人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
4月24日
空軍を除く全軍と、トレーラーに分乗されて来たセシリオ王国亡命政権軍が、ファーン侯爵領に到着され、準備していた駐屯地に入った。
アラン様以下上層部は、直ぐにファーン侯爵領城邑に向かい、自分とミーシャも一緒に向かう。
早速大会議室で、モニターをセシリオ王国国境線の要塞に居る、ファーン侯爵と繋ぎ、現在の状況をお互いに確認し合う。
ファーン侯爵曰く、既にセシリオ王国国境線にセシリオ王国軍は存在せず、逆に庇護と亡命を求める軍民5万人を、国境線のベルタ王国側に保護しているそうだ、そしてそれを主導して連れて来た、セシリオ王国のルミナス教司教がモニター画面に出て、、
「女神ルミナスのお告げを聞いて、セシリオ王国王都を脱出しました。
その際、ゾンビ他の化け物の襲撃を受けましたが、ルミナス神の使徒『イザーク』様が天空から現れ、化け物達を天罰の光で追い散らし、ベルタ王国への街道を光で指し示し、逃げる我々を援護し続けてくださったのです、そして我々が此処に辿り着き無事な様子を確認されると、天空へと昇って行かれました。」
と天へ祈りを捧げながら、説明してくれた。
流石は使徒『イザーク』様だ、人民の不幸を放って置けず、ルミナス神の指示の元救済にやって来られたのだろう。
そして我等ベルタ王国側でなら、対抗出来ると判断されたに違いない。
代わって画面にファーン侯爵が出られ、
「司教様が言われた通り、王都以外の都市や街々でも同様に、使徒『イザーク』様の導きの元、此方を目指す難民の集団が幾つも有り、その集団の救援の為に国軍をビクトール侯爵の領地まで侵攻させ、救護活動を行っている、承諾も得ずに行動した事とビクトール侯爵には、勝手に領地に侵入した事を幾重にもお詫びする。」
と頭を下げられた。
アラン様は、
「問題有りません、ファーン侯爵の行動は大局的見地に立てば、護国卿としてベルタ王国防衛の為の行動ですし、私もアマド陛下からベルタ王国の為にセシリオ王国侵攻もやむ無し、とのお墨付きを貰っております。」
と返答され、ビクトール侯爵も、
「とんでも無い、ファーン侯爵の行動のお陰で領地が守られた様なものです、この上は此処に居る軍団諸共に、我が領地そして城邑に入って頂き、対ゾンビ戦線の前線基地として貰いたい。」
と希望を述べられた。
その後、軍上層部の作戦会議が行われ、行軍ルートの策定と、難民の誘導計画、兵站と補給品の難民に対しての供出、そして空軍による偵察行動の指針が決められた。
臨時の駐屯地に帰りながら、ミーシャと会話したがやはりミーシャも気付いていた。
使徒『イザーク』様が、我等の味方と云う事は、セシリオ王国国王ルージには、ルミナス神の正義は無く、当然それに加担するアラム聖国は、ルミナス教の東方教会を謳いながら実の処、ルミナス神に敵対している外道であるという事だ。
自分は、どの様な苦難があろうとも戦い抜く覚悟を決め、ミーシャも同意してくれた。
4月28日
我等空軍とグローリア殿、そして機動軍がいち早くビクトール侯爵の城邑に入り、そこでゾンビ軍団と戦って居た、ベルタ王国の国軍とセシリオ王国の義勇軍、そしてかつてセシリオ王国が誇っていた『氷雪魔術師団』が一同に会した。
グローリア殿に便乗された、『ヒルダ嬢』と『フェンリル』が地面に降り立ち、『氷雪魔術師団』の面々と再会された。
事前に『漆黒』から知らされて、ヒルダ嬢とフェンリルの無事を氷雪魔術師団は知っていたが、やはり本人達と直接再会出来たのは有り難かったらしく、ヒルダ嬢の祖父と叔父にあたる、氷雪魔術師団第一席と第二席は、アラン様に感謝されて居た。
現在ビクトール侯爵領には、散発的なゾンビの襲撃はあるが、本格的な侵攻は無い。
だが、我等空軍は此処ビクトール侯爵領に入る前に、セシリオ王国各地を偵察し、分散しているゾンビ軍団が明らかにビクトール侯爵領を、最終目的地にしているかの様な行軍ルートを取っており、主要幹線道路の4方向の内、ベルタ王国方向以外の3方向に各20万のゾンビ軍団が集結してゆっくりと迫っている、凡そ1週間後には、この城邑に至るだろう。
それまでに、この城邑で迎え撃つ準備を整えなければならない。
トレーラーはピストン輸送で、ビクトール侯爵領にやって来た難民を、ベルタ王国側の難民キャンプに連れて行き、それと入れ替わり各軍団をビクトール侯爵領に連れて来る事になる。
軍団が集結する迄に、城壁上に魔導砲を計8門取り付け、ゾンビに有効な炎系の砲身を主軸にする。
そして、魔法を使えない兵士にバズーカ砲を供給して、使用方法を教授し練習させる。
氷雪魔術師団には、得意の氷雪系の魔法でゾンビ軍団の行動範囲を狭めて貰う為に、ゾンビ軍団侵攻ルートの3方向に魔法系の罠を仕込んでもらう。
我等空軍は、各軍団の支援を空からするのだが、初実戦の子供ワイバーン達は当初は戦闘に参加させず、城内からピンチになった箇所の支援を行う事にした。
ベック隊長とトール隊長は、かなり緊張している様だが、
「大丈夫、訓練通りにすれば勝てる!」
と励ますと、幾分緊張が和らいでいた。