人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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49. 5月の日記③(2年目)

 5月6日

 

 昨日の戦争の後始末の為に、全軍が朝から準備に取り掛かる。

 あの後、巨人は『ホーリースパーク(聖なる閃光)』の威力のお陰で、完全に光になって消滅してしまい、ルージ王とアーティファクト『ゾンビ・マスター』そしてその贄に使われたルチリアも、綺麗サッパリいなくなってしまった。

 まあ、今更彼奴等が生きていた処で、どうせ死刑が待っているだけで、気分を害するお荷物でしか無いだろうから、消えてくれて良かったとさえ思う。

 作業に移る前に、アラン様とグローリア殿が辺り一帯に、広域範囲魔法『ホーリーレイン(聖なる雨)』を降り注がれたので、汚染された土壌も浄化された。

 やる作業は土魔法を用いた穴掘りと落とし穴の埋め直し、そして荒らされた街道整備だ。

 ほぼ1日で粗方の作業が終わったのは、アラン様達のホーリーレインと、魔導砲からの散布型ヒールで、ゾンビの浄化と汚染された土壌の浄化が楽に終わったお陰だろう。

 作業が終わり、城外に設営した駐屯地に戻ると、セシリオ王国救国軍の面々が大変盛り上がっていた。

 何事かと近づいて見ると、セシリオ王国救国軍の中で義勇軍の人達が、コリント領で過ごした事のある、セシリオ王国亡命政権軍の人々から、コリント領のまるで天国の様な暮らしと、アラン様の素晴らしい領地経営、そして我等の軍の素晴らしい装備の数々の説明を受けて、感動し是非行ってみたいという声が上がる中、一人の若い女性が、

 「いっそ、セシリオ王国は半ば滅んだんだから、アラン様が国王の新しい国家が誕生してくれないかしら。」

 と発言したので、周りはシーンと一瞬静まり、その後「そうだよその通りだ!」と言う声が周りから一斉に起こり、終いには殆ど全員が賛成し、夕飯の席ではその話題一色になった。

 

 5月8日

 

 後事をビクトール侯爵領兵と家臣の方々に任せ、全軍で主要幹線道路を通りセシリオ王国王都を目指す。

 途上の街々にもよって、状況の確認と諸々の浄化をして行く予定だ。

 

 5月18日

 

 トレーラーに分乗した部隊と我等空軍は、先遣隊として王都に到着したが、とても一国の首都と思えない程に静かで、生命活動の息吹をまるで感じない正に『死都』だ。

 早速アラン様は、広域範囲魔法『ホーリーレイン(聖なる雨)』を王都全ての範囲に降り注がれた。

 どうやらルージ王は、全てのゾンビを総動員して連れて行動していた様で、ゾンビ等は一体も居ない。

 王都の門の閂を、空から城内に入る事で外しながら思ったのだが、ルージ王はどういう成算が有ってあの様な行動を取ったのであろうか?まさか生者の臣下や国民はいらないとでも考えていたのだろうか?つくづく狂人の考える事は理解できないと判らされた。

 王都に入ってみてもその感想通り、弱冠の争いの後以外は生きている者は誰一人居らず、普通は人が居なくなると動物、主にネズミが繁殖し病気の蔓延に繋がるのだが、そのネズミも見当たらない。

 恐らくは、ネズミにもゾンビ化の波が襲いかかり、王都だけでなく進路上の街々のネズミもあの巨人に統合されていたのだろう。

 案の定ネズミが居ないお陰で、王都の食料庫や商人の食料備蓄倉庫は手付かずだ、この備蓄量ならば食糧難になる心配は無い。

 そして王宮に入り、財宝や国庫のギニー美術品を確認し、最も重要な国民の統計資料と地理、そして直轄地の財務資料と貴族達の納税資料を押収した。

 この辺りの事はセシリオ王国亡命政権の方々と相談し、予想した通りに王都にいた筈の官僚や政治に関わっていた貴族は死に絶えているだろうから、以前のセシリオ王国の政治システムは事実上崩壊している。

 新たに政治システムを構築する為には、前述の資料を精査し、より効率の良い国民の為の体制を作る必要が有り、その為の会議を翌日にする事が決まった。

 

 5月19日

 

 昨日集めた資料を大まかに把握し、セシリオ王国亡命政権の方々とアラン様、ファーン侯爵以下ベルタ王国遠征軍の上層部、そしてハリー(いつの間にか報道局長になっていた)の放送機材取り扱い班が、大会議室で今後のセシリオ王国の政治体制決定会議が開催された。

 遠距離通信で繋いでいるモニター画面には、アマド陛下とヴェルナー宰相が出られその脇には、フランシス伯爵以下政治官僚が机を並べている。

 開始早々、セシリオ王国亡命政権のビクトール侯爵が、

 「アマド陛下、今回のセシリオ王国国王の起こした暴挙に対して、ベルタ王国が示してくれた一連の行動にセシリオ王国貴族として、感謝とお礼を申し上げたい、大変ありがとう御座いました。」

 と述べられ、他の亡命政権の方々も立ち上がり、頭を下げられた。

 アマド陛下は、

 「うむ、その感謝受け入れよう。

 昨年の夏からの一連のセシリオ王国による愚かな行動は、全てルージ王の野望に端を発していた。

 そのルージ王を今回の戦闘で討ち果たせたのは、周辺国全てに取って幸甚であった、アラン総帥、ファーン護国卿そして遠征軍全員ご苦労であった!」

 と仰られたので、ベルタ王国遠征軍の面々は、

 「ハッ、有難うございます!」

 と頭を下げて答えた。

 そして実務的な話しに入り、アラン様がフランシス伯爵以下政治官僚の色々な質問に、淀みなく答え政治官僚が解決策を見いだせない場面では、独自の解決策を提示しそれに掛かる予算と期間を示される。

 アラン様は、相変わらず凄まじい実務処理能力をお持ちだ、フランシス伯爵以下政治官僚の面々は示された解決策を書いて行くだけで手一杯だ。

 アマド陛下は笑われながら、

 「流石だなアラン総帥は、今聞いていた概要だけでも素晴らしい施策なのが判った。

 どうだろうビクトール侯爵と亡命政権の方々、当面はこのアラン総帥の施策を実行されては?」

 と言われ、ビクトール侯爵は、

 「少し聞いただけでも、素晴らしい施策の数々でした、是非その方向でお願い出来ますでしょうか?」

 と願い出でられたので、アマド陛下は、

 「了解した。

 アラン総帥聞いた通りだ、其の方の思う通りに新たな政治システムを構築せよ、ファーン護国卿と遠征軍はその施策に則り行動する様に。」

 と仰られたので、

 「ハッ、了解しました!」

 とベルタ王国遠征軍全員片膝を着き答えた。

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