人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
9月1日
服飾工場は横に大量の最新ミシンを並べ、其々の列で違う生地或いは違う糸による縫製が行われてるわ。
隣接する紡績工場から、色々な素材による布地や生地が運ばれてきて、それを下着や服或いは水着等に縫製または刺繍するの。
その品目は、子ども用と大人用そして男女に区別の上、サイズ毎にS/M/L/XLに分けられていて、然も、過程でどうしても出てくる端切れや糸くずは集められまた紡績工場で、布地や生地に再生されるの。
なんて効率的なのかしら、これならコストがかなり掛からないわ。
それに今まで服は、コットン(綿)、リネン(麻)、ウール(毛)地が基本で、貴族がシルク(絹)地を使うくらいだったのに、ここでは新しい生地が大量に使えるの。
新しい生地とは、
ポリエステル・・・・一般のスライムを魔石を取った後に魔法処理を行うと出来る繊維、主に下着の材料。
レーヨン・・・・・・木材パルプを主原料とした再生繊維、服の裏地の材料。
ナイロン・・・・・・中レベルのスライムを魔石を取った後に魔法処理を行うと出来る繊維、運動用のウェアや冬物のジャケットの材料。
アクリル・・・・・・上水道と下水道で大活躍の高レベルのスライムを魔石を取った後に魔法処理を行うと出来る繊維、他にもコリント領ではガラスの代替品として利用しているが、セーターや靴下などの材料。
ポリウレタン・・・・特殊なスライムを魔石を取った後に魔法処理を行うと出来る繊維、ウェアやインナーそして水着の材料。
これ程の種類の新しい生地を使えるから、正直貴族や王族より余程上等な服を着れるんじゃないかしら?
9月18日
服飾工場勤務にも慣れてきて、いつの間にか奥様グループ(30人位)の代表に押し上げられて、上層部との折衝役になってしまったの、どうしてかしら?
多分、率先してみんなの要望を上と交渉してた所以ね。
今日も、商業ギルドのアリスタさんとカリナさんが来られて、新しいデザインの服と下着の交渉をしたの。
5日前に全員『ナノム玉』を飲んでから、殆どの女性からデザインセンスの良いアイデアが幾つも出てきて、工場長等の上層部に提出したんだけど、上層部は全員男性だから判断出来ないと言われて、直接購入して物販されている商業ギルドに判断を委ねられたらしいわ。
アリスタさんとカリナさんは、コリント領での物販とは別に、他領と王都での物販をアラン様から許可されたそうで、今後大量の発注が予想され、更には貴族からのオーダーメイドの発注もあり得るので、貴族や大商人向けのデザインを考えたサンプルを作って貰いたいと依頼して来たわ。
なるほど、この量産体制なら他領にも大量に売れるから、予め他領の流行や好みに合わせたデザインの服を用意しておきたいということね。
ただ、私達大半の者は旧スターヴェーク王国出身者だから、この国の流行や好みはあまり詳しくないのよね。
しょうがないから、ベルタ王国出身者に詳しく聞こうとしたんだけど、困ったことに孤児院出身者ばかりで、上流階級の出身者が居なかったのよ。
家に帰って、カレンに相談したら、
「だったら、ベルタ王国では無いけど、王族のクレリア姫様に聞いてみるよ。」
とアッサリと答えたから驚いたわ。
「そんなに気安く相談出来るの?」
と聞くと、
「大丈夫!
それどころか、何時も女子会では、服や下着の話しが主流なんだから、喜んで協力してくれるよ!」
と胸を叩いて承知してくれたわ。
9月23日
クレリア姫様とお付きのエルナ殿、そしてファーン辺境伯、ブリテン伯爵、フランシス子爵の家臣で女性の方々が来訪されたの。
一応視察と云う名目らしいけど、護衛の方々も全て女性なので、先日のカレンに依頼した用件で間違いないわね。
一通り工場を視察されて、応接室で休憩される事になったんだけど、そそくさと工場長以下上層部はいなくなり、何故か私と同僚のマミ(テルちゃんのお母さん)が残されたの。
私とマミは、貴族様とお話した事なんて無いから、戸惑っていたら、クレリア姫様が、
「礼儀等気にせずに、接して欲しい。
今此の場にいる者達は、貴方方へ多くの要望が有り、忌憚なく喋って貰わないと、出来もしない事を要求する羽目になるので、双方不幸になる事は避けねばならん。」
と仰って頂けたので、ホッとしてクレリア姫様と他の方々との満足いく意見交換が出来たわ。
意見交換会も終わり、お茶にする事にして、工場の大冷蔵庫に保管して置いた、来客用のお菓子を他の職員に持って来て貰った。
すると、それを見たクレリア姫様とエルナ殿が、
「そ、それは、『バウムクーヘン』と『カステラ』ではないか?!
どうして、アランしか作れないお菓子をそなた達が持っているのか?」
と驚かれているので、
「私の娘のカレンに、最近出来た友達でサラちゃんと云う女の子が居まして、その子のお父さんが最近オープンした、レストラン『豊穣』のオーナー兼シェフをなさっていて、そのお店のテイクアウト用のお菓子を、定期的に購入する契約を結ばせてもらって、その1回目がこのお菓子です。」
と答えると、
「そうか、そう云えば『バース』にアランが、お菓子のレシピも渡していたな、これは盲点だった。
早速我々もレストラン『豊穣』と契約を結ぼう。」
とクレリア姫様が何度も頷かれていたわ。
全員に紅茶と、『バウムクーヘン』と『カステラ』が行き渡り、早速食べて貰ったら、全員から感嘆の声が上がったわ。
私も初めて食べたんだけど、今まで食べていた焼き菓子とは全然違い、フワフワと柔らかく、其の上しっとりとした甘さが口に残る、とても美味しいお菓子だわ!
皆様大変喜んでくれて、お茶受けとして出したのは、正解みたいだったけど、クレリア姫様始め皆様帰りがけに、レストラン『豊穣』へよりテイクアウト用のお菓子を買おうと、相談されていたので、私も帰宅途中で買う予定なのに、無くなってしまうんじゃないかしら?と不安に感じながら、残りの仕事を片付け早目の帰宅をしたわ。
ちなみに、『バウムクーヘン』と『カステラ』は売り切れて無かったけど、『マカロン』を買えたので良かったわ。