人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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29. 12月の日記③

 12月6日(後半)

 

 アラン様の指示の元出撃する軍の発表が、隊長以上に通達された。

 空軍はグローリア殿に乗るアラン様とパラシュート(落下傘ともいって練習を重ねてきた)を背負った『黒』の精鋭を軸に、ワイバーン達は後部座席をカーゴAタイプに換装しパラシュートで王城に落下させる、中には新兵器の他支援物資が満載されている。

 近衛軍は今回は出動させず、アマド陛下とクレリア姫様の護衛をする護衛部隊となり、王都を無事奪還した際には護衛しながらアマド陛下を王都に連れて来る任務を負う。

 支援軍はエルナが率い、補給軍の大型トレーラーに乗り込んでセリーナ隊長の居るブリテン侯爵領へ向かい、合流の上でセリーナ隊長率いる近衛軍とブリテン侯爵領兵と共に王都を目指す。

 補給軍も大半は支援軍と共に行動する。

 機動軍は、補給軍の一部隊と共に一路王都を目指す。

 アラン様もパラシュートを背負い、空軍と『黒』の精鋭に今夜決行する作戦概要と目的の説明をされた。

 「ブリテン侯爵とゲルトナー大司教からの情報で、例の『エクスキューショナー部隊』が暗躍し王都での要人殺害やテロリズムが行われ王城と王都市街地区との分断が進み、クーデター軍が占拠している地域がましているそうだ、何とかしたいが神出鬼没過ぎて対処しようが無い様だ、其処で探知魔法を使える自分と王都の地理に明るい『黒』の精鋭と空軍でも精鋭(自分とミーシャを指差し)の両名で部隊を組み、『エクスキューショナー部隊』を退治する。

 ゲルトナー大司教からの情報では、アラム聖国は相当自分とコリント領への警戒心が強く檄文に連名が無かった事といい、表立っての我々との対立は現状避けたい様だが、セシリオ王国で暗躍していたギランが死んでしまった為にアラム聖国の情報源が我々には無く、『エクスキューショナー部隊』は是が非でも捕らえたい、だが我々が王城に居る事に気が付かれた場合直ぐに王都から撤退する可能性が有る為電撃的に拘束する必要ガある。

 よって空軍の二人にも、『黒』の標準装備で有るこの麻痺短剣(パラライズナイフ)を使用して貰う。」

 と麻痺短剣を渡された。

 用意を整え一時間後の出撃に備えていると、アラン様の元にクレリア姫様とヒルダ嬢がやって来た。

 二人は何やら留守番部隊では無く、機動軍と共に王都攻防戦に参加したいとアラン様に嘆願しに来た様だが、この様にクレリア姫様が自分の立場を弁えずに行動する姿は珍しく、何かあったのか?と疑問を覚えたがアラン様が事態は未だ流動的で、クレリア姫様とヒルダ嬢がコリント領に居る事は我等の最後の砦になるかも知れず、留守番だからと任務を軽く考えないで欲しいと丁寧に留守番部隊の重要性を説かれたので、二人は納得された様で部屋から出て行かれたが、アラン様が珍しく溜息をつかれ疲れた様子を見せ驚いてしまった。

 一時間後アラン様の号令の元グローリア殿と空軍が出撃した。

 4時間後王都上空でアラン様が早速探知魔法を発動させ、『エクスキューショナー部隊』の現在位置把握に取り組まれ、やがてそれと覚しき黒装束5人組が闇に紛れ走っている姿を捕らえたと通信が来たので、ガイにグローリア殿に従えと命令し、ガイも「グル!」との返事で返した。

 そしてグローリア殿からアラン様と『黒』の精鋭が飛び降り次々とパラシュートが開くが、黒に染め上げられている為全く目立たずに緩やかに落下していき、自分とミーシャも続いた。

 『エクスキューショナー部隊』の前方30メートル先にアラン様が、パラシュートを10メートル上空から切り離し着地し敵の出足を止めさせた。

 その直後『黒』と我々二人も3メートル上空から切り離し降り立つ。

 『エクスキューショナー部隊』は、我々を見ても騒がず様子を窺っている。

 アラン様が、

 「お前達はアラム聖国の『神罰執行部隊』で間違いは無いか?」

 と尋ねたが敵は其れには答えず逆に、

 「その身体能力そしてその佇まい、お主がアラン・コリントだな?」

 とリーダー格と思われる中央に居る黒装束が確認するかの様に聞いて来た。

 アラン様は、

 「そうだが、どうやら此方の質問に答える気は無さそうだな、皆2対1で相手をしろ『俺』は中央の者の相手をする。」

 と言われたので、自分は左側の一人をミーシャと組んで相手をする事にした。

 実はこの時、自分を含む空軍二人と『黒』の精鋭6人全員が密かに戦慄していた、何故ならアラン様が『俺』と言われたからだ。

 日頃丁寧な口調で話されて、滅多に『俺』と云うやや乱暴な一人称を使用しないアラン様が、最近使用したのは、9月に選抜された者達との格闘技公開試合に於いて準決勝と決勝で、シャロン、セリーナ両隊長と戦われた際に闘う直前使用されて以来だからだ、つまりアラン様が『俺』と自分自身を呼んだ時は本気であるという事だ。

 緊張しながら自分の相手に『ライトアロー』を放つと当たる前に弾かれてしまう、やはりギランと同じく魔道具かアーティファクトで魔法対策をしている、接近格闘で倒すしか無い。

 自分が相手の正面に立ち、ミーシャは横から牽制するポジショニングを取りイリリカ製の剣に魔力を通し斬り掛かった。

 敵の剣も魔法剣で、受け止められたがミーシャが横から斬り掛かったので、敵はすぐさま後ろに下がる。

 敵も慣れたもので、4人で我々8人を相手にする為に円陣を組み対抗して来た。

 有る種の膠着状態に成りかけたが、ドサッという音がして横目で音の方向を見ると、アラン様があの決勝でセリーナ隊長を倒した技『鉄山靠』の体勢で敵のリーダーを倒していた。

 残りの敵4人は、明らかに狼狽しアラン様を注視したので我々8人は一斉に斬り掛かり、止めを例の麻痺短剣を使用する事で自害させずに拘束する事に成功した。

 それにしてもやはり『俺』と名乗られたアラン様は凄まじい、正直敵のリーダーとの闘いはじっくり見たかったと埒も無い事を考えながら拘束した敵を連れ王城に向け歩き出した。

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