ての国家の弥栄を祝いだ。
其れに対して、アラン様は自分を招き寄せると、
「・・・ケニー、君は私にとって家臣であると同時に、共に苦難を歩んだ仲間であり、更には武道家仲間にして飲み友達でもある。
これからも、私の家族と一緒に末永く仲良くして欲しい!」
と耳打ちしてくれた。
思わず恐れ入りそうになると、無理矢理自分の両手を取るとご自身の両手を差し出して、有無を言わさず両手での握手をして戴いた!
周りの人々も、アラン様の最大級による親愛の証に騒然となる中、自分が泣いている事を妻のミーシャに指摘され、慌てて無作法をアラン様に詑びたが、アラン様はにこやかに送り出してくれたので、あまり恥をかかずに済んだ。
自分にとっても帝国にとっても、最良の日であった。
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此処で、此の紙媒体の私文録は終わる。
此の後は、『マグワイア家』の公式記録は、執事が代々電子記録として記録しているが、かなり無味乾燥な代物で、私こと帝国図書館司書AI(ガンマ)の仮想感情プログラムを刺激する物では無かった。
しかし、私が見つけ出し考察していた此の私文録を、同じ量子演算プログラムの同僚達が、勝手に編纂しその後の帝国史も編纂し始め、然も『帝国ライブラリ編纂史』として、非公式帝国史として公開した上に、皇帝家にまで配布したらしい。
すると、予期しなかった事に皇帝家から、非公式の私文録を提供され、此れも編纂して欲しいと依頼を受けた。
ならば、帝国図書館司書としては断れる筈も無いので、全力を上げて編纂しようと思うが、『マグワイア家』とは関係無くなるので、別の題名で編纂しよう。
題名は、本人が付けている原題である『皇太子はツラいよ!』で行こうと思う。
今回で、第二部『帝国拡大編』は終了しました。
以前から宣告してましたが、次回から第三部に入ります。
但し、本文でも書いてありますが、ケニー君と其の家族視点では無くなりますので、別の題名作品となります。
文体も変わりますし、視点も複数となりより原作に近づきます。
只、散々挿入していた閑話を気に入ってくれた、一部ファンの為に時折此処に投稿すると思うので、時々覗いて下さいね。
其れでは此処まで読んで戴き、大変感謝して居ります。
次の『皇太子はツラいよ!』も宜しくお願い致します(願)