人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
12月22日
本日早朝に、装甲トラック30台と装甲車20台がダルシム副官の報告通りに王都に着いた。
練兵場で荷台から、合金サポーターとがバズーカが降ろされ早速装備されたり、点検に入っている中、何故か同乗されて来たクレリア姫様が、アラン様に連れられて王宮に向かわれた、ヴァルター団長とエルナ副隊長そして自分はクレリア姫様と一緒に来たサーシャ副隊長に尋ねた、
「どうして、コリント領の留守を預かる筈のクレリア姫様が来られたのか、理由を教えてくれないか?」
と代表してヴァルター団長が聞くと、サーシャ副隊長は、
「他の者には言わないで下さいよ。」
と念押しされ、皆で小さく輪を作り他に聞こえない様にして促すと、
「作戦の一環で、ケットシー128世とヒルダ嬢がセス地方のシストの森に向かい、反乱軍が近くで野営したら夜襲する作戦が3日前に決まったじゃないですか、それに触発されて急遽装甲車を運転されてやって来たんですよ。」
と説明して来たが、エルナ副隊長はその説明で納得した様だが、ヴァルター団長と自分は理解に苦しんだ。
「サッパリ意味が判らない、何でケットシー128世とヒルダ嬢が夜襲する作戦が決まったら、クレリア姫様が王都にやって来るんだ?」
と自分が聞くと「察しが悪いわねーこの朴念仁!」と言われ憮然としていたら、ヴァルター団長は「嗚呼、そういう事か。」と理解された様だが、自分には判らないので首を傾げていたら、サーシャ副隊長が、
「ミーシャも大変ね。」
と何故か呆れられた。
釈然としないままで居たら、王宮からクレリア姫様とアラン様が戻って来られたが、クレリア姫様が笑みを浮かべているのにアラン様は憮然としている、不思議な事に自分と顔を合わせた瞬間アラン様と自分は同時に溜息をついた、何故かアラン様と想いを共有し女性の気持ちとは男には永遠の謎であると二人して空を見上げた。
12月25日
訓練と編成を終え、いよいよ反乱軍を迎撃に向かう。
『黒』の情報によれば、反乱軍はバールケ領の食糧備蓄が底を尽きかけて他領の食糧を奪いながら王都を目指すつもりらしく、自軍への協力を申し出た貴族に食糧の供出を大規模に命令している様だ。
アロイス王国の援軍もアロイス王国からの補給路は、国境守備軍が味方の今なら確保出来ると高をくくって居たようだが、そんな事を此方が許す筈も無く、既にシャロン隊長とフランシス伯爵領兵合わせて2千5百が、迂回してアロイス王国との国境線で後続のアロイス王国軍を撃破し補給路を遮断している。
正直な処、我等は王都に籠城して居るだけで反乱軍は瓦解してしまいそうだが、アラン様はこれ以上国土を荒らされ、国として疲弊するのは好ましく無いとお考えの様だ。
先日策定された、作戦案も短期決戦で然も街や村の周辺を避け平原と森の点在する、セス地方のシストの森を会戦の戦場として練られている。
軍上層部の方々が列席される中、練兵場では編成の済んだ軍が整列し号令を待っている。
壇上に上がられアラン様は、
「此れより我等ベルタ王国正規軍は反乱軍を討つべく出陣する。
既に反乱軍は、バールケ領を出て王都に向け進軍中である。
ただ奴等は進軍ルートの街から街に、まるで蝗の様に襲いかかって食い潰しながらやって来ており、その進軍速度は軍隊と呼べぬ程の緩慢さだ。
其れ故に奴等を迎撃する戦場も自ずと決まった、セス地方のシストの森で有る。
此処は街道は存在するが、近くに街等は無くただ平原と点在する森が有るのみで人家も無い。
此処ならば、我等の力を存分に振るえるし奴等が逃げ込む拠点も無い。
作戦案は既に決まっており、各部隊長は了承済みで有る。
兵士諸君、我等はベルタ王国国民の平和と安寧を守護する護国の剣である、その平和と安寧を踏みにじりやって来る反乱軍は、決して許す訳にはいかない賊徒でしか無い!
勝利を掴む為に諸君には、必勝の念を持ち戦いに邁進せよ!
其れでは、出陣!」
と号令を掛けた。
号令に従い一軍、二軍、遊撃隊、本隊、補給隊の順で王都の民が応援する中出陣した。
その編成は、
一軍(2千)・・・・ブリテン護国卿が率いる装甲トラックと重装騎兵を中心にした軍で、歩兵もラウンドシールドを全員が持ち基本的に相手の攻撃を受け止める防御力重視の軍である。
二軍(3千)・・・・ヴァルター団長が率いる機動軍と装甲車を中心にした軍で、軽装騎兵と軽装歩兵を主力としバズーカもこの軍に大量に配備した攻撃力重視の軍である。
遊撃隊(5百)・・・セリーナ隊長が率いる戦闘バイクを中心にした軍で、カイン殿がファーン侯爵領に残られているので、先頭をセリーナ隊長が搭乗する新型戦闘バイクが務め、従来のバズーカバイクとサイドバズーカバイクの台数を増やした機動力重視の軍である。
本隊(5百)・・・・アラン総帥が率いる空軍とグローリア殿、『黒』『白』そしてクレリア姫様率いる支援軍を中心にした軍で放送局員達とシュバルツ殿率いる抜刀隊もいる、作戦指揮車等を筆頭とする情報力重視の軍である。
補給隊(2千)・・・ハインツ団長が率いる補給軍のトレーラー部隊を中心にした軍で、トレーラーには食糧の他、補給物資や支援物資他にも拘束用の器具や医薬品等を大量に積載している軍である。
この軍団以外の防衛軍(1千)と王都守備軍(1千)は、ヘルマン卿が率い従来通り王都を守備し賊や落ち武者等の逮捕、取り締まりを任務として貰う。
出撃した軍団は、市街地には一切寄らず一路戦場と見做したセス地方のシストの森目指して進軍した。