人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
2月5日
旧スターヴェーク王国国民(約3万人)の第一陣を連れてガンツに到着した。
王都からのトレーラーでの移動の際、自分も何度かトレーラーを運転する機会があったのだがちょっと操作法を教えて貰ったら問題無く運転出来てしまった、それは自分だけでは無く、本隊や補給軍の者達も同様らしいので、『ナノム玉』で得られた『精霊の加護』は、こういった面でも恩寵があるのかと改めて女神ルミナスに感謝を捧げた。
そのままトレーラーは、新規に出来たガンツ駅に横付けされ、皆は駅員の誘導の元8両編成の魔道列車に乗り込む。
このガンツ駅は、ガンツ伯が敵対した際に工事がストップして居たのだが、我等がガンツを占領した後工事を再開しレールもコリント領玄関口の街から2車線引いて、ガンツからコリント領玄関口まで2時間で着く事が出来る為に、今現在ガンツは新たな物流の拠点として大発達している最中である。
早速自分も魔道列車に乗り込んで、他の3人の為にボックス席を取り荷物を棚カゴに載せた。
他の3人とは、剣王シュバルツ殿、元拳王ミツルギ殿、『白』の隊長カトウである。
この3人は、全員武侠を好みこの1月余りずっと行動を共にしており、自分はアラン様の護衛をしているので兵士の帝国式訓練の際に誘われて、アラン様が他の者と訓練している時別の者は自分と訓練を共にする事が多く、終いには親友になってしまったのだ。
自分とカトウ以外は、コリント領が初めてで早速他の地には無い魔道列車に興味津々で、車窓から見る外の景色が魔道列車のスピードの所為でグングン遠ざかって行く光景に「オオッ」と歓声を上げている。
暫くすると『魔の大樹海』が近づいて来たが、以前は荒野でしか無かった場所には大規模に開拓された農地が広がっていた。
そして端の方を見ると、グランドタートルが後ろに、親父の相棒のドップが考案した荒れ地を耕す耕運機のロータリー装置の超巨大版を引いている。
グランドタートルは時折、山積みになっている専用の餌場に戻り旨そうに膨大な野菜を頬張っている、その姿を見ていると戦争に使われるより余程幸せそうである。
やがてコリント領玄関口を素通りして生活ブロックに着き、シュバルツ殿とミツルギ殿はカードの発行とポイントの支給を入管審査室で貰い、アラン様の居られる本部ビルに全員で馬車に乗り向かった。
アラン様は執務室に居られたが、どうやら引っ越しの準備中らしく荷物が散乱しており、皆で応接室に行き其処でシュバルツ殿とミツルギ殿の住居と道場の説明が行われた。
会議室のモニターに現在のコリント領の外観図が表示され、新たに出来たドーム3つの内の1つが点滅する。
「この新しいドームは(仮称)軍事ブロック2という名称で、主に今後増え続ける軍人の住居と生活の場となり、此処に自分を含め此処に居る全員も住居を映す予定だ。
現在は独身者用の団地が有るだけだが、約束通りに道場用の区画を用意しているから、要望を建築する職人に伝えて思い通りの道場を作ってくれ。」
とアラン様は説明され、シュバルツ殿は、
「有り難い、此の様な住心地の良さそうな都市で我が道場を開けるとは、望外の喜びだ!」
と感謝された。
アラン様は、夜に旧スターヴェーク王国国民の入植祝の歓迎会があるそうなので、自分は軍事ブロックに有る短期滞在者用の宿舎に3人を案内した。
当面(仮称)軍事ブロック2で道場と家が出来上がるまで、此処にすんで貰う。
途中生活ブロックで大量の酒と酒の肴を買い込み、3人が其々の部屋に荷物を降ろしたら、軍の集会場の一つを借りて空軍の面子も呼び、改めて3人主役の歓迎会を内輪で開いた。
3人とも酒好きで、色々と地方の酒の話で盛り上がっていたが、ミーシャに持ってこさせた取って置きのアラン様がサイラス殿に作らせた蒸留酒を3人に振る舞ったら、絶賛してくれた。
今アラン様が、カトルに依頼して米を原材料にした吟醸酒なるアラン様の故郷の酒を作っている最中で、コリント領の酒好き達は、大変心待ちにしている事を教えたので3人も酔いで顔を赤くしながら、是非飲みたいものだと笑い、歓迎会は盛況の内に終わった。」
2月10日
旧スターヴェーク王国国民(約3万人)の第二陣もコリント領に着き、前職に応じた職の斡旋が行われた・
その中でも大多数の農民達は、魔道列車の車窓から確認したガンツとコリント領の間の大規模に開拓された農地で、親父の相棒のドップが考案し工場ラインで量産されている、多目的耕運機(トラクターというそうだ)を大規模に使用しありとあらゆる野菜や小麦そして米を作付けする事になっている。
作物を植える際には、トラクターから一定量の農業用のMM(マイクロマシーン)が噴霧される様になっていて、病害や害虫対策及び農地改善を自動で行ってくれるそうだ。
もうベルタ王国の殆どの国土は、ケットシー128世が正しく使用した『魔獣使いの杖』により魔物達は『魔の大樹海』より外には出れなくなっていて、今後は魔物被害で手つかずだった荒野も何れ開拓されて行く事だろう。