人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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45. 4月の日記② (2年目)

4月16日

 

 先日の演武で、アラン様に悶絶させられたシュバルツ師範とミツルギ師範は、アラン様の勧めに従い軍隊でも隊長以上に支給された、『ナノム玉2』を飲まれた。

 『ナノム玉2』とは従来の『ナノム玉』の2倍の量で、『精霊の加護』もほぼ2倍の能力で、魔法も全てレベル2の魔法が使える様になる。

 『ナノム玉2』を飲んでから、1日安静にして翌日から動画によるイメージ教育と、今迄の魔力把握を更に進めた『循環魔法』と魔力そのものを飛ばす『魔力発勁』の基礎学習を始めた。

 

 『循環魔法』とは、身体の新陳代謝(体の体調や五感を指すそうだ)を自分の意思で、促進或いは退行させる事で負荷を軽減か荷重にする事で、練習時に利用したり、長期間の走行に適させたりする。

 

 『魔力発勁』とは、神剣流や神拳流で『気』と呼んでいる体内エネルギーを、そのまま相手に叩きつける技術で、先日の『徹し』もその一つであり、他にも寸勁、震脚、纏絲勁、浸透勁等が有る。

 これは、魔法は魔力を物理原理の火や氷や雷等に変換され、物理現象を引き起こすのとは違い、体内で練られた魔力をそのまま使用するので、タイムラグが無く更には相手の急所に叩き込めば、相手を傷つける事無く無力化する事が出来る。

 

 シュバルツ師範とミツルギ師範は、お二人共願い出でられて、隊長以上が行う特別訓練に参加され、軍に於いても隊長並の扱いになり、アラン様の親衛隊隊長の様なポストになった。

 

 4月20日

 

 セシリオ王国にて大変な事件が発生した!との報告が、『漆黒』から齎された。

 先日、セシリオ王国国王ルージと大貴族数十人による、会談が行われていた。

 内容は先の戦争や貴族に対しての王の不当な扱いに対する、詰問と是正勧告だったのだが、会談中に国王ルージがある化け物を会議室に乱入させ、大貴族数十人を殺害しそのまま王城を閉鎖した。

 大貴族の家族や親族、そして他の貴族達が軍隊を率いて王都に乗り込み、そのまま王城を取り囲むと、王城から化け物と、どう見ても死んでいるとしか思えない人間が、門から出てきて軍隊に襲いかかり、当初軍隊は優勢に戦えていたのだが、噛みつかれた兵士が同僚を襲い始め、瞬く間に同様な事態がそこかしこで起こり、全軍崩壊してしまったそうだ。

 『漆黒』の報告によると、現在セシリオ王国首都は『死都』と化し、生きる者は見当たらなくなり、周辺の都市に広がり始めているそうだ。

 直ちにアラン様は、緊急会議を軍事ブロックで軍上層部他を招集の上で始めた。

 先ず、『漆黒』が撮影した、どう見ても死んでいるとしか思えない人間を、モニターで見ていたら、『漆黒』のカトウが、「『ゾンビ』?!」と声を上げた。

 アラン様がカトウに聞くと、

 「某が、神罰執行部隊に所属していた時、ある実験としてアラム聖国は捕らえた叛徒を使い、ある杖状のアーティファクトを使用したのです。

 そのアーティファクトの名は『ゾンビ・マスター』、使用すると相手を生きる屍『ゾンビ』にして、『ゾンビ・マスター』を使用した者に永遠に従属させられます。

 『ゾンビ』は見ての通り生きる屍で、生者を憎み生者に噛み付く事で、噛み付いた相手を同じ『ゾンビ』にしてしまいます。」

 とカトウは説明した。

 そう云えば、伝承でその昔西端のバラクーダという国で、ゾンビが国を襲いドンドンとゾンビが増えて行き、終いには国全体の人民がゾンビになり、隣接する国々に『死の津波』という、災害レベルの数のゾンビ群が襲い掛かるという、とてつもない被害の歴史が有った。

 まさか、この現代に昔話の悲劇を起こさせるとは、セシリオ王国国王ルージは、既に狂っていると見做すべきだろう。

 アラン様は、直ぐに対策を立てるべく、コリント領に滞在療養されているアマド陛下に状況を説明し、この問題に対する全権を委任された。

 そして同じく、コリント領に滞在されている、元セシリオ王国の貴族であるビクトール侯爵と将軍達『セシリオ王国亡命政権』の方々と相談され、、滞在している『セシリオ王国亡命政権』の軍隊1万5千人と共に、ファーン侯爵領の残り1万5千人と合流して貰い、事態解決の為に故国へ向かって貰う事になった。

 当然、我等も事態解決の為に出動する事になった。

 アラン様は、この事態はセシリオ王国全体に広がる懸念を抱かれ、コリント領の全軍で向かう事を決定された。

 アマド陛下の護衛はフォルカー・ヘリング殿を中心に、王都から派遣された防衛軍300人に任せ、ロベルト老とヴェルナー・ライスター宰相に後事を託し、警備隊・警邏隊合わせて1500人に、コリント領の守備を命じた。

 

 4月21日

 

 先遣隊として、我等空軍は大人ワイバーンと子供ワイバーンの計95頭で、ファーン侯爵領に向けて『魔の大樹海』を切り開いた道路の上空を飛行した。

 流石にこの長距離の移動は、子供ワイバーンにとっては辛いので、途中休憩を挟みつつだが、凡そ8時間でファーン侯爵領外縁の、以前道路舗装用に作っていた空き地に到着し、臨時の駐屯地を作った。

 ファーン侯爵領に戻られていたカイン殿が、臨時の駐屯地に愛用のドリルバイクで来られ、自分と久しぶりの再会を喜び、今度の事件の為にファーン侯爵領で組織し訓練していた、ドリルバイクを中心とした重装騎馬隊の参加を望むので、アラン様への口添えを自分に頼んで来たので、出来る限りの口添えはする。

 と言ったら、

 「有り難い。」

 と喜んでくれた。

 その後は、空軍に新たに加わった子供ワイバーンの話題や、現在のコリント領の様子等の話題で、盛り上がった。

 

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