人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
5月25日
午前1時、密かに夜暗の中、我等空軍(大人ワイバーンのみ)は港湾都市『オスロ』沖の島の上空で滞空している。
島には2つの篝火が焚かれているだけで、少しも警戒していない様だ。
幾つかの作戦の内、一番楽な作戦を実行する事になったが、あまり気を抜く訳にはいかないので、気合いを入れ直し、先ずは軍艦の確保を行う。
5隻の軍艦に2頭ずつのワイバーンが、静かに降り立ちシュバルツ殿とミツルギ殿そしてオウカ殿が、次々と当直の海賊を捕縛して行く。
我々空軍も、参加しアラン様直伝の『魔力発勁』を使用して、20人の海賊を拘束して、5隻の軍艦全てを確保した。
軍艦を確保した事を、港湾都市長とベック達に連絡をして、船と子供ワイバーンに軍艦を託し島の制圧に移る。
大人ワイバーンに乗り竜騎士とシュバルツ殿達は島に侵入し、オウカ殿を除いた者たちが其々特大のエアバレットを海賊の寝ている家屋に向けて放った。
当然、無人島に建てた掘っ立て小屋に毛が生えた様な家屋は、アッサリと屋根ごと潰れ、そこから、怪我を免れた海賊が這い出して来て、そいつ等をシュバルツ殿とミツルギ殿そしてオウカ殿が、次々と無力化して行く。
シュバルツ殿は双刀から『魔力発勁』を飛ばし、ミツルギ殿はガントレット越しに『魔力発勁』を海賊に叩き込み、そしてオウカ殿の峰打ちにより殆どの海賊が拘束され、大勢が決したと思われた時、海賊の頭目と覚しき男が大声を上げた、
「おいっ!貴様らこれを見やがれ!」
と海賊の頭目に目をやると、商人と思われる男性と貴族の令嬢らしき女性に対して、青竜刀を振り翳している。
それを見た瞬間自分は、手を揃えて前に突き出した。
「バンッ!」
と云う音と共に海賊の頭目は、後ろから突き飛ばされた様に、白目を剥きながら顔から地面に倒れた。
「ケニー殿、アラン様直伝『鬼勁』成功!御見事なり!」
とミツルギ殿が、自分に称賛を送ってくれた。
『鬼勁』・・・・・本来『魔力発勁』は、魔力を直進させて敵に打ち付ける技だが、『鬼勁』は敢えて直進させず、敵に取って無警戒の方向から魔力を叩きつける技であり、直進させないのでその分高度な技。
「有難う、やはりアラン様の教えてくれた技術は、実戦に即しているから、役に立つ。」
と答えたので、シュバルツ殿とミツルギ殿も「その通りだ。」と応じて、3人で笑い拳を打ち付けあった。
オウカ殿は、知らない武術に面食らっている様だった。
白み始めた朝日の元、港から船が島に到着し、囚われていた人質の解放や、強奪された財宝等を確保し、拘束した海賊120人余りをロープで数珠繋ぎにして、犯罪者として連れて行った。
諸々の手続きを終え、港湾都市長始め港湾都市『オスロ』の民衆から感謝されながら、午後には港湾都市『オスロ』を出て、王都への帰途に着いた。
オウカ殿は、ワイバーンの後部座席に乗って飛ぶ、空の景色にいたく感動され、此れ等を組織し運用させているアラン様に会うのが楽しみな様だ。
王都の空軍用の駐屯場所に到着し、其々の騎竜を厩舎に移動させ、後事をベック達に任せ、オウカ殿を紹介する為に、アラン様の執務室にシュバルツ殿とミツルギ殿そしてオウカ殿を伴い向かった。
アラン様は執務室で、コリント領で育成していた政治官僚数人に指示を出され、その政治官僚が別室のモニター室で、各地方都市とモニター越しにやり取りし新しい施策の、意見交換を行っていて、その脇には後から合流されたクレリア姫様が、書類の分類や数値の集計を手伝われていた。
受付をしているサーシャに、任務完了の報告をして待っていると、一区切りされたアラン様とクレリア姫様が、隣室の応接室に我等を迎えられ、任務完了と海賊退治について労ってくれ、オウカ殿に海賊退治に対しての助力を感謝された。
オウカ殿は、
「いえ、私も海賊退治をしようとしていたので、作戦に便乗させて貰った形で此方もワイバーンに乗る事で島に渡れて、目的が果たせて有り難かった。」
と言われて、双方良い形で目的が果たせた事を確認した。
続けてオウカ殿は、
「アラン殿、このシュバルツ後輩に聞いたのだが、コリント領には天才鍛冶師が居られ、また画期的な武術を教えておられるという事、是非私もコリント領に連れて行って貰いたい!」
と願われた。
アラン様は、
「剣王のお一人で有られるオウカ殿に来て頂けるとは大変光栄ですな、天才鍛冶師のガトル殿には私の方で口添えしますが、オウカ殿が直接交渉されて下さい、武術については出来れば此処に居られるシュバルツ殿とミツルギ殿と同じく、双方で学び合いより高め合う事をお勧めします。」
と答えられたので、オウカ殿は、
「有り難い、その方向でお願いします。」
と応じられた。
その後、コリント領のレストラン『豊穣』のオーナーシェフ『バース』監修の、工場で量産されたバウムクーヘンとラスクを全員で賞味した。
応接室を辞し、我々の泊まる王都の宿舎に向かい、オウカ殿を女性軍人用の宿舎に案内したのだが、道中先程食べたバウムクーヘンとラスクをオウカ殿は称賛しまくっていたので、オウカ殿もコリント領の女性陣同様に、レストラン『豊穣』のスイーツの虜になるんだろうなと思い思わず苦笑