人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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37. 12月の日記⑪

 12月31日(後編)

 

 「其れでは、私の番か。」

 とアラン様は言われ、其処に審判になるヴァルター団長が来られた。

 最後に残った男が、興奮も顕わに、

 「素晴らしい!何と素晴らしい戦いだ!!

 今迄研鑽を積み重ねたが、其れを活かせる相手が居らず無理矢理戦場で憂さ晴らしをして来たが、この様な強者達と巡り会えるとは!

 死んだ二人も、存分に己の力を出せて死ねた事を地獄で感謝している事だろう!」

 と本当に喜んでいる様だ。

 「天国では無いのか?」

 とアラン様が問われると、

 「嗚呼、今ならアラム聖国の目が無いから言えるが俺は中途採用でな、あまり信仰心は無いのだよ。

 傭兵をしていたが、強い敵に出会えず放浪していたら聖国聖典12将にスカウトされてな、傭兵よりも待遇が良くて技を磨くのに便利だったから在籍している。」

 と答えた。

 アラン様は、

 「そうか。」

 と短く答えると前に出られ、そして、

 「ベルタ王国総帥『アラン』!」

 と名乗られ、最後の一人も、

 「俺は聖国聖典12将第3席『ミツルギ』!」

 と名乗った。

 ヴァルター団長が、

 「始め!」

 と言われたが、前の2つの戦いと違い両者腰の長剣に手を伸ばしたまま動かない、30秒程経ったと思った刹那アラン様の体がブレた様に感じアラン様の背後の地面が土埃を上げた。

 『飛斬』

 と隣にいたシュバルツ殿が呟かれる、どうやら『ミツルギ』が斬撃を飛ばした様だが、まるで自分には見えなかった。

 避けられたと判ったのか『ミツルギ』が今度は見えるレベルで、離れた距離から斬撃を連続で飛ばす。

 しかし、アラン様は殆ど動かず時折体がブレた様に避けている様だ。

 飛斬では無駄と判断した『ミツルギ』が、今度は正眼に構えそのままアラン様の喉を突いて来ると思った瞬間、後ろにバックステップし長剣を跳ね上げる様に上段から打ち下ろした。

 だがそのトリッキーな技もアラン様は見破られ横に避けると、『ミツルギ』目掛け袈裟斬りに斬って掛かるが『ミツルギ』は大きく飛び退いて此れを避けた。

 「『月影』を初見で見破るか!」

 とシュバルツ殿は拳を震わせて食い入る様に両者を見る。

 アラン様は今度はユラリと前へ出られ、剣を片手持ちにしてコリント流のコンボに入られた。

 剣術だけでは無く、足技も途中絡ませる連続技は『ミツルギ』にとっては初めて目にする技なのだろう、途端に追い詰められ終いには、セリーナ隊長の使われた『コリント流奥義ファイナル・ブレード』で持っていた魔法剣を叩き折られた。

 「やはり、神剣流剣術では勝てぬな。」

 と『ミツルギ』が嘯くと、長剣の残骸をを地面に捨て、

 「格闘で勝負を着けたい、受けてくれるか?」

 と申し出て来たので、アラン様も長剣を地面に刺した。

 「有り難い、元拳王『ミツルギ』参る!」

 と『ミツルギ』は叫ぶとフットワークを軽やかに使いジャブを放つ、

 アラン様も帝国式格闘術の歩法でジャブを簡単に避け、『ミツルギ』の顔目掛け上段蹴りを放ちそのままコマの様に回転し下段蹴りを放つ。

 この蹴りは避けられなかった様で足を『ミツルギ』は払われたが、倒れながら『ミツルギ』はアラン様の腕を掴みそのまま投げ飛ばそうとする。

 しかし、アラン様はその力に逆らわずそのまま空中に飛び上がり、空中から踵落としを仕掛ける。

 その踵落としを腕を交差させ防ぐと、横蹴りをまだ空中にいるアラン様に放つ。

 其の蹴りに両足を合わせて足裏で受け止めると、蹴りの勢いを利用し大きくアラン様は飛び退く。

 距離を取ったアラン様に『ミツルギ』は今度は手を着いた構えになり、そのままタックルを仕掛けて来た。

 アラン様がサイドステップしてその横っ面に蹴りを食らわせたが、何と『ミツルギ』は蹴りに来た足を抱え込み逆関節で折りに来た。

 素早く足を引き抜かれアラン様が距離を取られる。

 其処へ瞬間移動の様に『ミツルギ』が迫り左、右、左、左、アッパー、右肘、バックブロー、左回し蹴り、とコンビネーションの技を繰り出した。

 アラン様は全てを捌き、最後の左回し蹴りにカウンターの胴回し回転蹴りを放つが、『ミツルギ』はバック転で避ける。

 両者の距離が空き『ミツルギ』は大きく息を吸い、アラン様を嬉しそうに見て、

 「楽しいな、アラン!」

 と本当に楽しそうに『ミツルギ』は笑い、

 「確かに。」

 とアラン様も認めたが、

 「だが、ずっと遊んでいる訳にも行かぬ、『俺』の持つ最強の業で決めさせて貰う。」

 と宣言され『ミツルギ』も、

 「いいぜ、受けて立つ!」

 と吠えた。

 すると、アラン様はまるで脱力された様に構えを解き腕をダランと下げた。

 『ミツルギ』は訝しみながらも鋭いステップで近付き、渾身の右ストレートをアラン様の顔目掛け繰り出す。

 当たるそう思った瞬間、アラン様がスウェー気味に身体を後方に反らせる。

 『ミツルギ』の右ストレートが尚もアラン様の顔を追う。

 其の腕を下からアラン様は右手で手首を左手で肘の辺りを掴む。

 と、アラン様の両足が地面を蹴り、腰が『ミツルギ』の右脇に潜り込み左足が後方から『ミツルギ』の首に巻き付き、同時に跳ね上がった右足の膝が『ミツルギ』の顔を真下から襲う。

 「ゴッ!」と云う鈍い音が響き、縺れる様に両者の体が地面に落ちてゆき、落ちながらアラン様は『ミツルギ』の右腕を抱え右に身体を捻る。

 「グギッ!」と又も鈍い音が響き、『ミツルギ』の右腕を折りながらアラン様は左足の脛を『ミツルギ』の首に掛け顔面から地面に叩きつけた。

 咳き一つ上がらない、静寂の時が辺りを支配する中ゆっくりとアラン様が立ち上がる。

 

 「『虎王・・・』」

 

 静かな時の中アラン様が、呟く様に告げられた言葉が皆の耳に届く。

 ヴァルター団長が、『ミツルギ』が完全に気絶しているのを確かめ、

 「勝者、ベルタ王国総帥『アラン』!」

 と判定を下した。

 次の瞬間、周囲が割れんばかりの歓声に包まれ、辺りの音が一斉に回復したかの様に騒然となる。

 アラン様の元にクレリア姫様が駆け寄り、そのままの勢いで抱き付いた。

 アラン様は当惑した様にしていたが、クレリア姫様が体を震わせ泣いているのに気付き背中をポンポンと叩き優しく抱きしめ、

 「心配させた様だね、ごめんよ。」

 と囁かれるとクレリア姫様が号泣し始めた。

 その様子をヒルダ嬢とセリーナ隊長が憮然とした表情で眺めていたが、エルナ副隊長がクレリア姫様の背中をさすりながら臨時の休憩所に連れて行くと、アラン様に勝負を見た感想を興奮混じりに話された。

 アラン様は他の面々からの祝辞を聞き終わると、

 「本日は、此処に駐屯する。

 夕刻までに粗方の作業を終えるぞ、皆もう一踏ん張りだ気合を入れ直して作業をこなそう。」

 と仰られ、皆も、

 「ハッ、夕刻までに終わらせます!」

 と元気良く答え、戦争の疲れも見せず作業をこなして行った。

 




初めて1日の話を3部作に分けました。
だけど此れ12月31日とか書いてるけど、どう考えても1月1日(正月)に戦ってるよな(笑)
まあ、構成力など皆無の初投稿の初心者なので、読者様の皆様には多目に見て下さい(謝)
今回戦いまくったので、暫くは後始末と国力回復への地道な話が続きます。
色々と仲間も増え日常の話も多くなりますが、どうぞ楽しんでお読みください(願い)
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