人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
12月31日(中編)
3人の内、真ん中の男が、
「この戦争は、貴方達の勝利だ!
其れは認めよう、しかし我等は戦争とは別に一騎討ちの勝負を求めたい!
受けて頂ければ、アーティファクト『テンプテーション』(効果は特定の条件下で人を操ると云う代物)を差し上げる。
しかし、断られるならばアーティファクトは壊させて頂く、この場合このアロイス王国軍は恐慌に陥り自害する羽目になるだろう、返答して頂きたい!」
と訴え出た。
アラン様は、
「戦うのはお前達3人だけか?」
と聞かれると、
「その通りだ、我等3人で其々一騎討ちを望む!」
と返答された。
少しの間アラン様がよくされる沈思黙考をされて、
「了解した、先程此方の魔法で出来た空き地で、3時間後に一騎討ちを行おう。
現在見ての通り怪我で苦しむ戦傷者が大量にいる、その者達の対処は此方で行うので3時間後だ。
了承して貰いたい。」
と言われ、
「受けて頂けた事感謝する、それでは3時間後にまた。」
と真ん中の男が了承し話は着いた。
3人の男達は馬車に戻ると、中からアーティファクトと覚しき物と椅子らしき物(床几というらしい)を出しそのまま『サンダーサイクロン』で出来た空き地に向かい、椅子らしき物に座ってそのまま待つつもりの様だ。
アラン様は、全軍に反乱軍(重軽傷者を含む)残存数約5万人を拘束具で拘束し、ピストン輸送で王都に向けトレーラーで送り出す指示を行い、王都にも受け入れて戦争捕虜として扱う様にヘルマン卿に連絡した。
アラン様は、諸々の諸手続きを終え2時間後作戦指揮車に入られ、
「其れでは一騎討ちの人員を決めたい、立候補する者は居るかな?」
と問われ、シュバルツ殿、セリーナ隊長、ヴァルター団長、他数人が手を挙げた。
アラン様は、立候補者を見ながら吟味され『白』の隊長カトウに相手の能力等を尋ねられた。
カトウは、
「相手はアラム聖国聖典12将の3人で、能力は解りませんが得物は『ツーハンデッドソード』、『モーニングスター』、『長刀』でかなりの使い手だと聞いて居ります。」
と答え、アラン様は何時もの通り沈思黙考され、
「『ツーハンデッドソード』使いにはシュバルツ殿、『モーニングスター』使いにはセリーナ隊長、『長刀』使いには自分が当たろう。」
と仰られた。
ケットシー128世を護衛する為にフェンリルをグランドタートルに残してやって来られたヒルダ嬢が、
「何故アラン様が出られるのですか?」
と大声をあげられたので、嗚呼そう云えばヒルダ嬢はアラン様が魔法を使われる処は見ているが、剣を振るわれる処は見てなかったなと、ある意味新鮮な思いでヒルダ嬢を見ていたが、この場に居る大半の者が苦笑する中クレリア姫様が、
「あら、ヒルダは知らなかったのかしら?
『私のアラン』は世界最強の剣の使い手よ!きっと剣聖にだって勝てちゃうんだから!」
と普段のクレリア姫様と違い些か子供っぽい自慢をされ、何故かヒルダ嬢はクレリア姫様を怒った様な目付きで睨まれている。
すると疲れた様に溜息をつかれたアラン様が、
「他に意見は無い様なので、この3名とする各々準備をする様に。」
と決定された。
約束の時間になった頃、弱冠クレーターの様になった『サンダーサイクロン』の跡地で、3者同士が向かい合っていてその周り周囲100メートル程を、正規軍の上層部と手の空いた者達が物見高く囲んでいる。
真ん中にいる男が進み出て、
「其れでは、最終確認だがそちらはアラン殿を含めた3人で宜しいな?」
と尋ねられアラン様が、
「其の通り、此処に居る3人で其々が一対一で勝負を行う、だが勝敗は如何に決する?」
と問われたら、
「武人の勝敗は自らの心が折れるかどうかで決まるが、そもそも戦争で負けているのに一騎討ちを申し込んだのは此方であり、貴方方が負けを認めたら此方は手を引くが貴方方は好きになされよ。」
と答えたので、アラン様は、
「了承した、此方も貴方方が負けを認めたら手を引こう。
そして私が出番の時以外は審判を引き受けるが、出番の時はヴァルター団長頼む。」
と言われ離れた所に居たヴァルター団長が、「了解しました。」と答えられ、勝敗ルールと審判が決められた。
アラン様が、
「此方の一番手は、神剣流剣王『シュバルツ』!」
その声に応えられ、シュバルツ殿が両剣を腰に差し前に進んだ。
左に居た男が、
「我は聖国聖典12将第8席『ケルト』!」
と名乗り、シュバルツ殿同様両剣を腰に差し前に進んだ。
そしてアラン様が、
「当人以外は下がれ、周りも囃し立てるな!」
と言われ、周りも静かになり両者の剣気が燃え盛った。
「其れでは、始め!」
瞬間、「ガッ!」と云う刃響きと共に両者の1剣同士が鍔迫り合いの形になり、止まると次の瞬間には両者離れ両剣を両手に持ち凄まじい剣風が巻き起こる。
どよめきが周囲から起こるが直ぐに収まり、皆固唾を呑んで見守る。
暫くの打ち合いが続いたが、埒が明かないと見たのか『ケルト』が、一旦距離を開け呼吸を整えると右手の剣を前に出し左手の剣を後ろに引いた構えになり再び剣気を燃え盛らせる。
「弐式迅斬!」
との声と共に『ケルト』が突っ込む!
それに対してシュバルツ殿は、両剣を前に交差させ構えた。
両者が神速で交差し、世界が止まったかの様に静かになったが、空から両手が落ちてきて世界が動き出す。
「神剣流奥義『弐連千鳥』」
シュバルツ殿が技名を口にした瞬間、『ケルト』の両肩から血が吹き出した。
シュバルツ殿が、『ケルト』に近付き、
「介錯はいるか?」
と問われ『ケルト』が、
「た、頼むっ!」
と返されたので、シュバルツ殿は『ケルト』の胸を刺し頸動脈にも刺す事で苦しませずに介錯をした。
アラン様が、
「勝負有り、勝者『シュバルツ』!」
と宣言され、周囲は「「「オオッ!」」」との声と共に拍手が上がった。
「次は、コリント流剣士『セリーナ』!」
その声に応え、セリーナ隊長が例の薙刀を携えて前に出る。
右に居た男が、
「我は聖国聖典12将第12席『ゴウダ』!」
と名乗り、『モーニングスター』を携えて前に出る。
アラン様が、
「両者用意は良いな、其れでは始め!」
と言われると『ゴウダ』は『モーニングスター』の棘の付いた鉄球を振り回し始めた。
最初はゆっくりと、そして徐々に回転スピードが上がり始め轟々と空気を裂く様な音がし始めたと思った刹那、鉄球がセリーナ隊長に打ち出された。
セリーナ隊長は薙刀の柄の部分で鉄球を弾くと、猛然と『ゴウダ』に襲いかかり『ゴウダ』もセリーナ隊長と同じく『モーニングスター』の柄の部分で防ぐが、あまりの斬撃に膝を地に着けてしまう。
『ゴウダ』は自分が剛力に於いて女性に負けたのが余程信じられないのか、呆然とセリーナ隊長を見た。
セリーナ隊長が薙刀を大上段に構え傲然と言い放つ、
「コリント流奥義、ファイナル・ブレード!」
その瞬間、薙刀の刃が光り輝きセリーナ隊長は真正面から薙刀を打ち落とす。
『ゴウダ』は必死の形相で『モーニングスター』の柄の部分を頭上に掲げるが、薙刀はそのまま『モーニングスター』ごと『ゴウダ』を真っ二つにしてしまった。
「勝負有り、勝者『セリーナ』!」
と宣言され、周囲は先程よりも大きく「「「「「オオッ!」」」」」とどよめき歓声が上がった。