人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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5. 6月の日記②(ケニー、家族と再開す)

6月8日

 

 引っ越しを行う。

 後数日で家族(父、母、妹)がガンツに着き、商人キャラバン隊と共にコリント領に向かうとの事がロベルト老から知らされた。

 旧スターヴェーク王国からセシリオ王国を経由してやって来る様だ、我々の家族や関係者凡そ8千人は千人ずつ8グループに別れ、以前アラン様が送られた資金を活用してコリント領を目指しているが運良く自分の家族は第一陣に入れたようだ。

 なので今迄の単身用の宿舎では無く、4人家族用の宿舎(セリーナ殿曰くマンションと云うそうだ)に居を移す。

 今迄はユニットに有るシャワーだったが、憧れの風呂が自宅に有る生活がこれから家族と共に営めるのに心が湧き立つ想いだ、一平民出身の自分がまるで下級貴族並みになったかのようである。

 いや、このコリント領における生活全般が王都以上の先進性を持っている事を鑑みれば、上級貴族にも比するであろう、アラン様とクレリア様には感謝してもしきれない。

 改めて一命を賭して忠誠を貫く事を胸に刻む。

 

 6月12日

 

 家族が商人キャラバン隊と共にコリント領に着いた。

 生活ブロックのゲートに迎えに行くと、予想通りに驚きの余り茫然自失の状態になった家族と会う。

 心ここにあらずといった状態では有ったが、先ずは自分のマンション(4階)に連れて行き、順番に風呂に入って貰い旅の垢を落として貰うと、徐々に人心地が着いたのか矢継ぎ早に質問を受けた。

 とても短時間で説明出来る筈も無いので、後でゆっくりと話す事を確約して先ずは歓迎会の行われる中央広場に向かう事になった。

 中央広場歓迎会会場で、旧スターヴェーク王国関係者以外が入れない様にした後、クレリア様が壇上に立たれ音を拡大してくれる魔道具を前にお言葉が発せられた。

 

 「皆、よく此処コリント領にきてくれた。

 改めてこのクレリア・スターヴァイン感謝する。

 恐らく皆は話を聞いた当初「魔の大樹海」の領地とは人が住めるのか?と疑問を感じた事だろう、私自身も聞かされた当初は有り得ないと疑ったものだ。

 だが見ての通り十分人の住める環境は整っている、いや、元のスターヴェーク王国の生活より住心地が良いとすら言えるだろう。

 此等全ては此処にいるアラン・コリント卿の尽力によるものだ、私クレリア・スターヴァインは改めてアラン・コリント卿に感謝を申し上げる。

 本当にありがとう。

 さて此処にいるのは旧スターヴェーク王国関係者だけだ。

 なので皆に我々の今後の方針を伝える。

 我々はスターヴェーク王国を奪還し、混沌としてきた大陸情勢に対して対抗出来る体勢を整える。

 詳しくは今後順々に説明して行くが、皆もこの目標に向かって行動を共にして貰いたい!」

 

と手を大きく広げられた。

 

次の瞬間、皆跪き号泣する者が大勢をしめた。

 

そしてクレリア様が再度口を開かれた。

 

 「皆、ありがとう。

 だが取り敢えずは家族、友、同士との再会を喜び食事と酒を酌み交わし明日からの英気を養って貰いたい、それでは乾杯の音頭をアラン・コリント卿に取って貰う。」

 

 アラン様が壇上に登られクレリア様の横に並ばれると、正装のアラン様とクレリア様は誠にお似合いで、自分にはまるで地上に降臨された対の男神(アラミス神)と女神(ルミナス神)の様に見え、皆嘆息と共に魅入られてしまい静かになった。

 

 「紹介に預かったアラン・コリント男爵だ。

 遠路はるばる皆保証も無い中此処コリント領に来てくれた事有り難く思う。

 明日からは此処の生活の為のレクチャー等で忙しくなるが、今夜は其れ等は忘れ大いに食べ飲んで英気を養って戴きたい。

 それでは乾杯!」

 

 アラン様の乾杯の音頭に合わせ、皆は近い者達と一斉に乾杯し合い、用意されたアラン様の郷土料理に舌鼓を打ち、アラン様がガンツで作らせた酒等を酌み交わして大いに我々は喜びを共有し合った。

 

 6月13日

 

 早速、朝から家族に家の魔道具の使い方のレクチャーを始める。

 (予め家族と合流した者は3日間の休暇を頂いている。)

 特に驚かれたのが灯りだ、各部屋に有りスイッチを押すだけで点灯する為蝋燭が不要になったのだ、然もマンションの通路や表玄関は夜中も点灯したままで、街路も一定間隔に街灯が存在していると説明したら「なんて贅沢な!」と呆れられた。

 朝食を摂ろうと、家族全員でフードコートに向かい、好きな物をそれぞれ注文して支払いをカードのポイントで行うとまたも驚かれてしまった。

 「ギニーを使わないのか?」と家族に質問されたがコリント領では両方使えるが、現金は嵩張るしカードは自己証明にもなり他人は使えない魔道具だと説明したら、「なんて便利な魔道具だ!」と感心された。

 職業斡旋事務所、教会、病院、工房、工場、各種職業訓練校、学校等を見て昼食を最近出来た大衆食堂で摂ろうと入ったら顔馴染みのユーミ達が働いていた。

 幼い兄弟の事を聞くと、皆出来る範囲の仕事のお手伝いをしてポイントを貰い、それとは別に定期的にポイントの給付を受けられるので王都に居た時と違い生活に余裕があると楽しげに笑いながら答えてくれ、9月に開校予定の「学校」が読み書き計算を教えてくれるという通達に心が躍るとアラン様に伝えてくれと言われたので快く了承した。

 午後は農業ブロックの案内をしたが、畑と果樹園で見たことも無い植物に驚嘆し、魚の養殖場では感心された。

 此処では娯楽要素として釣り堀が有り、自分も余暇に釣りに来て楽しんでいる事を家族に伝えると是非やってみたいと言われ、急遽家族での釣り大会が行われた。

 当然自分に一日の長が有り、釣果は圧勝したが以外にも妹が最も大きな魚を釣り上げた。

 記録を掲示してあるボードに一位のエルナ殿の次に大きいと掲示され妹は得意満面で今度の休養日にも必ず来ようと父母と約束していた。

 そして釣った魚を食べられる様併設されたレストランで夕食を食べた。

 本日は自宅の風呂では無く、温泉とサウナの有る銭湯に行き家族に初めての銭湯の入浴方法を説明し経験を積んで貰う。

 父母は温泉がお気に入りで定期的に温泉に入ろうと相談していた。

 

 6月15日

 

 家族それぞれが相談しあって職業斡旋事務所から紹介された各種職業訓練校に向かい、各々の職業訓練を凡そ一ヶ月受ける。

 父は元鍛冶屋の職歴を活かし、更には見学の際感心させられた魔道具を作りたいと金属加工と魔法陣を刻む工場勤務を志願し、専門の職業訓練を受ける事になった。

 母は以前近所の洋裁屋の手伝いをしてたので、服飾工場勤務志願し専門の職業訓練を受ける事になった。

 妹は初めて仕事をする事になるが、病院での医療従事者のテキパキとした患者への対応や優先的に「ナノム玉」を服用する事でヒールを行える事実に感動し、看護師を志願し専門の職業訓練を受ける事になった。


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