人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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3. 5月の日記②(ケニー、魔法が上手くなる)

 5月17日

 

 グローリア殿に以前乗せて頂いた時の感動が忘れられず「空軍」に志願し無事選抜されたが、如何せんワイバーンを見るのも触るのも初めてで、おっかなびっくりで近づいたが、グローリア殿が「伏せ!」と命令されると一斉にワイバーン達は頭を垂れて搭乗姿勢なる体勢になった。

 予め取り付けられた鞍に体を固定し、ドーム内をグローリア殿が先導して一列に飛ぶ。

 しばらくして慣れたと判断されたのか急降下と急上昇を繰り返し始めたが、不思議な事に目眩や吐き気等が起こらない、後でアラン様にお尋ねしたら例の「ナノム玉」を服用した事による「精霊の加護」のお陰で三半規管という体の器官が強化された為に酔いにくくなったと説明された、益々私はアラン様と引き合わせて頂いたアラミス神への尊崇の念を篤くした。

 

 

 5月19日

 

 

 此の日は合同訓練を500名全員で行うのだが、以前クランの面々がアラン様の訓練に付いて行けなかった事を鑑みレベルを落とした訓練の内容にし、徐々にレベルを上げた訓練にして行く事となった。

 午後座学を行う前にアラン様から驚愕の事実が告げられた、何と「ナノム玉」を服用した事により、我々全員が魔法を行使する事が「精霊の加護」により才能に関係無く出来る様になり、然も呪文を唱えずとも行使出来るのだという。

 各部屋「教室」(と云うそうだ)に約30名ずつに別れ、広場に有った「モニター」が教室の壁一面を占め、その画面に魔法の概要と行使する際のイメージが流される、中々信じられない心地ながら訓練場の一角にある魔法練習場に全員が向かい、十人ずつ各種の魔法を行使してみた。

 始めはこれ迄通り魔法を行使する際の癖で呪文を唱えたりしている者が居たが、今迄魔法を使えなかった筈の者が見事にファイアーボールとフレイムアローを目標に撃って見せたことで、皆興奮し出来なかった筈の各種の魔法に挑戦し出来る者が続出し、皆更に興奮状態になり限界まで魔法を行使してしまった。

 皆が魔法を使いすぎてへたり込んでいた処、アラン様が笑いながらそれぞれにグレイハウンドの魔石を手に取る様に指示された。

 まさか?と震えながら以前アラン様、セリーナ殿、シャロン殿がしていた様に、魔石から魔力を補填するイメージを脳裏に浮かべてみると、手の平が光り魔力が補填された事を実感する、凄いと思いながらもそれとは別の一種の畏怖の念が沸き起こるのをどうしても抑えられなかった。

 つまり此処にいる500名は、魔法を最大限駆使しても魔石から魔力を補填する事で、1人で10から20人の敵に対する事がこの瞬間に出来る様になった事を意味する。

 そして部隊、更には軍として纏まり一丸となって魔法を最大限駆使する事でその威力は倍増どころか累乗するのではなかろうか?客観的に見ても此の軍に匹敵し得る軍など想像出来ず、今後研鑽を積めばより強くなれるであろう。

 我々は必ずスターヴェークが遠くない未来に取り戻せると確信した。

 

 5月23日

 

 此の日入植してくれた方々への慰労会を全員参加で中央広場で実施した。

 予め予告しておいたので、グローリア殿が中央広場に来られても特に混乱も起きず式が始まったが、グローリア殿が人語で挨拶された際には流石に帝国軍以外の方々は静まり返り、その後驚嘆の歓声とグローリア殿との対話が開始された。

 全ての対話は流石に無理とアラン様が判断され、代わりに代表として志願されたクレリア様が他の面々の対話を代弁され其の姿をモニターに映し出す事で皆興奮しながらアラン様が指揮して作られた料理の数々に舌鼓を打ちながら大盛況の内に慰労会は幕を閉じた。

 

 5月25日

 

 以前これから味方として加わる事になると、説明を受けていた諜報組織代表のエルヴィンと其の一族及び家族合計250名程が新たなる入植者としてやって来た。

 皆、顔面蒼白の状態で想像するにコリント領のあまりの先進性を見て、驚嘆に次ぐ驚嘆で身も世もないという風情であった。

 アラン様達と先に入植者していたユリアンが一行を出迎え、苦笑いを浮かべたユリアンが住居等への案内を始める中エルヴィンだけアラン様達と共に軍事ブロックへ向かった。

 当初は驚きっぱなしだったエルヴィンも肝が座ったのか、それ以上驚きを示す事も無くアラン様達と密談を始める。

 しばらく経ってアラン様達がエルヴィンを連れて合同会議室に主だった者を集めてエルヴィンの紹介と我々が居なくなった後の王都そして周辺の町々の状況そして宰相や貴族の動向が説明された。

 

 5月27日

 

 エルヴィンの要請を受けてギニー・アルケミン奪取作戦の概要が空軍に説明された。

 フランツと云う者をアラン様と共にグローリア殿へ同乗させ、とある鉱山跡地で運用していたギニー・アルケミンを馬車で運び出し、途中貨車部分を切り離しそれをグローリア殿が貨車毎掴み上げて持ち去る作戦である。

 その際に2頭のワイバーンを随伴させるが、この2頭の1頭に自分が選ばれた、早速作戦演習を開始し幾通りかのパターンの行動を練習し納得出来るものに仕上げ2日後に実行する運びになった。

 

 5月29日

 

 夜半予定通りに作戦開始し、自分もガイ(自分の騎乗するワイバーンの名前)で出る。アラン様は空からでも探知魔法を駆使し過たず導いて下さる、初めてガイとドーム外で飛ぶがお陰で瑕疵無く作戦は成功し工業ブロックにギニー・アルケミンを搬入出来た。

 

 5月30日

 

 いよいよ入植した冒険者達が「魔の大樹海」に魔物を狩りに出発する。

 これ迄、冒険者とスラム出身のランクの低い冒険者達はドーム内の警備員として巡廻と警邏活動を主に仕事をして貰い、余裕の有る時に元サテライト班が交代交代で魔物への対処法と実際に各種魔物を用意し(グローリア殿とワイバーン隊が練習がてら捕まえていた)戦って練習していた。

 あくまでもドームから5キロメートル程の範囲で魔物は倒したらそのままの状態でドーム内に持ち帰り工場で魔石と証明部位を解体で取り、残りの部分は畑の肥料や養殖用の飼料として活用する。

 「漆黒の剣」というパーティーのハンス達とスラム出身の低ランク冒険者グループも慎重に「魔の大樹海」へと分け入り数は少ないながら、グレイハウンド、ゴブリン、コボルトを狩りドームへと無事に戻って来た、慣れれば狩れる数も種類も増えるだろう。




 *補足説明*

 前話でいきなり「ナノム玉」が500人分有るのに違和感を覚えた方も多いと思います。
 しかし、これにはそれなりの根拠が有ります、廃棄された格納庫セクションから離脱し無事に生き残る事が出来たドローンは全体の約八割だった。
 ならば壊れた二割は残骸として地表に残っている可能性が有る、其の部分を自分は拡大解釈し更にはアラン達の脱出ポッドも有る事ですし、此等全てをコリント領の工業ブロックに搬入して有効活用した事にしました。(ご都合主義です)
 よってレアメタルはカーゴ内の非常用備蓄の「レアメタル錠」とパワーモジュールに近いレアメタル資材等から材料を得て、アラン達が口内で作成してた「ナノム玉」を培養槽等で量産出来る事にしました。(強引)
 皆に配布した「ナノム玉」は必要最低限な量で、大凡アラン達の三分の一と設定して第一段階としています。
 更に反射炉や溶鉱炉の炉心壁そして鉄鋼やその他の工板の型枠には、大気圏突入に耐えた脱出ポッド外壁を利用する事で相当な高温にも耐えれる炉が複数構築出来たと設定しました。
 
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