人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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27. 12月の日記①

 12月1日

 

 我等空軍は、アラン様とケットシー128世そしてヒルダ嬢とフェンリルを乗せたグローリア殿と共に昨日コリント領に皆よりも早く到着し、ヒルダ嬢とフェンリルには本来ならホテルに宿泊して貰うべきなのだろうが、諸々の不都合を鑑み軍事ブロックの宿泊施設に泊まって貰う事になったが、ケットシー128世はクレリア姫様との約束通り生活ブロックの比較的端の方に作られた猫用の保養施設に入られた。

 双方満足してくれている様なので、自分の心配は杞憂でしか無かった事に安堵を覚えた。

 

 12月3日

 

 とんでもない知らせが『黒』によって齎され、コリント領上層部に激震が走った!

 何と、ベルタ王国国王アマド陛下が刺されたと云うのだ!そしてそれを阻止しようとした『黒』の副隊長ハインツは片腕を失う重傷を負ったという。

 更に現在王都は、暴徒による火付けによる大火災が発生し、ブリテン侯爵、ヘルマン卿が暴徒鎮圧と消火を行っているが、其れを妨げる様に活動するルミナス教徒と覚しき手練の者達に手を焼いているという事だ。

 この混乱の巷に有る王都は危険であると判断されたブリテン侯爵、ヘルマン卿の計らいで、『黒』の副隊長ハインツを含む数人の『黒』の隊員でアマド陛下を護衛し、車両2台で王都を脱出しコリント領目指して逃走中であると続報が届く。

 直様アラン様が、

 「空軍出動、自分もグローリアで出る。

 後部座席はカーゴBタイプ(救急搬送用)に換装。」

 と命令を出されたので自分もガイへと急ぐ。

 3時間後、グローリア殿のスピードに追いつけず30分程遅れて、王都近くのブリテン侯爵の親族である貴族の領地で合流し、アマド陛下と『黒』の隊員を収容出来た。

 アマド陛下の刺された箇所はヒールで塞がっているが、毒の塗られた刃物だったらしくアマド陛下は昏睡状態のままだ。

 ハインツ副隊長が機転を利かせ保持していた『ナノム玉』と『万能薬』を刺された際に、強引ながら陛下に飲ませていたお陰でそれ程顔色は悪く無いが、早く処置する必要があるだろう。

 グローリア殿のカーゴにアマド陛下を乗せいざ出発といったタイミングに、

 「追っ手が接近中!」

 と王都方面を警戒していた空軍の隊員から、通信がもたらされた。

 自分は、

 「アラン様、此処は空軍が対処します!アラン様はグローリア殿でアマド陛下をコリント領に!」

 とアラン様に進言し、ミーシャに向かって、

 「ミーシャ、お前とサバンナで護衛を頼む!」

 と言い、他の空軍隊員には、

 「皆、追っ手を蹴散らし後顧の憂いを断つ!」

 と命令を下した。

 「「「了解!」」」

 と皆敬礼し、直ぐにワイバーン達に搭乗して装備確認を行う。

 「出撃!」

 とアラン様が命令を発し、グローリア殿とミーシャの搭乗するサバンナがコリント領目指し飛び立ち、空軍は追っ手に向かって編隊を組みながら飛び立つ。

 5分程飛ぶと追っ手と覚しき騎馬隊100騎が見えて来る。

 此の数ならば、大した事も無いと考え軍団魔法『ハウリング・パニッシャー』を空から騎馬隊100騎に浴びせる。

 処が、想定と異なり騎馬隊は『ハウリング・パニッシャー』を意にも介さず、こちらへ向けて魔法や矢を飛ばしてくる。

 訝しく思いながらも編隊を組み直し軍団魔法『ソニック・インパルス』の体勢になって、騎馬隊100騎に突入した。

 流石に『ソニック・インパルス』を食らってはどうしようも無いらしく、殆どの騎馬隊は倒れてもがいているが3騎だけ倒れなかった騎馬が空軍に対して攻撃して来る。

 その異様なまでの執着に驚いたが、負ける訳にはいかないと皆で集中してフレイムアローを3騎の騎士の四肢に叩き込む。

 当然落馬した騎士に向かい状態を確認しに向かうと、四肢が効かないにも関わらず飛び跳ねて噛みつこうと口を大きく開けて飛んで来る。

 其れを避けて首筋に当身を行い気を失わせたが、あまりの行動に尋常では無いと思い此の3騎の騎士は縄で雁字搦めに拘束しコリント領に連れ帰る事にした。

 

 12月4日

 

 アマド陛下は病院の特別室にて治療と療養に入り『黒』の副隊長ハインツも病院入りした。

 連行した3騎の騎士の尋問と状態確認を『黒』に任せ、アラン様達上層部と各軍団隊長格以上は一番大きな会議室で、ベルタ王国各地方の情報収集と周辺各国の動向を精査した。

 王都での動乱の主軸は、どうやらアラム聖国からの宗教使節団らしい事は『黒』からの情報で判っていたが、ゲルトナー大司教からの通信で裏付けが取れた。

 ゲルトナー大司教曰く宗教使節団とは真っ赤な偽りで、闇で噂されて来たアラム聖国の暗部『神罰執行部隊』(通称エクスキューショナー部隊)が多数紛れ込んでおり、ゲルトナー大司教始め多くの司祭やシスター達も拘束されそうになったが、連行されかけた際にヘルマン卿と丁度来訪されて居た『剣王』の一人『シュバルツ』殿に救われたそうで、現在王宮に多数の市民とブリテン侯爵、ヘルマン卿の新たに結成された『防衛軍』、そして協力を願い出でられた『シュバルツ』殿とで立て籠もって居るそうだ。

 敵軍はドンドン増強されつつ有り、先の処罰に含まれなかったが警戒していたガンツ伯とカリファ伯の私兵が現在の敵軍の主力で、其処に近隣の賊や王都にまだ居た悪党の類が合流、そして処罰を受けた貴族達の領地から領兵、私兵、傭兵が次々と王都に向けて進軍中で有り、更にはアロイス王国の国境守備軍がアロイス王国王都からの軍と合流し弱冠の兵士を残しただけでベルタ王国領に侵入、本来戦わなければならないベルタ王国国境守備軍がその軍と合流し、そのまま前宰相ヴィリス・バールケ侯爵の領地に入った。

 セシリオ王国ではそれ程目立つ行動は無いが、ベルタ王国との国境線の国境守備軍が増強されており、ファーン侯爵と派遣された国軍は迂闊に国境から動く訳には行かなくなった。

 一気にベルタ王国は内乱の様相を帯びて来て、我等は此の国難に全力で立ち向かわなければならないと拳を握りしめ武者震いに体を震わせた。

 

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