人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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33. 12月の日記⑦

 12月20日

 

 会議室でアラン様と自分の目の前に、白い修道士姿の25人の一団が跪いて微動だにしない様子は異様ではあったが、元『神罰執行部隊』であると言われれば納得せざるを得ない雰囲気を一団は発していた。

 アラン様の背後のモニターには、同じ様に『カトウ』と仲間4人も同じ様に跪いている。

 アラン様は、

 「お前達の調合した薬と暗示の解除で、狂人と成りかけていた者達は回復したので取り敢えずお前達に課した仕事は完了したとみなす、これで第一段階の試練は達成した。

 それでは次の仕事だ、ベルタ王国で暗躍するお前達以外のアラム聖国の工作員の排除と其奴等の持っている情報の収集と魔道具及びアーティファクトの回収、この仕事を終えた暁には晴れてお前達をコリント領の仲間として迎え入れる事にする。」

 と言われ、

 「「「ハッ!」」」

 と背後のモニター内と目の前の者達が、返事をした。

 アラン様は、

 「便宜上お前達の事は、その白い修道士姿を鑑みて『白』と呼称する事にする、我等の諜報部隊である『黒』と連携し仕事を熟せ、判ったなエルヴィンにカトウ。」

 と命令され、画面外に居たエルヴィン隊長とカトウも、

 「「ハッ了解しました、必ずやご期待に応えます!」」

 と応じた。

 「解散!」

 と自分が言うと、素早い動きで全員が行動に移った。

 「アラン様、そろそろ全軍が王都横の練兵場に集合されます。」

 と報告が通信で『黒』から入り、アラン様と自分は王城バルコニーに伏せていたガイに搭乗し練兵場へ向かった。

 練兵場では、セリーナ隊長と近衛軍、支援軍、補給軍の混成部隊(600)とブリテン侯爵領兵(2000)、更に途中で鎮撫して廻って、前宰相側に味方する貴族に反抗していた部隊や、味方として協力を願い出た貴族の私兵から参加を志願して来た兵士等(3000)、ヴァルター団長率いる機動軍と補給軍の混成部隊(800)と途中で鎮撫して廻って参加して来た兵士(2000)、そして王都に駐留していた防衛軍と王都守備軍の当直を除いた(1600)、合わせて約1万の兵士が勢揃いしていた。

 アラン様が壇上に登られ、一同を見渡して、

 「此れより、ベルタ王国国王アマド陛下のお言葉を賜る、一同傾聴!」

 と宣言され、今回同行して来たハリーと放送局の職員が立体プロジェクターを最大限で空中に映し出した、勇壮な音楽と共にアマド陛下が画面に登場されると、この場に居る上層部の面々は片膝をつかれ敬意を払う。

 アマド陛下が、

 「皆の者、ベルタ王国の危機に際し余の元へ馳せ参じてくれた事大変感謝する。

 此処に集う諸君は、ベルタ王国の為を思う真の勇士で有り精鋭で有る。

 敵の首魁は、前宰相ヴィリス・バールケだ、この者は長年に渡り政治権力の中枢に有りながらその間ひたすら私腹を肥やし、自分の邪魔と見做した者達を毒殺する事で政敵を排除して来た。

 その悪事が露見し罪に問われそうになると、他国の軍を自領に招き入れ余に対して公然と反旗を翻して来た。

 もはや此奴は、反逆者ですら無く薄汚い売国奴で有る!

 敵は、己の私兵と他国軍と国境守備軍を主力として、後は傭兵、野盗、悪党を合わせて10万の兵だと吹聴している。

 だが、此方には諸君等精鋭と素晴らしい将帥が揃っている!

 そして何といっても我等には、我が国最強にして最高の武人『アラン・コリント護国卿』が存在する。

 彼の軍配の元で戦う軍は、正に一騎当千となり必ずや味方を勝利に導いてくれる事を余は確信している!

 よって余は、護国卿の地位から格上げし新たに創設した『総帥』の地位を与える。

 『総帥』は王の持つ軍権を与り、敵からベルタ王国を守り、ベルタ王国から敵を追い払う役目を担う。

 どうかアラン・コリント護国卿よ、『総帥』の任を受けてくれぬだろうか?」

 と仰られた、それに応えてアラン様は、

 「陛下、あまりにも恐れ多い大任です、私はまだベルタ王国の貴族にお取り立て頂いてから1年程しか経過しておらず、その間にも男爵から辺境伯、更には護国卿にまで取り立てて頂きました、此れ以上の地位に着くのは分不相応に御座います。」

 と遠慮された。

 それに対して陛下は、

 「否、その遠慮こそ無用で有る、この際これからの国家体制を述べて置こう。

 アラン護国卿を『総帥』に格上げし、其の下にファーン侯爵、ブリテン侯爵、フランシス伯爵を護国卿として置き、宰相には元宰相であったヴェルナー・ライスター卿に返り咲いて貰い、其の支えとしてアベル・ライスター卿を事務次官として当てる。

 この新体制を以ってベルタ王国は生まれ変わるのだ!」

 と宣言された。

 全軍が、

 「「「「オオッ!」」」」

 とどよめき、全軍が興奮しているのが肌で感じる。

 アラン様は暫く黙られていたが、

 「判りました陛下、陛下のお望み通り『総帥』の大任承りました。

 そして、この上は『総帥』の権限で以ってこの内乱を鎮めてみせます!」

 と力強く了承された。

 その瞬間また全軍が、

 「「「「「オオー!!」」」」」

 と賛同と喜びの混じった歓声が上がった。

 莞爾とアマド陛下が微笑まれ、

 「未だ余は毒の後遺症か、歩く事が出来ぬ故このコリント領で静養させて貰うが、勝利の吉報が齎せられる事を信じているぞ!」

 と仰せられ、そのお言葉にアラン様以下上層部は跪き、アラン様が代表され、

 「陛下、心安んじてお待ちあれ、必ず勝利の吉報をお届けに上がります!」

 と応えられ、陛下は微笑まれて画面から退席され、代わりにダルシム副官が画面に出られ、

 「アラン様、急ぎ編成された装甲トラック30台と装甲車20台が一両日中にそちらに着くと思われます、荷台と後部座席には、1万5千人分の合金サポーターと、バズーカ500門が積載されております、どうぞお役立て下さい。」

 と報告され、画面にその能力概要と実際に運用された演習動画が流され、全軍が驚嘆の声を上げた。

 アラン様は、

 「ダルシム副官、良く間に合わせてくれた。

 全軍明後日からは此等新兵器も加えた練兵を行い、訓練の過程で適正を考慮し新たなる軍へ編成し直す、励んで貰いたい。」

 と宣言され、全軍も、

 「「「「「ハッ、了解であります!」」」」」

 と一斉に敬礼して応えてみせた。

 

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